本稿には、2023年に実施された統計検定1級『医薬生物学』 問5の自作解答案を掲載しています。なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。
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- この答案は、あくまでも筆者が自作したものであり、公式なものではありません。正式な答案については、公式問題集をご参照ください。
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〔1〕ベイズの定理
ベイズの定理より、 \begin{align} P \left(A_j\middle| B\right)&=\frac{P \left(A_j\right) \cdot P \left(B\middle| A_j\right)}{P \left(B\right)}\\ &=\frac{P \left(A_j\right)}{P \left(B\right)} \cdot P \left(B\middle| A_j\right) \end{align} ここで、$P \left(A_j\right)=\frac{1}{m},\ P \left(B\right)$ は定数なので、 \begin{gather} P \left(A_j\middle| B\right)=c \cdot P \left(B\middle| A_j\right)\\ c=\frac{1}{mP \left(B\right)} \end{gather} $\blacksquare$
〔2〕選択を変えた方が有利な理由
箱 $j$ が当たりである事象を $A_j$ とし、和夫さんが箱1を選んだとき、令美さんが箱3を開ける事象を $B$ とすると、〔1〕より、 \begin{align} P \left(A_1\middle| B\right)\colon P \left(A_2\middle| B\right)\colon P \left(A_3\middle| B\right)&=P \left(B\middle| A_1\right)\colon P \left(B\middle| A_2\right)\colon P \left(B\middle| A_3\right)\\ &=\frac{1}{2}\colon1\colon0\\ &=1\colon2\colon0 \end{align} であるので、 箱2が当たりの確率は、 \begin{gather} P \left(A_2\middle| B\right)=\frac{2}{3} \end{gather} となる。 $\blacksquare$
〔3〕変更先が当たりである確率の一般的な値
$P \left(B\middle| A_1\right)=w$ として、〔2〕と同様に考えると、 \begin{align} P \left(A_1\middle| B\right)\colon P \left(A_2\middle| B\right)\colon P \left(A_3\middle| B\right)&=P \left(B\middle| A_1\right)\colon P \left(B\middle| A_2\right)\colon P \left(B\middle| A_3\right)\\ &=w\colon1\colon0 \end{align} 箱2が当たりの確率は、 \begin{align} p&=P \left(A_2\middle| B\right)\\ &=\frac{1}{1+w} \end{align} 確率の公理 $0 \le w \le 1$ により、 \begin{gather} 0+1 \le w+1 \le 1+1\\ \frac{1}{2} \le \frac{1}{w+1} \le 1\\ \frac{1}{2} \le p \le 1 \end{gather} $\blacksquare$
〔4〕サンプルサイズの設計
帰無仮説と対立仮説は、 \begin{align} H_0:p=\frac{1}{2} \quad H_1:p=\frac{2}{3} \end{align} 二項分布の確率関数の定義式より、 \begin{gather} f \left(x\right)= \left\{\begin{matrix}{}_{n}C_xp^x \left(1-p\right)^{n-x}&x=0,1, \cdots ,n\\0&\mathrm{other}\\\end{matrix}\right. \end{gather} 帰無仮説のもとでは、 \begin{gather} f \left(x\right)={}_{n}C_x \left(\frac{1}{2}\right)^n \end{gather} このとき、 \begin{align} P \left(n-1 \le X\middle| H_0\right)&=P \left(X=n-1\middle| H_0\right)+P \left(X=n\middle| H_0\right)\\ &=\frac{{}_{n}C_{n-1}+{}_{n}C_n}{2^n}\\ &=\frac{n+1}{2^n} \end{align} $n$ に具体的な値を代入してみると、 \begin{align} \frac{7+1}{2^7}=\frac{8}{128}=0.0625\\ \frac{8+1}{2^8}=\frac{9}{256}=0.0352 \end{align} したがって、 \begin{align} P \left(n-1 \le X\middle| H_0\right) \le 0.05 \end{align} を満たす最小の $n$ は、 \begin{align} n_0=8 \end{align} このとき、検出力は、 \begin{align} P \left(7 \le X\middle| H_1\right)&=P \left(X=7\middle| H_1\right)+P \left(X=8\middle| H_1\right)\\ &={}_{8}C_7 \left(\frac{2}{3}\right)^7 \left(\frac{1}{3}\right)+{}_{8}C_8 \left(\frac{2}{3}\right)^8\\ &=\frac{8 \cdot 2^7+2^8}{3^8}\\ &=\frac{1280}{6561}\\ &\cong0.195 \end{align} $\blacksquare$
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