統計検定 1級 2023年 統計数理 問1 ポアソン分布・統計的推定

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【B000】数理統計学 【D000】統計検定 過去問

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本稿には、2023年に実施された統計検定1級『統計数理』 問1の自作解答案を掲載しています。なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • 著作権の関係上、問題文は、掲載することができません。申し訳ありませんが、閲覧者のみなさまでご用意いただければ幸いです。
  • この答案は、あくまでも筆者が自作したものであり、公式なものではありません。正式な答案については、公式問題集をご参照ください。
  • 計算ミスや誤字・脱字などがありましたら、コメントなどでご指摘いただければ大変助かります。
  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。

〔1〕期待値と分散

(i)期待値
期待値の定義式 E(X)=x=xf(x) より、 E(X)=x=0xλxeλx! x=0 の項を外に出すと、 E(X)=0λ0eλ0!+x=1xλxeλx!=x=1xλxeλx!=x=1λxeλ(x1)! この式を変形すると、 (1)E(X)=λeλx=1λx1(x1)! ここで、y=x1 と変数変換すると、 x:1のときy:0 となるので、(1) は、 E(X)=λeλy=0λyy! 指数関数のマクローリン展開 x=0λxx!=eλ より、 E(X)=λeλeλ=λ

(ii)分散
2次階乗モーメントの定義式 E{X(X1)}=x=0x(x1)f(x) より、 E{X(X1)}=x=0x(x1)λxeλx! x=0,x=1 の項を外に出すと、 E{X(X1)}=0+0+x=2nλxeλ(x2)!(2)=λ2eλx=2λx2(x2)! ここで、z=x2 と変数変換すると、 x:2のときz:0 となるので、(2) は、 E{X(X1)}=λ2eλz=0λzz! 指数関数のマクローリン展開 x=0λxx!=eλ より、 E{X(X1)}=λ2eλeλ=λ2 階乗モーメントを用いた分散の公式 V(X)=E{X(X1)}+E(X){E(X)}2 より、 V(X)=λ2+λλ2=λ

(iii)和の期待値と分散
互いに独立な確率変数の期待値と分散の性質より、 E(Sn)=E(i=1nXi)=i=1nE(Xi)=nλ V(Sn)=V(i=1nXi)=i=1nV(Xi)=nλ

〔2〕部分和の和を表すための係数

問題文の定義通りに Wn を表すと、 Wn=k=1nSk=S1+S2++Sn=X1+(X1+X2)++(X1+X2++Xn)=nX1+(n1)X2++Xn=i=1n(ni+1)Xi したがって、 ai=ni+1

〔3〕部分和の和の期待値と分散

期待値の性質より、 E(Wn)=E{nX1+(n1)X2++Xn}={n+(n1)++1}E(X)=λk=1nk=12n(n+1)λ 分散の性質より、 V(Wn)=V{nX1+(n1)X2++Xn}={n2+(n1)2++1}V(X)=λk=1nk2=16n(n+1)(2n+1)λ

〔4〕不偏推定量

〔3〕の結果から、 λ~=2n(n+1)Wn とすると、 E(λ~)=E[2n(n+1)Wn]=2n(n+1)E(Wn)=2n(n+1)12n(n+1)λ=λ となり、これは不偏推定量の定義を満たす。

このとき、λ~ の分散を取ると、 V(λ~)=V[2n(n+1)Wn]=4n2(n+1)2V(Wn)=4n2(n+1)216n(n+1)(2n+1)λ=2(2n+1)3n(n+1)λ

〔5〕不偏推定量の一致性の検証

n が十分に大きいときにおける不偏推定量 λ~ の分散について考えると、〔4〕の結果より、 limnV(λ~)=limn2(2n+1)3n(n+1)λ=23λlimn2n+1n(n+1)=23λlimn2+1nn+1=0 ある推定量が不偏推定量であり、かつその分散が、漸近的に、0 に収束することは、その推定量が一致推定量であるための必要十分条件なので、λ~ は一致推定量である。

〔6〕漸近相対効率

問題文で定義された λ^ の分散は、〔1〕の結果より、 V(λ^)=V(Snn)=1n2V(Sn)=1n2nλ=λn 推定量の漸近相対効率の定義より、 limnV(λ^)V(λ~)=λn3n(n+1)2λ(2n+1)=3(n+1)2(2n+1)=3(1+1n)2(2+1n)=34

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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