統計検定 1級 2021年 統計数理 問4 無作為標本の関数の3乗値に関する問題

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【2023年6月5週】 【B000】数理統計学 【D000】統計検定 過去問

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本稿には、2021年に実施された統計検定1級『統計数理』 問4の自作解答案を掲載しています。なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • 著作権の関係上、問題文は、掲載することができません。申し訳ありませんが、閲覧者のみなさまでご用意いただければ幸いです。
  • この答案は、あくまでも筆者が自作したものであり、公式なものではありません。正式な答案については、公式問題集をご参照ください。
  • 計算ミスや誤字・脱字などがありましたら、コメントなどでご指摘いただければ大変助かります。
  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。

〔1〕標本平均の分散

確率変数が互いに独立な時、分散の性質 V(i=1naXi)=a2i=1nV(Xi) より、 V(X¯)=V(1ni=1nXi)=1n2i=1nV(Xi)=1n2nσ2=σ2n

〔2〕観測値の差の3乗値の期待値

(X1X2)3=X133X12X2+3X1X22X23 両辺の期待値を取ると、 E[(X1X2)3]=E(X133X12X2+3X1X22X23)=E(X13)3E(X12X2)+3E(X1X22)E(X23) X1,X2 は互いに独立なので、期待値の性質 E[g1(X1)g2(X2)]=E[g1(X1)]E[g2(X2)] より、 E[(X1X2)3]=E(X13)3E(X12)E(X2)+3E(X1)E(X22)E(X23)=E(X3)3E(X2)E(X)+3E(X)E(X2)E(X3)=0

〔3〕偏差の関数の期待値

偏差の期待値を求めると、 E[Yi]=E(Xiμ)=E(Xi)μ=μμ=0 (i)偏差の3乗値の期待値
問題文の定義より、 E[Yi3]=E[(Xiμ)3]=τ (ii)偏差の2乗値と偏差の積の期待値
分散の定義式より、 E[Yi2]=E[(Xiμ)2]=σ2 Yi,Yi は互いに独立なので、期待値の性質 E[gi(Yi)gj(Yi)]=E[gi(Yi)]E[gj(Yi)] より、 E[Yi2Yj]=E[Yi2]E[Yj]=σ20=0 (iii)偏差の積の期待値
(ii)と同様に、 E[YiYjYk]=E[Yi]E[Yj]E[Yk]=000=0

〔4〕標本平均からの偏差の3乗値の期待値

i=1n(XiX¯)3=i=1n{(Xiμ)(X¯μ)}3=i=1n{(Xiμ)33(Xiμ)2(X¯μ)+3(Xiμ)(X¯μ)2(X¯μ)3}=i=1n{Yi33Yi2(X¯μ)+3Yi(X¯μ)2(X¯μ)3}=i=1nYi33(X¯μ)i=1nYi2+3(X¯μ)2i=1nYin(X¯μ)3 両辺の期待値を取ると、 E{i=1n(XiX¯)3}=E{i=1nYi33(X¯μ)i=1nYi2+3(X¯μ)2i=1nYin(X¯μ)3}=i=1nE(Yi3)3E[(X¯μ)i=1nYi2]+3E[(X¯μ)2i=1nYi]nE[(X¯μ)3](1)=nE(Yi3)3E[(X¯μ)i=1nYi2]+3E[(X¯μ)2i=1nYi]nE[(X¯μ)3] ここで、 X¯μ=1ni=1nXi1nnμ=1ni=1n(Xiμ)=1ni=1nYi よって、
(i)式 (1) 第2項 E[(X¯μ)i=1nYi2]=E[1ni=1nYii=1nYi2]=1nE[i=1nYii=1nYi2]=1nE[i=1nYi3+jii=1nYi2Yj]=1n[i=1nE(Yi3)+jii=1nE(Yi2Yj)] 〔3〕の結果より、 E[(X¯μ)i=1nYi2]=1n(nτ+0)=τ 以下、残りの項について、実質的に意味のある Yi3 となる項について考えると、
(ii)式 (1) 第3項
E[(X¯μ)2i=1nYi]=E[{1ni=1nYi}2i=1nYi]=E[1n2{i=1nYi}3]=1n2E[i=1nYi3+jii=1nYi2Yj+kjijii=1nYiYjYk]=1n2[i=1nE(Yi3)+jii=1nE(Yi2Yj)+kjijii=1nE(YiYjYk)]=1n2nτ=τn (iii)式 (1) 第4項
E[(X¯μ)3]=(1ni=1nYi)3=1n3{i=1nE(Yi3)+jii=1nE(Yi2Yj)+kjijii=1nE(YiYjYk)}=1n3nτ=τn2 したがって、式 (1) より、 E{i=1n(XiX¯)3}=nτ3τ+3τnnτn2=n23n+2nτ=(n1)(n2)nτ

〔5〕不偏推定量のための規格化定数

τ^τ の不偏推定量であるとき、 (1)E(τ^)=τ=E[Yi3] τ^ の定義式を変形すると、 (i=1naiXi)3={i=1nai(Yi+μ)}3={i=1naiYi+μi=1nai}3=(i=1naiYi)3+3μi=1nai(i=1naiYi)2+3μ2(i=1nai)2i=1naiYi+μ3(i=1nai)3 両辺の期待値を取ると、 E(τ^)=E[(i=1naiYi)3+3μi=1nai(i=1naiYi)2+3μ2(i=1nai)2i=1naiYi+μ3(i=1nai)3]=E[(i=1naiYi)3]+3μi=1naiE[(i=1naiYi)2]+3μ2(i=1nai)2E(i=1naiYi)+μ3(i=1nai)3=E[(i=1naiYi)3]+i=1nai{3μE[(i=1naiYi)2]+3μ2i=1naiE(i=1naiYi)+μ3(i=1nai)2}(2)=E[(i=1naiYi)3]+i=1nai{3μE[(i=1naiYi)2]+μ3(i=1nai)2} ここで、 E[(i=1naiYi)3]=i=1nai3E(Yi3)+jii=1nai2ajE(Yi2Yj)+kjijii=1naiajakE(YiYjYk)=i=1nai3E(Yi3) E[(i=1naiYi)2]=i=1nai2E(Yi2)+jii=1naiajE(YiYj)=σ2i=1nai2 したがって、式 (2) は、 (3)E(τ^)=i=1nai3E(Yi3)+i=1nai{3μσ2i=1nai2+μ3(i=1nai)2}(1) と式 (3) の係数を比較すると、 i=1nai3=1i=1nai=0or3μσ2i=1nai2+μ3(i=1nai)2=0 ここで、a1,,an 未知パラメータ μ,σ2 に依存しないので、求める条件は、 i=1nai3=1i=1nai=0

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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