統計検定 1級 2024年 医薬生物学 問3 欠損データの統計解析

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【A000】生物統計学 【D000】統計検定 過去問

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本稿には、2024年に実施された統計検定1級『医薬生物学』 問3の自作解答案を掲載しています。なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • 統計検定の問題の使用に関する規約により禁止されているため、問題文は掲載することができません。公式サイトで公開されているものなどをご参照ください。
  • この答案は、あくまでも筆者が自作したものであり、公式なものではありません。正式な答案については、公式問題集をご参照ください。
  • 計算ミスや誤字・脱字などがありましたら、コメントなどでご指摘いただければ大変助かります。
  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。

〔1〕独立性の検定

表1 治療群の種類とデータの有無
T C 合計
データあり 70 90 160
データなし 30 10 40
合計 100 100 200

独立性の検定の検定統計量の公式より、 χ2=200(70103090)216040100100=12.5 付表3より、 χ0.052=3.84<12.5=χ2 となるため、 治療群の種類と欠測が独立であるという帰無仮説は棄却される。

〔2〕改善割合の差の分散の推定値

各データに対する標本比率の分散は、 V(p)=p(1p)n 改善割合の差の分散は、試験治療群のデータと対照治療群のデータが互いに独立であることから、 V(pTipCi)=V(pTi)+V(pCi)=pTi(1pTi)nTi+pCi(1pCi)nCi 標本比率で母比率を置き換えると、 V^(pTipCi)=V(pTi)+V(pCi)=p^Ti(1p^Ti)nTi+p^Ci(1p^Ci)nCi 具体的な値を計算すると、 V^(pT1pC1)=0.280.72100+0.220.78100=0.002016+0.001716=0.003732 V^(pT2pC2)=0.300.70100+0.230.77100=0.0021+0.001771=0.003871

〔3〕「ルービンのルール」による分散の統合

表1と〔2〕の結果より、問題文で与えられたとおりに計算すると、 θ¯=0.06+0.07+0.083=0.07 W=0.003732+0.003871+0.0037183=0.003773667 B=(0.060.07)2+(0.070.07)2+(0.080.07)22=0.0001+0+0.00012=0.0001 V(θ¯)=0.003773667+(1+13)×0.0001=0.003773667+0.0001330.003907

〔4〕補完データセットにもとづく推定量の分散

問題文の条件から、YTo=yTo,YCo=yCo が与えられた条件下での YTkm,YCkm の条件付き分布は、 YTkmB(MT,yToNT)YCkmB(MC,yCoNC) 二項分布の分散の公式より、与条件下での条件付き分散は、 V(YTkm|yTo)=MTyToNT(1yToNT)=MTyToNTNTyToNT V(YCkm|yCo)=MCyCoNC(1yCoNC)=MCyCoNCNCyCoNC Cov(YCkm,YCkm|yTo,yCo)=0 したがって、分散の公式より、 V(θ^k| yTo,yCo)=V(yTo+YTkmNT+MTyCo+YCkmNC+MC)=1(NT+MT)2V(YTkm|yTo)+1(NC+MC)2V(YCkm|yCo)=MTyTo(NTyTo){NT(NT+MT)}2+MCyCo(NCyCo){NC(NC+MC)}2

〔5〕補完データセットにもとづく補完間分散の期待値

改善割合の差の推定量 θ^k をある分布に従う確率変数と見ると、θ¯ は標本平均、補完間分散 B は標本不偏分散に相当する統計量である。したがって、標本不偏分散の性質より、 E(B| yTo,yCo)=V(θ^k| yTo,yCo)=MTyTo(NTyTo){NT(NT+MT)}2+MCyCo(NCyCo){NC(NC+MC)}2

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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