本稿には、2024年に実施された統計検定1級『統計数理』 問3の自作解答案を掲載しています。なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。
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- この答案は、あくまでも筆者が自作したものであり、公式なものではありません。正式な答案については、公式問題集をご参照ください。
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〔1〕ベルヌーイ分布の和
ベルヌーイ分布の確率関数は、
期待値の定義より、
同様に、
分散の公式 より、
ベルヌーイ分布に従う確率変数の和 が従う分布は、二項分布であり、期待値の性質より、
同様に、確率変数 は互いに独立であることから、分散の加法性より、
〔2〕十分統計量・最尤推定量
二項分布の確率関数は、
具体的な観測値として、 という値が得られたときの同時確率関数(尤度関数) は、
このとき、
と考えると、
フィッシャー・ネイマンの因子分解定理により、 はパラメータ を推定するための十分推定量である。
また、対数尤度関数 を求めると、
スコア関数 を求めると、
尤度方程式 を解くと、
〔3〕平均二乗誤差
平均二乗誤差は、
というように、推定量の分散とバイアスに分解することができる。
ここで期待値と分散の性質より、〔1〕の結果を用いると、
したがって、
これが によらず一定であるためには、 に関する係数について、
が必要条件となる。
まず、 について、二次方程式の解の公式より、
導出過程(クリックで表示)
(1) のとき
(2) のとき
また、 について、
導出過程(クリックで表示)
(1) のとき
(2) のとき
すなわち、 の組み合わせは、
このとき、平均二乗誤差は、
このうち小さい方の値は、
導出過程
〔4〕推定量の比較
最尤推定量の分散は、分散の性質より、
平均二乗誤差の方が小さくなる の範囲は、
ここで、二次方程式の解の公式より、
したがって、求める範囲は、
例えば、 のとき、この範囲は、
いっぽう、 のとき、
したがって、
これらから、サンプルサイズが少ないうちは、 の方が優れている真値の範囲が広く、 の方が良い推定量である可能性が高いが、サンプルサイズが大きくなるにつれて、その範囲が狭まっていき、最尤推定量の方が優れた推定量になってくると評価できる。
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