統計検定 1級 2019年 統計数理 問1 二項分布の確率母関数

公開日:

【2023年6月3週】 【B000】数理統計学 【D000】統計検定 過去問

この記事をシェアする
  • B!
サムネイル画像

本稿には、2019年に実施された統計検定1級『統計数理』 問1の自作解答案を掲載しています。なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • 著作権の関係上、問題文は、掲載することができません。申し訳ありませんが、閲覧者のみなさまでご用意いただければ幸いです。
  • この答案は、あくまでも筆者が自作したものであり、公式なものではありません。正式な答案については、公式問題集をご参照ください。
  • 計算ミスや誤字・脱字などがありましたら、コメントなどでご指摘いただければ大変助かります。
  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。

〔1〕確率母関数と期待値・分散の関係

確率母関数の定義式の1階微分を求めると、 GX(1)(t)=x=0xtx1f(x) この式に t=1 を代入すると、期待値の定義式より、 GX(1)(t)=x=0xf(x)=E(X) 確率母関数の定義式の2階微分を求めると、 GX(2)(t)=x=0x(x1)tx2f(x) この式に t=1 を代入すると、期待値の定義式より、 GX(2)(t)=x=0x(x1)f(x)=E[X(X1)] 2次階乗モーメントを用いた分散の公式 V(X)=E{X(X1)}+E(X){E(X)}2 より、 V(X)=GX(2)(t)+GX(1)(t){GX(1)(t)}2

〔2〕二項分布の確率母関数の導出と使用

確率母関数の定義式 GX(t)=x=0txf(x) より、 GX(t)=x=0ntx nCxpx(1p)nx=x=0nnCx(tp)x(1p)1x 二項定理 (a+b)n=x=0nnCxaxbnx において、a=tp,b=1p とすると、 GX(t)=(tp+1p)n

(i)期待値
確率母関数の1階微分を求めると、合成関数の微分法より、 GX(1)(t)=n(tp+1p)n1ddt(tp+1p)=np(tp+1p)n1 1次モーメントと確率母関数の関係 GX(1)(1)=E(X) より、 E(X)=np(p+1p)n1=np

(ii)分散
確率母関数の2階微分を求めると、 GX(2)(t)=n(n1)p(tp+1p)n2ddt(tp+1p)=n(n1)p2(tp+1p)n2 2次階乗モーメントと確率母関数の関係 GX(2)(1)=E{X(X1)} より、 E{X(X1)}=n(n1)p2(p+1p)n2=n(n1)p2=n2p2np2 2次階乗モーメントを用いた分散の公式 V(X)=E{X(X1)}+E(X){E(X)}2 より、 V(X)=n2p2np2+npn2p2=npnp2=np(1p)

〔3〕累積確率と確率母関数の関係

確率母関数の定義式(1)における和を分解すると、 GX(t)=k=0rtxP(X=k)+k=r+1ntxP(X=k) 両辺に tr をかけると、 trGX(θ)=trk=0rtxP(X=k)+trk=r+1ntxP(X=k)=k=0rtxrP(X=k)+k=r+1ntxrP(X=k) ここで、 k=0rtxrP(X=k)=trP(X=0)+tr+1P(X=1)++t0P(X=r) Xr 以下になる確率は、 P(Xr)=k=0rP(X=k) これを書き直すと、 P(Xr)=k=0rt0P(X=k) ここで、 0<t1t0=1ti(i=0,1,,r) つまり、各 P(X=k) に1以上の値をかけているので、 P(Xr)=k=0rP(X=k)k=0rtxrP(X=k) また、 0<k=r+1ntxrP(X=k) したがって、 P(Xr)k=0rtxrP(X=k)k=0rtxrP(X=k)+k=r+1ntxrP(X=k) ゆえに、正の実数 r とすべての 0<t1 に対し、 P(Xr)trGX(t)

〔4〕累積確率と確率母関数の関係の応用

式(2)において、r=an を代入すると、 P(Xan)tanGX(t) 〔2〕の結果より、GX(t)=(pt+1p)n なので、これを上式に代入すると、 P(Xan)tan(pt+1p)n ここで、g(t)=tan(pt+1p)n として、g(t) を最小にする t の値を求める。

g(t) の1回微分を求めると、 g(t)=nptan(pt+1p)n1antan1(pt+1p)n 最小値は極値であると考えられるので、g(t)=0 とすると、 0=pta(pt+1p)0=ptapta(1p)ptapt=a(1p)pt(1a)=a(1p)t=a(1p)p(1a) これを上式に代入すると、 P(Xan){a(1p)p(1a)}an{pa(1p)p(1a)+1p}n{p(1a)a(1p)}an{a(1p)+(1a)(1p)1a}n{p(1a)a(1p)}an{(1p)(a+1a)1a}n{p(1a)a(1p)}an(1p1a)n(pa)an(1p1a)nan(pa)an(1p1a)(1a)n

関連記事

自己紹介

自分の写真

yama

大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

このブログを検索

ブログ アーカイブ

QooQ