統計検定 1級 2021年 統計数理 問3 ポアソン分布に関する問題

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【2023年6月4週】 【B000】数理統計学 【D000】統計検定 過去問

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本稿には、2021年に実施された統計検定1級『統計数理』 問3の自作解答案を掲載しています。なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • 著作権の関係上、問題文は、掲載することができません。申し訳ありませんが、閲覧者のみなさまでご用意いただければ幸いです。
  • この答案は、あくまでも筆者が自作したものであり、公式なものではありません。正式な答案については、公式問題集をご参照ください。
  • 計算ミスや誤字・脱字などがありましたら、コメントなどでご指摘いただければ大変助かります。
  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。

〔1〕ポアソン分布のモーメント母関数の導出

モーメント母関数の定義式 MX(s)=x=esxf(x) より、 MX(s)=x=0esxλxx!eλ=eλx=0(λes)xx! 指数関数のマクローリン展開 eα=x=0αxx! より、α=λes とすると、 MX(s)=exp(λ)exp(λes)=exp(λ+λes)=exp[λ(es1)]

〔2〕再生性・十分統計量・最尤推定量

〔2-1〕再生性
確率変数が互いに独立なとき、モーメント母関数の性質 MT(s)=i=1nMXi(s) より、 MT(s)=i=1nexp[λ(es1)]=exp[nλ(es1)] これは、ポアソン分布 Po(nλ) のモーメント母関数とみなすことができる。 したがって、モーメント母関数の一意性により、 TPo(nλ)

〔2-2〕十分統計量
具体的な観測値として、x={x1,x2,xn} という値が得られたときの同時確率関数 f(x) を求めると、 f(x)=i=1nλxieλxi!=λi=1nxienλi=1n1xi!=λtenλi=1n1xi! このとき、 g(t,θ)=λtenλT(X)=Th(x)=i=1n1xi! と考えると、 フィッシャー・ネイマンの因子分解定理により、T(X)=T はパラメータ λ を推定するための十分推定量である。

〔2-3〕最尤推定量
尤度関数=同時確率関数 L(θ) は、 L(λ)=λtenλi=1n1xi! 対数尤度関数 l(θ)=logL(θ) を求めると、 l(λ)=log(λtenλi=1n1xi!)=tlogλnλ+logi=1n1xi! スコア関数 S(θ)=ddθlogL(θ) を求めると、 S(λ)=tλn 尤度方程式 S(θ)=0 を解くと、 0=1λ^tntnλ^=0nλ^=tλ^=tn

〔3〕2次方程式の解としての上下信頼限界

問題文で指定されたとおりに、(1)の中身を2乗すると、 2tnλnλ2(tnλ)2nλ4 これを整理すると、 t22ntλ+n2λ24nλn2λ22n(t+2)λ+t20 2次方程式の解の公式 x=b±b24ac2a より、 λ=2n(t+2)±4n2(t+2)24n2t22n2=2n(t+2)±4n24(t+1)2n2=2n(t+2)±4nt+12n2=t+2±2t+1n したがって、 λL=t+22t+1nλU=t+2+2t+1n

〔4〕信頼区間の特徴

〔3〕で求めた信頼区間の中点 λM=λL+λU2 は、 λM=12(t+2+2t+1n+t+22t+1n)=122(t+2)n=t+2n 中点の定義から、 P(λLλλM)=P(λMλλU) いっぽう、パラメータの最尤推定値は、 λ^=tn したがって、 λ^=tn<t+2n=λMP(λLλλ^)<P(λ^λλU) すなわち、信頼区間の中点は、最尤推定値よりも大きいので、真のパラメータ λ は、最尤推定値よりもやや大きな値である可能性が高いことが分かる。

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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