統計検定 1級 2017年 統計数理 問1 標本平均の分布の特性値

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【2023年6月1週】 【B000】数理統計学 【D000】統計検定 過去問

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本稿には、2017年に実施された統計検定1級『統計数理』 問1の自作解答案を掲載しています。なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • 著作権の関係上、問題文は、掲載することができません。申し訳ありませんが、閲覧者のみなさまでご用意いただければ幸いです。
  • この答案は、あくまでも筆者が自作したものであり、公式なものではありません。正式な答案については、公式問題集をご参照ください。
  • 計算ミスや誤字・脱字などがありましたら、コメントなどでご指摘いただければ大変助かります。
  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。

〔1〕標本平均と標本(不偏)分散

(i)標本平均の期待値
期待値の性質 E(i=1naXi)=ai=1nE(Xi) より、 E(X¯)=E(1ni=1nXi)=1ni=1nE(Xi)=1nnμ=μ

(ii)標本平均の分散
確率変数が互いに独立な時、分散の性質 V(i=1naXi)=a2i=1nV(Xi) より、 V(X¯)=V(1ni=1nXi)=1n2i=1nV(Xi)=1n2nσ2=σ2n

(iii)標本分散の期待値
標本分散の期待値を取ると、 E(T2)=E{1ni=1n(Xiμ)2}=1nE{i=1n(Xi22μXi+μ2)}=1n{E(i=1nXi2)2μE(i=1nXi)+nμ2}=1ni=1nE(Xi2)1n2μnμ+nμ2=1ni=1nE(Xi2)nμ2 分散の公式の変形 E(X2)=V(X)+{E(X)}2 より、 E(Xi2)=σ2+μ2 したがって、 E(T2)=1nn(σ2+μ2)nμ2=σ2+nμ2nμ2=σ2 よって、E(θ^)=θ が成り立つので、T2σ2 の不偏推定量である。

(iv)標本不偏分散の期待値
標本不偏分散の期待値を取ると、 E(S2)=E{1n1i=1n(XiX¯)2}=1n1E{i=1n(Xi22X¯Xi+X¯2)}=1n1E(i=1nXi22X¯i=1nXi+i=1nX¯2)=1n1E(i=1nXi22X¯i=1nXi+nX¯2) ここで、標本平均の定義式より、 X¯=1ni=1nXii=1nXi=nX¯ したがって、 E(S2)=1n1E(i=1nXi22X¯nX¯+nX¯2)=1n1E(i=1nXi2nX¯2)=1n1{E(i=1nXi2)nE(X¯2)}=1n1{i=1nE(Xi2)nE(X¯2)} 分散の公式の変形 E(X¯2)=V(X¯)+{E(X¯)}2 より、 E(X¯2)=σ2n+μ2 したがって、 E(S2)=1n1{n(σ2+μ2)n(σ2n+μ2)}=1n1(nσ2+nμ2σ2nμ2)=1n1(n1)σ2=σ2 よって、E(θ^)=θ が成り立つので、S2σ2 の不偏推定量である。

〔2〕標本平均の分布の歪度

(X¯μ)3=(1ni=1nXiμ)3=(1ni=1nXi1ni=1nμ)3=1n3{i=1n(Xiμ)}3=1n3{(X1μ)++(Xnμ)}3 ここで多項定理より、 (X¯μ)3=1n3{3!3!0!0!i=1n(Xiμ)3+3!2!1!0!ij(Xiμ)2(Xjμ)+3!1!1!1!ijk(Xiμ)(Xjμ)(Xkμ)}=1n3{i=1n(Xiμ)3+3ij(Xiμ)2(Xjμ)+6ijk(Xiμ)(Xjμ)(Xkμ)} 両辺の期待値を取ると、独立な確率変数の期待値の性質 E(XYZ)=E(X)E(Y)E(Z) より、 E[(X¯μ)3]=1n3i=1nE(Xiμ)3+3n3ijE(Xiμ)2E(Xjμ)+6n3ijkE(Xiμ)E(Xjμ)E(Xkμ) ここで、期待値周りの1次モーメントの性質 E(Xiμ)=0 より、 E[(X¯μ)3]=1n3i=1nE(Xiμ)3+0+0=1n3i=1nE(Xiμ)3 E[(Xμ)3]=β1σ3 より、 E[(X¯μ)3]=1n3nβ1σ3=β1σ3n2 歪度の定義式より、 β¯1=E[(X¯μ)3]σX¯3 〔1〕の結果 σX¯=σn より、 β¯1=β1σ3n2(σn)3=β1σ3n2nnσ3=β1n

〔3〕標本平均の分布の尖度

〔2〕と同様に、 (X¯μ)4=(1ni=1nXiμ)4=(1ni=1nXi1ni=1nμ)4=1n4{i=1n(Xiμ)}4=1n4{(X1μ)+(X2μ)++(Xnμ)}4 ここで多項定理より、 (X¯μ)4=1n4{4!4!0!0!0!i=1n(Xiμ)4+4!3!1!0!0!ij(Xiμ)3(Xjμ)+4!2!2!0!0!ij(Xiμ)2(Xjμ)2+4!2!1!1!0!ijk(Xiμ)2(Xjμ)(Xkμ)+4!1!1!1!1!ijkl(Xiμ)(Xjμ)(Xkμ)(Xlμ)} (X¯μ)4=1n4{i=1n(Xiμ)4+4ij(Xiμ)3(Xjμ)+6ij(Xiμ)2(Xjμ)2+12ijk(Xiμ)2(Xjμ)(Xkμ)+24ijkl(Xiμ)(Xjμ)(Xkμ)(Xlμ)} 両辺の期待値を取ると、 E[(X¯μ)4]=1n4{i=1nE[(Xiμ)4]+4ijE[(Xiμ)3]E(Xjμ)+6ijE[(Xiμ)2]E[(Xjμ)2]+12ijkE[(Xiμ)2]E(Xjμ)E(Xkμ)+24ijklE(Xiμ)E(Xjμ)E(Xkμ)E(Xlμ)} 期待値周りの1次モーメントの性質 E(Xiμ)=0 より、 E[(X¯μ)4]=1n4{i=1nE[(Xiμ)4]+6ijE[(Xiμ)2]E[(Xjμ)2]} 分散の定義式 V(X)=E[(Xμ)2] より、 E[(X¯μ)4]=1n4{i=1nE[(Xiμ)4]+6ijV(Xi)V(Xj)}=1n4{nE[(Xμ)4]+6ijV(Xi)V(Xj)} ここで右辺第2項 ijV(Xi)V(Xj) について、 1番目の添え字 i の選び方が n 通り
2番目の添え字 j の選び方が n1 通り
そして、添え字の入れ替えによる重複を考慮すると全部で n(n1)2 通り あるので E[(X¯μ)4]=1n4{n(β2+3)σ4+6n(n1)2σ4}=σ4n3(β2+3+3n3)=σ4n3(β2+3n) 歪度の定義式より、 β¯2=E[(X¯μ)4]{V(X¯)}43=σ4n3(β2+3n)1(σn)43=σ4n3n2σ4(β2+3n)3=β2+3n3nn=β2n

〔4〕標本分布の漸近的性質

〔2〕〔3〕の結果より、n のときの極限を取ると、 limnβ¯1=limnβ1n=0limnβ¯2=limnβ2n=0 したがって、サンプルサイズ n が十分大きいとき、尖度も歪度も0に近づく。このことは、中心極限定理により、標本平均の分布が正規分布に収束することの一側面であると考えられる(正規分布の尖度・歪度はともに0)。

〔5〕正規分布の母分散の最尤推定量

(i)最尤推定量
尤度関数 L(θ) を求めると、 L(μ,σ2)=i=1n12πσe(xiμ)22σ2=(12πσ2)nexp{12σ2i=1n(xiμ)2}=(12πσ2)n2exp{12σ2i=1n(xiμ)2} 対数尤度関数 l(θ)=logL(θ) を求めると、 l(μ,σ2)=log[(12πσ2)n2exp{12σ2i=1n(xiμ)2}]=n2log2πσ212σ2i=1n(xiμ)2=n2(log2π+logσ2)12σ2i=1n(xiμ)2=n2(log2π+logσ2)12σ2(i=1nxi22μi=1nxi+nμ2)

(i)母平均が既知のとき
パラメータ σ2 に関するスコア関数 S(θ)=σ2logL(θ) を求めると、 S(σ2)=n2σ2+12σ4i=1n(xiμ)2 尤度方程式 S(θ)=0 を解くと、 0=n2σ^2+12σ^4i=1n(xiμ)20=nσ^2+i=1n(xiμ)2σ^2=1ni=1n(xiμ)2σ^2=T2

(ii)母平均が未知のとき
母平均の最尤推定量 μ^=x¯ で置換すると、 σ^2=1ni=1n(xix¯)2=nn1S2

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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