統計検定 1級 2019年 統計数理 問4 コーシー分布の検定問題

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【2023年6月4週】 【B000】数理統計学 【D000】統計検定 過去問

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本稿には、2019年に実施された統計検定1級『統計数理』 問4の自作解答案を掲載しています。なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • 著作権の関係上、問題文は、掲載することができません。申し訳ありませんが、閲覧者のみなさまでご用意いただければ幸いです。
  • この答案は、あくまでも筆者が自作したものであり、公式なものではありません。正式な答案については、公式問題集をご参照ください。
  • 計算ミスや誤字・脱字などがありましたら、コメントなどでご指摘いただければ大変助かります。
  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。

〔1〕検定のサイズの算出

帰無仮説における確率密度関数は、 \begin{align} f_0 \left(x\right)=\frac{1}{\pi \left(1+x^2\right)} \end{align} 帰無仮説において、標本値が棄却域に入る確率は、 \begin{align} \alpha&=\int_{1}^{3}\frac{1}{\pi \left(1+x^2\right)}\\ &=\frac{1}{\pi} \left[\tan^{-1} \left(x\right)\right]_1^3\\ &=\frac{1}{\pi} \left\{\tan^{-1} \left(3\right)-\tan^{-1} \left(1\right)\right\}\\ &=\frac{1}{\pi} \left(1.249-\frac{\pi}{4}\right)\\ &=\frac{1.249}{3.1416}-\frac{1}{4}\\ &\cong0.148 \end{align} $\blacksquare$

〔2〕検出力の算出

対立仮説における確率密度関数は、 \begin{align} f_1 \left(x\right)=\frac{1}{\pi \left\{1+ \left(x-1\right)^2\right\}} \end{align} 対立仮説において、標本値が棄却域に入る確率は、 \begin{align} 1-\beta&=\int_{1}^{3}\frac{1}{\pi \left\{1+ \left(x-1\right)^2\right\}}\\ &=\frac{1}{\pi} \left[\tan^{-1} \left(x-1\right)\right]_1^3\\ &=\frac{1}{\pi} \left\{\tan^{-1} \left(2\right)-\tan^{-1} \left(0\right)\right\}\\ &=\frac{1}{3.1416} \left(1.107-0\right)\\ &\cong0.352 \end{align} $\blacksquare$

〔3〕尤度比の算出

尤度比の定義式より、 \begin{align} \lambda \left(x\right)&=\frac{\frac{1}{\pi \left\{1+ \left(x-1\right)^2\right\}}}{\frac{1}{\pi \left(1+x^2\right)}}\\ &=\frac{1+x^2}{ \left\{1+ \left(x-1\right)^2\right\}} \end{align} $x=1$ を代入すると、 \begin{align} \lambda \left(1\right)=\frac{1+1}{ \left\{1+ \left(1-1\right)^2\right\}}=2 \end{align} $x=3$ を代入すると、 \begin{align} \lambda \left(3\right)=\frac{1+9}{ \left\{1+ \left(3-1\right)^2\right\}}=2 \end{align} $\lambda \left(x\right)$ の1階微分を求めると、 \begin{align} \lambda^\prime \left(x\right)&=\frac{2x \left\{1+ \left(x-1\right)^2\right\}- \left(1+x^2\right) \cdot 2 \left(x-1\right)}{ \left\{1+ \left(x-1\right)^2\right\}^2}\\ &=\frac{2x+2x \left(x^2-2x+1\right)- \left(2x^3-2x^2+2x-2\right)}{ \left\{1+ \left(x-1\right)^2\right\}^2}\\ &=-\frac{2x^2-2x-2}{ \left\{1+ \left(x-1\right)^2\right\}^2}\\ &=-\frac{2 \left(x^2-x-1\right)}{ \left\{1+ \left(x-1\right)^2\right\}^2} \end{align} $\lambda^\prime \left(x\right)=0$ となる $x$ は、2次方程式の解の公式 $x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}$ より、 \begin{align} x=\frac{1\pm\sqrt5}{2} \end{align} 増減表は、 \begin{array}{c|ccccc} x& \cdots & \frac{1-\sqrt5}{2}& \cdots & \frac{1+\sqrt5}{2}& \cdots & \\ \hline \lambda^\prime \left(x\right)& -& 0& +& 0& -& \\ \hline \lambda \left(x\right)& \searrow& \lambda \left(\frac{1-\sqrt5}{2}\right)& \nearrow& \lambda \left(\frac{1+\sqrt5}{2}\right)& \searrow& \\ \end{array} \begin{align} \lambda \left(1\right)=\lambda \left(3\right)=2 \end{align} グラフの概形を描くと、以下のようになる。 $\blacksquare$

尤度比関数のイメージ図
図1 尤度比関数

〔4〕最強力検定の導出

本問の場合、2つの単純仮説による検定問題 \begin{align} H_0:\theta=0 \quad H_1:\theta=1 \end{align} を考えるにあたり、 大きさ$1$の標本 $X$ にもとづく $\theta$ の尤度関数と尤度比関数を以下のようにおいている。 \begin{gather} L_i \left(\theta\right)=f_i \left(x\right)\\ \lambda \left(x\right)=\frac{f_1 \left(x\right)}{f_0 \left(x\right)} \end{gather} ネイマン・ピアソンの基本定理の内容は、「単純仮説の検定問題において、尤度比を用いた以下の棄却域と検定関数をもつ検定が有意水準を $\alpha$ とする最強力検定である」というものである。 \begin{align} \varphi \left(\theta;x\right)= \left\{\begin{matrix}\lambda \left(x\right) \lt k&\mathrm{0:Accept\ }H_0\\\lambda \left(x\right) \gt k&\mathrm{1:Reject\ }H_0\\\end{matrix}\right. \end{align} ただし、定数 $k$ は、$0 \lt k$ を満たし、 \begin{align} P \left\{x\in R\middle|\theta=0\right\}=\alpha \end{align} 本問の場合、〔3〕の結果より、$k=2$ とすると、 \begin{gather} R= \left\{x:1 \lt x \lt 3\right\}\Rightarrow\lambda \left(x\right) \gt 2\Rightarrow\mathrm{1:Reject\ }H_0\\ R^C= \left\{x:x \le 1,3 \le x\right\}\Rightarrow\lambda \left(x\right) \lt 2\Rightarrow\mathrm{0:Accept\ }H_0 \end{gather} すなわち、 $1 \lt x \lt 3$ においては、尤度比が2よりも大きいので帰無仮説を棄却
それ以外においては、尤度比が2よりも小さいので帰無仮説を保留
となる有意水準 $\alpha$ の最強力検定となる。 $\blacksquare$

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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