関数の増減の判定

公開日:

【2022年12月2週】 【C000】数学 【C040】微分

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本稿では、関数の増減の判定を紹介しています。

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導関数の符号と関数の増減

【定理】
導関数の符号と関数の増減
Sign of Derivative and Increase and Decrease of Functions

関数 f は区間 I で連続、I の内部で微分可能であるとき、I の内部で常に
0<f(x) ならば、f は区間 I で増加する。f(x)<0 ならば、f は区間 I で減少する。f(x)=0 ならば、f は区間 I で定数である。

証明

証明

区間 I の内部に x1<x2 をみたす任意の x1,x2 をとると、平均値の定理より f(x2)f(x1)x2x1=f(c)x1<c<x2 をみたす c が存在する。 したがって、 (1)f(x2)f(x1)=f(c)(x2x1)

[I]単調増加
仮定より x2x1>0f(c)>0 したがって、式 (1) より、 f(x2)f(x1)=f(c)(x2x1)>0f(x2)>f(x1) したがって、与えられた仮定が満たされるとき、f(x) は区間 I で単調に増加する。

[II]単調減少
仮定より x2x1>0f(c)<0 したがって、式 (1) より、 f(x2)f(x1)=f(c)(x2x1)<0f(x2)<f(x1) したがって、与えられた仮定が満たされるとき、f(x) は区間 I で単調に減少する。

[III]定数
仮定より x2x1>0f(c)=0 したがって、式 (1) より、 f(x2)f(x1)=f(c)(x2x1)=0f(x2)=f(x1) したがって、与えられた仮定が満たされるとき、f(x) は区間 I で定数である。

定理の系

定理の系

ある区間 I で2つの関数 F,G が微分可能で、I のすべての点 x に対し、 F(x)=G(x) が成り立つとする。 このとき、I のすべての点 x に対し、 G(x)=F(x)+C を満たす定数 C が存在する。

証明

証明

仮定より、F(x)=G(x) なので、差の導関数は、 {G(x)F(x)}=G(x)F(x)=0 したがって、差 G(x)F(x) は区間 I で定数である。 その定数を C とすると G(x)F(x)=CG(x)=F(x)+C

増減表

例えば、 f(x)=x33x+1 について 1階微分を求めると f(x)=3x23=3(x+1)(x1) したがって、
区間x<1では、f(x)>0 区間1<x<1では、f(x)<0 区間1<xでは、f(x)>0 これを表にまとめると以下のようになる。 x11f(x)+00+f(x)31 このような表のことを増減表 derivative sign chart という。表の中の は増加を、 は減少を表している。一般に関数の増減について調べるときは、増減表を作ると便利である。

極大点・極小点との関係

関数 f が微分可能である区間内の1点 c において f(c)=0 で、x が増加しながら c を通過するとき、 f(x) の値が正から負に変わるならば、 x=cf の極大点 である。 f(x) の値が負から正に変わるならば、 x=cf の極小点 である。 実際上、これが関数の極値を求めるための基本的な判定法となっている。なお、f(c)=0 であっても、x=c の前後で f(x) の符号が変わらなければ、f(c) は極値ではない。

参考文献

  • 松坂 和夫 著. 数学読本 5. 新装版, 岩波書店, 2019, p.908-912

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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