本稿には、2016年に実施された統計検定1級『医薬生物学』 問1の自作解答案を掲載しています。なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。
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- この答案は、あくまでも筆者が自作したものであり、公式なものではありません。正式な答案については、公式問題集をご参照ください。
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〔1〕対応のあるt検定
本問の場合、治療前後の測定値の差 が互いに独立に正規分布
に従うという仮定の下、
帰無仮説は、「前後差の平均値が である」
対立仮説は、「前後差の平均値が でない」
観測値の前後差の標本平均と標本標準偏差を として、検定統計量を
として、
以下の棄却域と検定関数 をもつ検定が、有意水準を とする対応のある 検定である。
検定統計量を求めると、
より、
したがって、有意水準を5%で帰無仮説は棄却されない。
〔2〕符号検定と符号付き順位検定の帰無仮説と必要な仮定
まず、検定する仮説について、どちらも
帰無仮説は、「前後差 の分布の中央値が である」
対立仮説は、「前後差 の分布の中央値が でない」
となる。
次に必要な仮定について、どちらも、
前後差の観測値が互いに独立である
という仮定が必要である。
くわえて、母集団分布の形状について、符号検定を適用する場合は、母集団に関して必要な仮定は特にないが、符号付き順位検定を適用する場合は、
必ずしも正規分布でなくともよいが、中央値を中心として左右対称である
という仮定が必要である。
〔3〕符号検定の検定統計量の期待値と分散
中央値の定義より、帰無仮説のもとで、前後差 の符号が正である確率は、
総患者数を とするとき、符号が正であるものの数 は、
二項分布の期待値と分散の公式より、
〔4〕符号検定におけるexactな両側P値の算出
有意確率を直接的に求める場合、実際に観測された状況以上に極端な状況になる確率を求めるので、本問の場合は、
を求めればよい。
二項分布の確率関数を用いて、この確率を求めると、
したがって、
両側検定の場合は、この値を2倍して
〔5〕符号付き順位検定
が正の値を取るか否かを以下のようなベルヌーイ試行と考え、
を の絶対値の順位とすると、検定統計量を以下のように定義することもできる。
(i)期待値
確率変数 について、期待値の定義式 より、
検定統計量 の期待値は、期待値の性質 より、
自然数の和の公式 より、
(ii)分散
2乗の期待値の定義式 より、
分散の公式 より、
確率変数が互いに独立なとき、分散の性質 より、
自然数の2乗和の公式 より、
この検定統計量は、帰無仮説のもとで漸近的に、
これを標準化した値を
とすると、
それぞれの値を求めると、
これを標準正規分布の上側2.5%点と比較すると、
したがって、有意水準を5%で帰無仮説は棄却される。この結論は、〔1〕と異なるが、本問ではサンプルサイズが小さく、患者ID2の差が他のデータと比べ高く、平均値にもとづく対応のある 検定は、ノンパラメトリック法である符号付き順位検定より、外れ値の影響を受けたと考えられる。
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