統計検定 1級 2016年 医薬生物学 問4 対数正規分布と同等性試験

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【2023年1月2週】 【A000】生物統計学 【D000】統計検定 過去問

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本稿には、2016年に実施された統計検定1級『医薬生物学』 問4の自作解答案を掲載しています。なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • 著作権の関係上、問題文は、掲載することができません。申し訳ありませんが、閲覧者のみなさまでご用意いただければ幸いです。
  • この答案は、あくまでも筆者が自作したものであり、公式なものではありません。正式な答案については、公式問題集をご参照ください。
  • 計算ミスや誤字・脱字などがありましたら、コメントなどでご指摘いただければ大変助かります。
  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。

〔1〕対数正規分布の中央値

Xi の中央値を Xi=m とすると、 P(Xim)=0.5P(logXilogm)=0.5P(Yilogm)=0.5 正規分布の場合、平均値=中央値となるので、 μ=logmm=eμ

〔2〕対数正規分布の確率密度関数の導出

正規分布 N(μ,σ2) の確率密度関数は、 g(y)=12πσe(yμ)22σ2 X=eY の取り得る値の範囲は、 y:whenx:0 確率変数 X の累積分布関数を F(x) とすると、累積分布関数の定義式 F(x)=P(Xx) より、 F(x)=P(Xx)=P(logXlogx)=P(Ylogx) 累積分布関数の定義式 G(y)=P(Yy) より、確率変数 Y の累積分布関数を G(y) とすると、 F(x)=G(logx) 確率密度関数を f(x) とすると、累積分布関数と確率密度関数との関係 f(x)=ddxF(x) より、 f(x)=ddxF(x)=ddxG(logx)=g(logx)1x=1x2πσexp[(logxμ)22σ2]

〔3〕対数正規分布の期待値と分散

確率変数の定義式より、 Y=logXX=eY モーメント母関数の定義式 MY(t)=E(eYt) より、 exp(μt+t2σ22)=E[(eY)t](1)=E(Xt) (i)期待値
(1)t=1 を代入すると、 E(X)=eμ+12σ2 (ii)分散
(1)t=2 を代入すると、 E(X2)=e2μ+σ2 分散の公式 V(X)=E(X2){E(X)}2 より、 V(X)=e2μ+2σ2(eμ+σ22)2=e2μ+2σ2e2μ+σ2=e2μ+σ2(eσ21)

〔4〕母分散の見積もり値の算出

〔3〕の結果より、AUCの変動係数 CV=V(X)E(X) は、 CV={exp(2μ+σ2)}(exp(σ2)1)exp(μ+σ22)=exp{12(2μ+σ2)μ+σ22}(exp(σ2)1)=(exp(σ2)1) 問題の条件 CV=1 より、 (exp(σ2)1)=1exp(σ2)1=12exp(σ2)=2σ2=log2

〔5〕中央値の比の信頼区間

〔1〕の結果より、 R=eμAeμB=eμAμB 正規分布の再生性より、Yi の分散 τ2 を未知数として、 Yi=YiAYiBN(μAμB,τ2) 母分散が未知の正規分布の母平均の90%信頼区間は、μd=μAμB として、 t0.05(n1)n(Y¯μd)st0.05(n1)Y¯snt0.05(n1)μdY¯+snt0.05(n1)0.10.5101.833μd0.1+0.5101.8330.19μd0.39 これを指数変換してAUCの比の信頼区間を求めると、 e0.19eμAμBe0.390.83eμAμB1.48 この信頼区間は、同等域 (0.8,1.25) に完全に含まれていないので、2つの薬剤の生物学的同等性は成り立つとはいえない。

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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