統計検定 1級 2013年 統計数理 問4 ウィルコクソンの符号順位検定

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【2023年5月2週】 【B000】数理統計学 【D000】統計検定 過去問

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本稿には、2013年に実施された統計検定1級『統計数理』 問4の自作解答案を掲載しています。なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • 著作権の関係上、問題文は、掲載することができません。申し訳ありませんが、閲覧者のみなさまでご用意いただければ幸いです。
  • この答案は、あくまでも筆者が自作したものであり、公式なものではありません。正式な答案については、公式問題集をご参照ください。
  • 計算ミスや誤字・脱字などがありましたら、コメントなどでご指摘いただければ大変助かります。
  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。

〔1〕最低限必要なサンプルサイズ

中央値の定義より、帰無仮説 H0:θ=0 の下で、各 zi が正の値をとる確率は、 P(0<zi)=12 n 個すべての値が正の値を取る確率は、 P=(12)n 帰無仮説が有意水準5%で棄却されるためには、この確率が0.05よりも小さな値になれなければならないので、 (12)4=0.0625>0.05(12)5=0.03125<0.05 したがって、サンプルサイズは、最低でも 5n でなければならない。

〔2〕棄却限界値の導出

まず、zi の正負の組み合わせは、全部で 27 通り存在し、帰無仮説の下で、どのパターンも同様に確からしい。
帰無仮説を棄却する場合の数の総数を a 通りとすると、 127a0.05a1280.05=6.4 検定統計量 T の値の最大値は、すべてが正の値の場合であるとき T=1+2++7=28 検定統計量 T の値を数え上げていくと、 T=28 は、{1,2,3,4,5,6,7} の1通り
T=27 は、{2,3,4,5,6,7} の1通り
T=26 は、{1,3,4,5,6,7} の1通り
T=25 は、{1,2,4,5,6,7},{3,4,5,6,7} の2通り
T=24 は、{1,2,3,5,6,7},{2,4,5,6,7} の2通り
したがって、 P(24T|H0)=7270.055P(25T|H0)=5270.039 したがって、棄却限界値と有意確率は、それぞれ、 c=25p=0.039

〔3〕検定統計量の期待値と分散

zi が正の値を取るか否かを以下のようなベルヌーイ試行と考え、 δi={0zi<010<ziP(δi=0)=P(δi=1)=12 izi の絶対値の順位とすると、検定統計量を以下のように定義することもできる。 Ri=iδiT=i=1nRi (i)期待値
確率変数 Ri について、期待値の定義式 E(X)=x=xf(x) より、 E(Ri)=i{0P(δi=0)+1P(δi=1)}=i2 検定統計量 T の期待値は、期待値の性質 E(i=1nXi)=i=1nE(Xi) より、 E(T)=i=1nE(Ri)=12i=1ni 自然数の和の公式 k=1nk=n(n+1)2 より、 E(T)=12n(n+1)2=n(n+1)4

(ii)分散
2乗の期待値の定義式 E(X)=x=x2f(x) より、 E(Ri2)=i{02P(δi=0)+12P(δi=1)}=i22 分散の公式 V(Ri)=E(Ri2){E(Ri)}2 より、 V(Ri)=i22i24=i24 確率変数が互いに独立なとき、分散の性質 V(i=1nXi)=i=1nV(Xi) より、 V(T)=i=1ni24=14i=1ni2 自然数の2乗和の公式 k=1nk2=n(n+1)(2n+1)6 より、 V(T)=14n(n+1)(2n+1)6=n(n+1)(2n+1)24

〔4〕検定統計量の正規近似

検定統計量 T は漸近的に、 TN[n(n+1)4,n(n+1)(2n+1)24] n=7 のときは、 TN(14,35) 標準化した値を Z=T1435 とすると、 ZN(0,1) 棄却限界値を求めると、 P(cT)=0.05P(c1435T1435)=0.05P(c1435Z)=0.05c1435=z0.05 標準正規分布表より、z0.05=1.64 なので、 c1435=1.64c=14+1.6435c23.70 c は整数値なので、 c24

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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