統計検定 1級 2015年 統計数理 問1 標本モーメント

公開日:

【2023年5月4週】 【B000】数理統計学 【D000】統計検定 過去問

この記事をシェアする
  • B!
サムネイル画像

本稿には、2015年に実施された統計検定1級『統計数理』 問1の自作解答案を掲載しています。なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • 著作権の関係上、問題文は、掲載することができません。申し訳ありませんが、閲覧者のみなさまでご用意いただければ幸いです。
  • この答案は、あくまでも筆者が自作したものであり、公式なものではありません。正式な答案については、公式問題集をご参照ください。
  • 計算ミスや誤字・脱字などがありましたら、コメントなどでご指摘いただければ大変助かります。
  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。

〔1〕標本平均の2次モーメント

(i)標本平均の期待値
期待値の性質 E(i=1naXi)=ai=1nE(Xi) より、 E(X¯)=E[1ni=1nXi]=1ni=1nE(Xi)=1nnμ=μ (ii)標本平均の分散
分散の性質 V(i=1naXi)=a2i=1nV(Xi) より、 V(X¯)=V[1ni=1nXi]=1n2i=1nV(Xi)=1n2nσ2=σ2n 分散の公式の変形 E(X2)=V(X)+{E(X)}2 より、 E(X¯2)=σ2n+μ2

〔2〕標本不偏分散の不偏性の証明

標本不偏分散の定義式を変形すると、 S2=1n1i=1n(Xi22XiX¯+X¯2)=1n1(i=1nXi22X¯i=1nXi+nX¯2) 標本平均の定義式より、 X¯=1ni=1nXii=1nXi=nX¯ よって、 S2=1n1(i=1nXi22nX¯2+nX¯2)=1n1(i=1nXi2nX¯2) 両辺の期待値を取ると、 E(S2)=1n1E(i=1nXi2nX¯2)=1n1{i=1nE(Xi2)nE(X¯2)}=1n1{nE(Xi2)n(σ2n+μ2)}=1n1{nE(Xi2)(σ2+nμ2)} 分散の公式の変形 E(X2)=V(X)+{E(X)}2 より、 E(Xi2)=σ2+μ2 したがって、 E(S2)=1n1{n(σ2+μ2)σ2nμ2}=n1n1σ2=σ2 したがって、不偏推定量の定義 E(θ^)=θ を満たすため、S2 は母分散 σ2 の不偏推定量である。

〔3〕標本平均の平均まわりのモーメント

正規分布の標本平均が従う分布は、 X¯N(μ,σ2n) 正規分布のモーメント母関数の公式より、 MX¯(θ)=eμθ+σ22nθ2 モーメント母関数の性質 MaX+b(θ)=ebθMX(aθ) より、 MX¯μ(θ)=eμθeμθ+σ22nθ2=eσ22nθ2 これをマクローリン展開すると、 MX¯μ(θ)=1+σ22nθ2+12(σ2θ22n)2+13!(σ2θ22n)3+=1+σ22nθ2+12σ44n2θ4+13!σ68n3θ6+=l=01l!(σ22n)lθ2l モーメント母関数の k 階微分を求めると、
(i)k が奇数 k=2m1 のとき
MX¯μ(k)(θ)=l=02l(2l1)(2lk+1)l!(σ22n)lθ2lk モーメント母関数と k 次モーメントの関係より、 MX¯μ(k)(0)=E[(X¯μ)k]=0 (ii)k が偶数 k=2m のとき MX¯μ(k)(θ)=(2m)!m!(σ22n)m+l=m2l(2l1)(2l2m+1)l!(σ22n)lθ2l2m モーメント母関数と k 次モーメントの関係より、 MX¯μ(k)(0)=E[(X¯μ)k]=(2m)!m!(σ22n)m

〔4〕標本不偏分散の一致性

正規分布の標本不偏分散の性質より、 (n1)S2σ2χ2(n1) χ2分布の分散の公式より、 V[(n1)S2σ2]=2(n1)V(S2)=σ4(n1)22(n1)=2σ4n1 チェビシェフの不等式より、任意の正の数 0<ε に対して、 P(|S2σ2|ε)V(S2)ε2=2σ4ε2(n1) 両辺の n のときの極限を取ると、 limnP(|S2σ2|ε)=limn2σ4ε2(n1)=0 したがって、一致性の定義を満たすため、S2σ2 の一致推定量である。

〔5〕平均二乗誤差

問題文の定義式を変形していくと、 MSE[cS2]=E[(cS2σ2)2]=E[c2S42cS2σ2+σ4]=c2E[S4]2cσ2E[S2]+σ4=c2E[S4]2cσ4+σ4=c2[V[S2]+{E[S2]}2]2cσ4+σ4=c2(2σ4n1+σ4)2cσ4+σ4=(2c2n1+c22c+1)σ4={2c2n1+(c1)2}σ4 ここで、f(c)=MSE[cS2] とおいて、1階微分を求めると、 f(c)={4cn1+2(c1)}σ4=(n1){4c+2(n1)(c1)}σ4=(n1)(4c+2cn2n2c+2)σ4=(n1)(2cn+2c2n+2)σ4=2(n1){c(n+1)(n1)}σ4 最小値は極値であると考えられるので、 2(n1){c(n+1)(n1)}σ4=0c=n1n+1 このときの MSE[cS2] の値は、 MSE[cS2]={2n1(n1n+1)2+(n1n+11)2}σ4={2(n1)(n+1)2+4(n+1)2}σ4=2(n+1)(n+1)2σ4=2n+1σ4

関連記事

自己紹介

自分の写真

yama

大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

このブログを検索

ブログ アーカイブ

QooQ