本稿には、2012年に実施された統計検定1級『統計数理』 問1の自作解答案を掲載しています。なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。
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- この答案は、あくまでも筆者が自作したものであり、公式なものではありません。正式な答案については、公式問題集をご参照ください。
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〔1〕確率積分変換
累積分布関数の定義から、$P \left(Z \lt 0\right)=P \left(1 \lt Z\right)=0$ であり、$Z$ の定義域は、$0 \le Z \le 1$ である。
ここで、$U$ の累積分布関数を $G \left(u\right)$ とすると、 \begin{align} G \left(u\right)&=P \left(U \le u\right)\\ &=P \left\{F \left(Z\right) \le u\right\}\\ \end{align} また、$F \left(z\right)$\ は狭義単調増加関数なので、逆関数 $Z=F^{-1} \left(u\right)$ が存在することから \begin{align} G \left(u\right)&=P \left\{Z \le F^{-1} \left(u\right)\right\}\\ &=F \left\{F^{-1} \left(u\right)\right\}\\ &=u \end{align} これは、一様分布 \begin{align} \mathrm{U} \left(0,1\right) \end{align} の累積分布関数であるから、 累積分布関数の一意性により、 \begin{align} Z \sim \mathrm{U} \left(0,1\right) \end{align} $\blacksquare$
〔2〕順序統計量の分布
まず、確率変数 $X_j$ の累積分布関数と確率密度関数をそれぞれ \begin{gather} G_j \left(x\right) \quad g_j \left(x\right)\\ 0 \le x \le 1 \end{gather} とする。
(i)最大値 $X_3$ の分布
最大値が $x$ 以下となるとき、すべての $X_j$ が $x$ 以下となるので、
\begin{align}
G_3 \left(x\right)=P \left(X_1 \le x,X_2 \le x,X_3 \le x\right)
\end{align}
確率変数 $X_j$ は互いに独立であるため、この確率は、
\begin{align}
G_3 \left(x\right)&=P \left(U_1 \le x\right) \cdot P \left(U_2 \le x\right) \cdot P \left(U_3 \le x\right)\\
&=F \left(x\right) \cdot F \left(x\right) \cdot F \left(x\right)\\
&= \left\{F \left(x\right)\right\}^3\\
&=x^3
\end{align}
累積分布関数と確率密度関数の関係 $g \left(x\right)=\frac{d}{dx}G \left(x\right)$ より、
\begin{align}
g_3 \left(x\right)=3x^2
\end{align}
(ii)2番目に大きい値 $X_2$ の分布
2番目の値が $x$ 以下となるのは、
$U_1,\ U_2,U_3$ のうち2つが $x$ 以下、かつ、1つが $x$ 以上
もしくは、
$U_1,\ U_2,U_3$ のすべてが $x$ 以下
のときであるから、
(a)2つが $x$ 以下となる確率は、
\begin{align}
P_1&={}_{3}C_2 \cdot P \left(U \le x\right) \cdot P \left(U \le x\right) \cdot P \left(U \geq x\right)\\
&=3 \cdot x \cdot x \cdot \left(1-x\right)\\
&=3x^2-3x^3
\end{align}
(b)3つが $x$ 以下となる確率は、(i)の結果より、
\begin{align}
P_2&=x^3
\end{align}
したがって、
\begin{align}
G_2 \left(x\right)&=3x^2-3x^3+x^3\\
&=3x^2-2x^3
\end{align}
累積分布関数と確率密度関数の関係 $g \left(x\right)=\frac{d}{dx}G \left(x\right)$ より、
\begin{align}
g_2 \left(x\right)&=-6x^2+6x
\end{align}
(iii)最小値 $X_1$ の分布
最小値が $x$ 以下となるとき、少なくとも1つの $X_i$ が $x$ 以下となる。これは、「すべての $X_i$ が $x$ 以上となる事象」の余事象であるから、
\begin{align}
G_1 \left(x\right)=1-P \left(x \le X_1,x \le X_2,x \le X_3\right)
\end{align}
確率変数 $X_j$ は互いに独立であるため、この確率は、
\begin{align}
G_1 \left(x\right)=1-P \left(x \le U_1\right) \cdot P \left(x \le U_2\right) \cdot P \left(x \le U_3\right)
\end{align}
確率の基本性質 $P \left(x \le X\right)=1-P \left(X \le x\right)$ より、
\begin{align}
G_1 \left(x\right)&=1- \left[ \left\{1-F \left(x\right)\right\} \cdot \left\{1-F \left(x\right)\right\} \cdot \left\{1-F \left(x\right)\right\}\right]\\
&=1- \left\{1-F \left(x\right)\right\}^3\\
&=1- \left(1-x\right)^3
\end{align}
累積分布関数と確率密度関数の関係 $g \left(x\right)=\frac{d}{dx}G \left(x\right)$ より、
\begin{align}
g_1 \left(x\right)&=-3 \left(1-x\right)^2 \cdot \frac{d}{dx} \left(1-x\right)\\
&=-3 \left(1-x\right)^2 \cdot \left(-1\right)\\
&=3 \left(1-x\right)^2
\end{align}
それぞれのグラフを描くと、以下のようになる。 $\blacksquare$
〔3〕確率変数の期待値
期待値の定義式 $E \left(X\right)=\int_{-\infty}^{\infty}{x \cdot f \left(x\right)dx}$ より、
(i)最大値 $X_3$ の期待値
\begin{align}
E \left(X_3\right)&=\int_{0}^{1}{x \cdot g_3 \left(x\right)dx}\\
&=\int_{0}^{1}{x \cdot 3x^2dx}\\
&=\int_{0}^{1}{3x^3dx}\\
&= \left[\frac{3}{4}x^4\right]_0^1\\
&=\frac{3}{4}
\end{align}
(ii)2番目に大きい値 $X_2$ の期待値
\begin{align}
E \left(X_2\right)&=\int_{0}^{1}{x \cdot g_2 \left(x\right)dx}\\
&=\int_{0}^{1}x \left(-6x^2+6x\right)dx\\
&=\int_{0}^{1} \left(-6x^3+6x^2\right)dx\\
&= \left[-\frac{3}{2}x^4+2x^3\right]_0^1\\
&=-\frac{3}{2}+2\\
&=\frac{1}{2}
\end{align}
(iii)最小値 $X_1$ の期待値 \begin{align} E \left(X_1\right)&=\int_{0}^{1}{x \cdot g_1 \left(x\right)dx}\\ &=\int_{0}^{1}x \left(3x^2-6x+3\right)dx\\ &=\int_{0}^{1} \left(3x^3-6x^2+3x\right)dx\\ &= \left[\frac{3}{4}x^4-2x^3+\frac{3}{2}x^2\right]_0^1\\ &=\frac{3}{4}-2+\frac{3}{2}\\ &=\frac{1}{4} \end{align} $\blacksquare$
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