統計検定 1級 2014年 統計数理 問2 ガンマ分布と連続一様分布の順序統計量

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【2023年5月3週】 【B000】数理統計学 【D000】統計検定 過去問

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本稿には、2014年に実施された統計検定1級『統計数理』 問2の自作解答案を掲載しています。なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • 著作権の関係上、問題文は、掲載することができません。申し訳ありませんが、閲覧者のみなさまでご用意いただければ幸いです。
  • この答案は、あくまでも筆者が自作したものであり、公式なものではありません。正式な答案については、公式問題集をご参照ください。
  • 計算ミスや誤字・脱字などがありましたら、コメントなどでご指摘いただければ大変助かります。
  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。

〔1〕ガンマ分布のモーメント母関数の導出

モーメント母関数の定義式 MX(θ)=eθxf(x)dx より、 MX(θ)=0eθx1Γ(m)xm1exdx=1Γ(m)0xm1e(1θ)xdx モーメント母関数が存在するためには、指数部分が負である必要があるので、 (1θ)<01θ>0θ<1 ガンマ関数の公式 0yα1eβydy=Γ(α)βα より、 MX(θ)=1Γ(m)(11θ)mΓ(m)=(11θ)m

〔2〕ガンマ分布の期待値と分散:モーメント母関数を用いる方法

モーメント母関数の1階微分を求めると、合成関数の微分法より、 MX(1)(θ)=m(1θ)m1ddθ(1θ)=m(1θ)m1(1)=m(1θ)m+1 1次モーメントとモーメント母関数の関係 MX(1)(0)=E(X) より、 E(X)=m(10)m+1=m

(ii)分散
モーメント母関数の2階微分を求めると、合成関数の微分法より、 MX(2)(θ)=m(m+1)m1(1θ)m2ddθ(1θ)(θ)=m(m+1)m1(1θ)m2(1)=m(m+1)(1θ)m+2 2次モーメントとモーメント母関数の関係 MX(2)(0)=E(X2) より、 E(X2)=m(m+1)(10)m+2=m(m+1) 分散の公式 V(X)=E(X2){E(X)}2 より、 V(X)=m(m+1)m2=m

〔3〕ガンマ分布の和の分布

(a)確率変数 T の分布
〔1〕の結果より、m=1 のときの Xi のモーメント母関数は、 MXi(θ)=11θ 確率変数が互いに独立なとき、モーメント母関数の性質 MT(θ)=i=1n+1MXi(θ) より、 MT(θ)=i=1n+111θ=(11θ)n+1 これは、ガンマ分布 Ga(n+1,1) のモーメント母関数とみなすことができる。 したがって、モーメント母関数の一意性により、 TGa(n+1,1)

〔b〕和と比の独立性
まず、以下のような重複しない部分和を考えると、 W=X1+X2++XiV=Xi+1+Xi+2++Xn+1 UV はそれぞれ独立に WGa(i,1)VGa(n+1i,1) したがって、WV の同時確率密度関数は、 gW,V(w,v)=fW(w)fV(v)=1Γ(i)wi1ew1Γ(n+1i)vniev ここで、TYiW,V を用いて表すと、 {t=w+vyi=ww+v{w=yitv=(1yi)t{w:0v:0{t:0yi:01 YiT の同時確率密度関数 gY,T(yi,t) について考えるとヤコビアンは、 |J|=|wtwyivtvyi|=|yit1yit|=|yitt(1yi)|=t 変数変換後の同時確率密度関数の公式 gY,T(yi,t)=gW,V{w(yi,t),v(yi,t)}|J| より、 gY,T(yi,t)=gW,V{yt,(1y)t}t=t1Γ(i)(yit)i1eyit1Γ(n+1i){(1yi)t}nie(1yi)t=1Γ(i)tnet1Γ(n+1i)yii1(1yi)ni=1Γ(n+1)tnetΓ(n+1)Γ(i)Γ(n+1i)yii1(1yi)ni ここで、右辺第1項は、ガンマ分布 TGa(n+1,1) の確率密度関数であり、 右辺第2項は、ベータ分布 YiBe(i,n+1i) の確率密度関数である。 また、この式は、確率変数の独立性の定義式 f(x,y)=g(x)h(y) を満たすので、T,Yi は互いに独立である。

〔4〕連続一様分布の順序統計量の分布

連続一様分布 U(0,1) の累積分布関数と確率密度関数は、 f(u)={10u10other F(u)={0u<0u0u111<u 順序統計量の確率密度関数の公式より、 gi(u)=n!(i1)!(ni)!{F(x)}i1{1F(x)}nif(x)=n!(i1)!(ni)!ui1(1u)ni1=Γ(i+ni+1)Γ(i)Γ(ni+1)ui1(1u)ni=Γ(n+1)Γ(i)Γ(ni+1)ui1(1u)ni これは、ベータ分布 Be(i,ni+1) の確率密度関数である。 よって、個々の確率密度関数が等しいので、確率密度関数の一意性により、個々の分布関数も等しく、同時分布も等しい。

〔5〕連続一様分布の順序統計量の期待値

〔4〕の結果より、 U(j)=Yi また、〔3〕における定義から、 YiT=X1+X2++Xi 両辺の期待値を取ると、 E(YiT)=E(X1+X2++Xi)=E(X1)+E(X2)++E(Xi) 〔2〕の結果に m=1 を代入すると、 E(Xi)=1 したがって、 E(YiT)=i また、〔1〕〔2〕の結果より、 E(T)=n+1 いっぽう、〔3〕の結果より、T,Yi は互いに独立なので、期待値の性質 E(TYi)=E(T)E(Yi) より、 i=(n+1)E(Yi)E(Yi)=in+1=E[U(j)]

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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