ガンマ分布の定義と概要

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【2023年3月5週】 【B000】数理統計学 【B040】連続型の確率分布

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本稿では、ガンマ分布の定義と概要についてまとめています。確率密度関数であることの証明、累積分布関数の導出、最頻値の導出、期待値・分散、モーメント母関数、再生性の紹介が含まれます。

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ガンマ分布

確率密度関数

確率密度関数 f(x)f(x)={βαΓ(α)xα1eβx0x0other0<α0<β で与えられる連続型確率分布をガンマ分布 gamma distribution という。

略記法

また、ガンマ分布は、 Ga(α,β) と略記されることがある。

アーラン分布

特に、α が非負の整数値のみを取る場合は、単位時間あたり平均 β 回発生する事象があるとき、 その事象が α 回起こるまでの時間 X となり、このときは、アーラン分布 Erlang distribution とも呼ばれる。

確率密度関数であることの証明

証明

(i)すべての x に関して、f(x)0
0<Γ(α)0<1Γ(α)0<ββα0<xxα10<ea0<eβx したがって、 f(x)=βαΓ(α)xα1eβx>0 (ii)すべての確率の和が1 f(x)dx=0βαΓ(α)xα1eβxdx=βαΓ(α)0xα1eβxdx ここで、以下のように変数変換すると、 y=βxx=yβdxdy=1βdx=1βdyx:0y:0 となるので、 置換積分法により、 βαΓ(α)0xα1eβxdx=βαΓ(α)0(yβ)α1ey1βdy=βαΓ(α)(1β)α11β0yα1eydy=βαΓ(α)(1β)α0yα1eydy ガンマ関数の定義式 0yα1eydy=Γ(α) より、 f(x)dx=βαΓ(α)Γ(α)βα=1 よって、確率密度関数の定義を満たしているため、確率密度関数である。

【公式】ガンマ分布の累積分布関数

【公式】
ガンマ分布の累積分布関数
Cumulative Distribution Function of Gamma Distribution

α が正の整数値のみを取るとき、ガンマ分布 Ga(α,β) の累積分布関数は、 F(x)={0x<01k=0α1(βx)keβxk!0xα={1,2,} で与えられる。

導出

導出

累積分布関数の定義式 F(x)=P(Xx) より、 F(x)=0xβαΓ(α)tα1eβtdt 確率の基本性質 F(x)=1P(xX) より、 F(x)=1xβαΓ(α)tα1eβtdt ここで、以下のように変数変換すると、 t=y+xy=txdydt=1dy=dtt:xy:0 となるので、 置換積分法により、 tβαΓ(α)xα1eβxdx=βαΓ(α)0(y+x)α1eβ(y+x)dy=βαΓ(α)eβx0(y+x)α1eβydy 二項定理 (y+x)α1=k=0α1α1Ckxkyα1k より、 tβαΓ(α)xα1eβxdx=βαΓ(α)eβt0k=0α1α1Ckxkyα1keβydy ガンマ関数の性質 Γ(α)=(α1)! より、 α1Ck=(α1)!k!(α1k)!=Γ(α)k!Γ(αk) したがって、 tβαΓ(α)xα1eβxdx=βαΓ(α)eβtk=0α1Γ(α)k!Γ(αk)tk0yαk1eβydy ガンマ関数の性質 Γ(αk)βαk=0yαk1eydy より、 tβαΓ(α)xα1eβxdx=eβtk=0α1tkk!Γ(α)Γ(αk)βαΓ(α)Γ(αk)βαk したがって、 F(x)=1k=0α1(βt)keβtk!

【公式】ガンマ分布の最頻値

【公式】
ガンマ分布の最頻値
Mode of Gamma Distribution

ガンマ分布 Ga(α,β) の最頻値は、 Mo(X)=α1β1α で与えられる。

導出

導出

ガンマ分布の確率密度関数は、 f(x)=βαΓ(α)xα1eβx 1階微分を求めると、積の微分公式より、 f(x)=βαΓ(α){eβxddx(xα1)+xα1ddx(eβx)}=βαΓ(α){(α1)xα2eβxβxα1eβx}=βαΓ(α)xα2eβx{(α1)βx} 極値 f(x)=0 を求めると、 βαΓ(α)xα2eβx[(α1)βx]=0x=0  x=α1β 増減表は、 x0α1βf(x)0+0f(x)0f(α1β) したがって、1α のとき、0x の範囲で、 x=α1β が極大、かつ最大である。

重要事項のまとめ

略記法

Ga(α,β)

パラメータ

0<α0<β

確率密度関数

f(x)={βαΓ(α)xα1eβx0x0other

累積分布関数

F(x)={0x<01k=0α1(βx)keβxk!0xα={1,2,}

期待値

E(X)=αβ

分散

V(X)=αβ2

最頻値

Mo(X)=α1β

モーメント母関数

MX(θ)=(ββθ)α

再生性

ガンマ分布には、再生性がある。

参考文献

  • 小寺 平治 著. 数理統計:明解演習. 共立出版, 1986, p.58
  • 野田 一雄, 宮岡 悦良 著. 入門・演習数理統計. 共立出版, 1990, p.136-138
  • 野田 一雄, 宮岡 悦良 著. 入門・演習数理統計. 共立出版, 1990, p.141 練習問題 ex.3.7.1
  • 竹村 彰通 著. 現代数理統計学. 創文社, 1991, p.33
  • 稲垣 宣生 著. 数理統計学. 裳華房, 2003, p.43-44
  • 久保川 達也 著, 新井 仁之, 小林 俊行, 斎藤 毅, 吉田 朋広 編. 現代数理統計学の基礎. 共立出版, 2017, p.42-45
  • 黒木 学 著. 数理統計学:統計的推論の基礎. 共立出版, 2020, p.108-109

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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