極限の計算

公開日:

【2022年12月2週】 【C000】数学 【C030】数列と級数

この記事をシェアする
  • B!
サムネイル画像

本稿では、数列の極限に関する法則を紹介しています。

なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。

極限の法則①:極限値と四則

収束する数列の極限値と四則演算に関しては、次の法則が成り立つ。

【定理】
収束する数列の極限値と四則演算
Limit Laws for Convergent Sequences

数列 {an},{bn} がともに収束して limnan=α limnbn=β ならば、 (1)limnkan=kα ただし、k は定数 (2)limn(an+bn)=α+β (3)limn(anbn)=αβ (4)limnanbn=αβ (5)limnanbn=αβlimn1bn=1β  ただし、bn0 (n=1,2,) かつ β0 が成り立つ。

極限の法則②:極限値と不等式

収束する数列の極限値の大小関係に関しては、次の法則が成り立つ。

【定理】
収束する数列の極限値と不等式
Limit Laws for Convergent Sequences

数列 {an},{bn} がともに収束して limnan=α limnbn=β ならば、次のことが成り立つ。 [1] anbnn=1,2, ならば αβ [2]数列 {an},{bn},{cn} において、 anbncn であり、かつ limnan=limncn=α ならば、 数列 {bn} も収束して、 limnbn=α これは、はさみうちの原理 squeeze theorem, pinching theorem, sandwich theorem などと呼ばれる。

極限の法則③:発散する数列

発散する数列の極限値に関しては、次の法則が成り立つ。

【定理】
発散する数列
Limit Laws for Divergent Sequences

[1] limnan=+limn(an)= [2] limnan=+,limnbn=+ または、 limnan=α,limnbn=+ ならば limn(an+bn)=+ [3] limnan=+,limnbn=+limn(anbn)=+limnan=+,limnbn=limn(anbn)= [4] limnan=α>0,limnbn=+limn(anbn)=+limnan=α<0,limnbn=+limn(anbn)= [5]0<an のとき、 limn1an=0limnan=+ an<0 のとき、 limn1an=0limnan= [6]an<bn のとき、 limnan=+limnbn=+limnbn=limnan=

無限等比数列の極限

無限等比数列の極限に関しては、次の法則が成り立つ。

【定理】
無限等比数列の極限
Limits of Infinite Geometric Series

r を定数とするとき、数列 {rn}={rn} について次のことが成り立つ。 [1] (6)1<rlimnrn=+ [2] (7)r=1limnrn=1 [3] (8)|r|<1limnrn=0 [4] r1 ならば数列 {rn} は振動し、極限値は存在しない。

証明

証明

[1]1<r のとき
r=1+h とおけば 0<h で、2以上の自然数 n に対して rn=(1+h)n>1+nh が成り立つ。 0<h より、 limn(1+nh)= よって、 limnrn>limn(1+nh) の関係から limnrn=

[2]r=1 のとき
すべての自然数 n に対して rn=1 なので、 limnrn=1

[3]|r|<11<r<1 のとき
r=0 ならば、すべての自然数 n に対して rn=0 なので、 limnrn=0 また、r0 のとき、 1|r|>1 なので、[1]により、 limn1|rn|=limn(1|r|)n= よって、この逆数を取ると、 limn|rn|=0 ゆえに limnrn=0

[4]r1 のとき
(i)r=1 のとき
{rn}={1,1,1,1,} という 11 が交互に出現する数列となるので、発散する。 (ii)r<1 のとき
与えられた数列は、 nが奇数のとき負、偶数のときに正 となる。 1<|r| なので、[1]により、 limnrn={+n=2kn=2k1k=1,2, よって、数列 {rn} は振動し、極限値は存在しない。

参考文献

  • 松坂 和夫 著. 数学読本 4. 新装版, 岩波書店, 2019, p.643-654
  • はさみうちの原理の証明. 高校数学の美しい物語. 2022-02-08. https://manabitimes.jp/math/782.

関連記事

自己紹介

自分の写真

yama

大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

このブログを検索

ブログ アーカイブ

QooQ