多変数関数の極限と連続性

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【2022年12月3週】 【C000】数学 【C060】偏微分

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本稿では、多変数関数の極限と連続性を紹介しています。

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二変数関数

平面上の点集合 D 内の点 P(x,y) に実数 z を対応させる関数 fz=f(x,y) と書く。 このとき、x,y を独立変数、zを 従属変数という。関数 f(x,y)x=a,y=b での値を、 f(a,b) と書く。

関数 z=f(x,y) の値が定まるような点 (x,y) の集合を定義域という。定義域に含まれる任意の点 (x,y) に対し、空間内の点 (x,y,z) の全体は一般に曲面をなす。

不等式 axb,cyd で記述される領域は、座標軸に平行な辺をもった長方形であり、長方形のすべての辺は領域に含まれている。このように、境界をすべていれた領域を閉領域 closed domain という。

いっぽう、不等式 a<x<b,c<y<d は長方形の内部の点だけを記述している。このように、内部の点だけを含む領域を開領域 open domain という。

二変数関数の極限

D に属する2点 P(x,y),A(a,b) 間の距離 (xa)2+(yb)2 を考える。P が点 A に近づくとき、すなわち (xa)2+(yb)20 のとき、 関数 f(x,y) が、その近づき方によらず、限りなく1つの値 α に近づくならば、PA のときの f(x,y) の極限は α であるといい limPAf(P)=αlim(x,y)(a,b)f(x,y)=αlimxaybf(x,y)=α などと書く。

limxa{limybf(x,y)}limyb{limxaf(x,y)} 累次極限という。 一般に、累次極限が存在しても lim(x,y)(a,b)f(x,y) は必ずしも存在しない。

【定理】
二変数関数の極限値
Algebraic Limit Theorem for Bivariate Functions

関数 f(x,y),g(x,y) の点 (a,b) における極限値が lim(x,y)(a,b)f(x,y)=αlim(x,y)(a,b)g(x,y)=β となるとき、lim(x,y)(a,b){f(x,y)+g(x,y)}=α+βlim(x,y)(a,b){f(x,y)g(x,y)}=αβlim(x,y)(a,b){f(x,y)g(x,y)}=αβlim(x,y)(a,b){f(x,y)g(x,y)}=αββ0

【定理】
二変数関数のはさみうちの原理
Squeeze Theorem for Bivariate Functions

(a,b) の十分近くで、不等式 f(x,y)g(x,y)h(x,y) が成り立ち、かつ lim(x,y)(a,b)f(x,y)=lim(x,y)(a,b)h(x,y)=α ならば、 (x,y)(a,b) のとき g(x,y) も収束して、 lim(x,y)(a,b)g(x,y)=α である。

二変数関数の連続性

関数 z=f(x,y) が点 A(a,b) において lim(x,y)(a,b)f(x,y)=f(a,b) であるとき、f(x,y) は点 A(a,b)連続であるという。

二変数関数の四則の連続性

【定理】
二変数関数の四則の連続性
Continuity for Bivariate Functions

関数 f(x,y),g(x,y) がともに点 (a,b) において連続ならば f(x,y)+g(x,y)f(x,y)g(x,y)f(x,y)g(x,y)f(x,y)g(x,y) も点 (a,b) において連続である。

二変数関数の最大値・最小値の定理

【定理】
二変数関数の最大値・最小値の定理
Extreme Value Theorem for Bivariate Functions

関数 f(x,y) が有界閉領域 X で連続ならば、f(x,y) は領域 X 上で必ず最大値と最小値をとる。

二変数関数の中間値の定理

【定理】
二変数関数の中間値の定理
Intermediate Value Theorem for Bivariate Functions

関数 f(x,y) が領域 X において連続で、 f(x1,y1)<l<f(x2,y2) ならば、 l=f(x3,y3) を満たす点 (x3,y3)X が少なくとも1つ存在する。

二変数関数の合成関数の連続性

【定理】
二変数関数の合成関数の連続性
Continuity of Composite Function of Bivariate Functions

関数 f(x,y),g(x,y) がともに点 (a,b) において連続で f(a,b)=αg(a,b)=β とする。 F(u,v) が点 (α,β) において連続ならば、合成関数 F{f(x,y),g(x,y)} (a,b) において連続である。

多変数の場合

一般に、点 P(x1,x2,,xn) に実数を対応させる関数 f(x1,x2,,xn) n 変数関数という。

P(x1,x2,,xn),A(a1,a2,,an) のとき、PA とは、 (x1a1)2++(xnan)20 の意味で、 このとき、n 変数関数 f(x1,x2,,xn) の極限は limPAf(P)=αlim(x1,x2,,xn)(a1,a2,,an)f(x,y)=α で表される。

参考文献

  • 馬場 敬之 著. 微分積分キャンパス・ゼミ. 改訂6, マセマ出版社, 2019, p.156-162

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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