ジョン・ラチン(2020)『医薬データのための統計解析』 問題8.8 解答例

公開日:

【2022年12月2週】 【A000】生物統計学 【A093】ポアソン回帰分析

この記事をシェアする
  • B!
サムネイル画像

本稿は、ジョン・ラチン(2020)『医薬データのための統計解析』の「問題8.8」の自作解答例です。二値共変量に対するポアソン回帰モデルの最尤推定に関する問題です。

なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。
  • 曝露(発症)状況を表す右下の添え字は、「0」である場合(n0,π0 など)や「2」である場合(n2,π2 など)がありますが、どちらも「非曝露群(コントロール群)」を表しています。
  • 著作権の関係上、問題文は、掲載しておりません。上述の参考書をお持ちの方は、お手元にご用意してご覧ください。
  • この解答例は、筆者が自作したものであり、公式なものではありません。あくまでも参考としてご覧いただければ幸いです。

問題8.8.1:帰無仮説のもとでの最尤推定量

〔1〕対立仮説
曝露群・非曝露群の強度はそれぞれ、 log{λ(xi)}=α+1β=α+βλ1=eα+βlog{λ(xi)}=α+0β=αλ2=eα 尤度関数は、 L(θ)=i=1N{λ(xi)ti}dieλ(xi)tidi! 対数尤度関数は、 l(θ)=i=1N[dilog{λ(xi)ti}log(di!)λ(xi)ti]l(α,β)=i=1N[di{α+xiβ+logti}log(di!)tieα+xiβ]=i=1N[αdi+dixiβdilog(di!)tieα+xiβ] パラメータ α のスコア関数 Uα(θ)=αl(θ) は、 Uα(θ)=i=1Ndii=1Ntieα+xiβ パラメータ β のスコア関数は、Uβ(θ)=βl(θ) は、 Uβ(θ)=i=1Nxi(dieα+xiβti) 尤度方程式は、 (1)i=1Ndii=1Ntieα+xiβ=0(2)i=1Nxi(dieα+xiβti)=0(1) より、 d=i=1Ntieα+xiβ=i=1n1tieα+β+j=1n2eαtj(3)=eα+βt1+eαt2(2) より、 i=1n11(dieα+βti)+j=1n20(djeαtj)=0i=1n1dieα+βi=1Nti=0(4)eα+βt1=d1(3),(4) より、各群のハザードの最尤推定量は、 λ^1=eα^+β^=d1t1λ^2=eα^=d2t2 〔2〕帰無仮説
帰無仮説 H0:β=β0=0 のもとでのパラメータ α0 の最尤推定量は、 Uα(θ0)=i=1Ndii=1Ntieα^=0eα^=dt 帰無仮説のもとでのパラメータ β0 のスコア関数は、 Uβ(θ^0)=i=1Nxi(dieα^ti)=i=1n11(dieα^ti)j=1n20(dieα^ti)=i=1n1dieα^i=1n1ti=d1dt1t=(t1+t2)d1tt1(d1+d2)t=t2d1t1d2t

問題8.8.2:帰無仮説のもとでの期待情報量

このとき、期待情報行列の各成分の推定量は、 Iα(θ^0)=i=1Ntieα^+xiβ0=i=1Ntieα^=tdt=d Iβ(θ^0)=i=1Nxi2tieα^+xiβ0=i=1Nxi2tieα^=dt(i=1n11ti+j=1n20tj)=t1dt Iαβ(θ^0)=i=1Nxitieα^+xiβ0=i=1Nxitieα^=dt(i=1n11ti+j=1n20tj)=t1dt したがって、 I(θ^0)=[dt1dtt1dtt1dt] |I(θ^0)|=dt1dtt1dtt1dt=t1d2t(1t1t)=t1t2d2t2 I(θ^0)1=t2t1t2d2[t1dtt1dtt1dtd]

問題8.8.3:有効スコア検定

有効スコア検定の検定統計量は、 U(θ^0)=[0Uβ(θ^0)] として、 χ2=U(θ^0)TI(θ^0)1U(θ^0)=t2d1t1d2tt2t1t2dt2d1t1d2t=(d1t2d2t1)2t1t2d また、 λ^1=d1t1λ^2=d2t2 λ^1λ^2=d1t1d2t2=d1t2d2t1t1t2 したがって、 Z=t1t2d1+d2d1t2d2t1t1t2=d1t2d2t1t1t2dZ2=(d1t2d2t1)2t1t2d したがって、 χ2=Z2

参考文献

  • ジョン・ラチン 著, 宮岡 悦良 監訳, 遠藤 輝, 黒沢 健, 下川 朝有, 寒水 孝司 訳. 医薬データのための統計解析. 共立出版, 2020, p.456
  • ジョン・ラチン 著, 宮岡 悦良 監訳, 遠藤 輝, 黒沢 健, 下川 朝有, 寒水 孝司 訳. 医薬データのための統計解析. 共立出版, 2020, p.424-425
  • ジョン・ラチン 著, 宮岡 悦良 監訳, 遠藤 輝, 黒沢 健, 下川 朝有, 寒水 孝司 訳. 医薬データのための統計解析. 共立出版, 2020, p.611-612

関連記事

自己紹介

自分の写真

yama

大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

このブログを検索

ブログ アーカイブ

QooQ