本稿では、関数の極限を紹介しています。
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関数の極限
ある関数を を、 を定数とし、適当な正数 をとれぱ、区間 が の定義域に含まれている。ただし、 自身は の定義域に含まれていなくてもよい。このように仮定された状況のもとで、 の定義域内の が と異なる値をとりながら限りなく に近づくとき、 が限りなくある値 に近づくならば、 を が に近づくときの関数 の極限値または極限 limit と呼び、
または
のとき
と書く。
またこの場合、 のとき
は に収束する converge という。
なお、より正確には、右側極限と左側極限ともに存在し、かつそれらが一致する、すなわち、
が成り立つことをいう。
したがって、右側極限と左側極限のどちらかが存在しない場合や存在してもそれらが一致しない場合は、極限値は存在しない。
厳密な定義
を の部分集合とし、 を で定義された関数とする。 を の1つの集積点とする。もし、ある数 が存在して、次のことが成り立つならば、 のとき、 は に収束するという。
任意の正の数 に対し、適当に正の数 をとれば、
を満たす の全ての数 に対して
が成り立つ。
極限値の計算
関数の極限値の計算については、定数関数 に対して、
が成り立ち、
関数 に対して、
が成り立つ。
また、数列の極限値のときと同様に、極限値と四則に関して次の法則が成り立つ。
【定理】
収束する関数の極限値と四則演算
Algebraic Limit Theorem
また、一般に が の整式ならば、
が成り立つ。
さらに、 が整式で、 ならば
も成り立つ。
極限値の大小関係
極限値と大小関係についても、やはり数列の場合と同様に次の法則が成り立つ。
のとき、関数 の極限値
が存在し、
また、 の十分近くで不等式
が成り立つとする。
そのとき
である。
【定理】
はさみうちの原理
Squeeze Theorem, Pinching Theorem, Sandwich Theorem
の十分近くで、不等式
が成り立ち、かつ
ならば、
のとき も収束して、
である。
関数の発散
一般に、関数 が の近くでは(たかだか を除き)定義されていて、 が に近づくとき、 が限りなく大きくなるならば、 のとき は正の無限大に発散するといい、
または
のとき
と書く。
同様に、 が に近づくとき、 が負でその絶対値が限りなく大きくなるならば、 のとき は負の無限大に発散するといい、
または
のとき
と書く。
これらの場合にも、広義には や を極限と呼ぶこと、それらとの区別を明瞭にするために、収束する場合の極限を有限の極限と呼ぶこと、など、やはり数列のときと同様である。
片側からの極限
関数の極限においては、しばしば片側からの極限も考えられる。
一般に、関数 と定数 に対し、 が より大きい値をとって に限りなく近づくとき、 が限りなく一定の値 に近づくならば、 を のときの の右側極限値 right hand limit、または、 のときの の極限値といい、
または
のとき
と書く。
同様に、 が より小さい値をとって に限りなく近づくとき、 が限りなく一定の値 に近づくならば、 を のときの の左側極限値 left hand limit、または、 のときの の極限値といい、
または
のとき
と書く。
なお、特に の場合には、ふつう
と書くかわりに、単に
と書く。
無限大に対する極限
これまで述べてきたことは、 の絶対値が限りなく大きくなるとき()においても同様に定義される。
すなわち、適当な実数 を取れば、区間 が の定義域に含まれているとき、 が限りなく大きくなるにつれて が限りなくある値 に近づくならば、そのことを
と表す。
負の無限大などについても同様である。
指数関数・対数関数の極限
指数関数の極限は、
[1] のとき
[2] のとき
対数関数の極限は、
[1] のとき
[2] のとき
参考文献
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