重積分の定義と性質

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【2022年12月3週】 【C000】数学 【C070】重積分

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本稿では、重積分を紹介しています。

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二重積分の定義

$xy$ 平面の点集合 $D$ が有界閉領域、すなわち $D$ は境界をすべて含み、かつ
$D$ は原点を中心とする有限な半径 $R$ の円内に含まれる
とする $x,y$ の2変数関数 $z=f \left(x,y\right)$ が有界閉領域 $D$ において連続であるとし、$D$ を $n$ 個の小領域 \begin{gather} D_1,D_2, \cdots ,D_n \end{gather} に分け、 それらの面積を \begin{gather} S_1,S_2, \cdots ,S_n \end{gather} とする。 各 $D$ 内の任意の1点を $P \left(x_i,y_i\right)$ とし、次の和 \begin{gather} \sum_{i=1}^{n}{f \left(x_i,y_i\right) \cdot S_i} \end{gather} をつくる。 この和をリーマン和 Riemann sum という。

$D$ を $n$ 個の小領域に分ける方法、および、点 $P \left(x_i,y_i\right)$ の選び方はいろいろある.しかし、分割の仕方を限りなく小さくしていくとき、上の和は小領域の分け方および点 $P \left(x_i,y_i\right)$ の選び方に無関係な一定の値に近づく。その極限値を $f \left(x_i,y_i\right)$ の $D$ における二重積分 double integral といい、これを \begin{gather} \iint_{D}f \left(x,y\right)dxdy \end{gather} と表す。

二重積分の性質

【定理】
二重積分の性質
Properties of Double Integrals

①定数倍 \begin{gather} \iint_{D}kf \left(x,y\right)dxdy=k\iint_{D}f \left(x,y\right)dxdy \end{gather} ②和・差 \begin{gather} \iint_{D} \left\{f \left(x,y\right)+g \left(x,y\right)\right\}dxdy=\iint_{D}f \left(x,y\right)dxdy+\iint_{D}g \left(x,y\right)dxdy\\ \iint_{D} \left\{f \left(x,y\right)-g \left(x,y\right)\right\}dxdy=\iint_{D}f \left(x,y\right)dxdy-\iint_{D}g \left(x,y\right)dxdy \end{gather} ③加法性
$D_1,D_2$ が $D$ の分割ならば、 \begin{gather} \iint_{D}f \left(x,y\right)dxdy=\iint_{D_1}f \left(x,y\right)dxdy+\iint_{D_2}f \left(x,y\right)dxdy \end{gather} ④単調性
$D$ で常に $f \left(x,y\right) \le g \left(x,y\right)$ ならば、 \begin{gather} \iint_{D}f \left(x,y\right)dxdy \le \iint_{D}g \left(x,y\right)dxdy \end{gather}

累次積分

$f \left(x,y\right)$ が考えている有界閉領域 $D$ で連統な関数であるとき、二重積分の計算は次のように、1変数の積分を繰り返して行われる。このような1変数の積分を繰り返す積分を累次積分 iterated integral という。

【定理】
単純な領域における累次積分
Iterated Integral over Simple Domains

$D:a \le x \le b,c \le y \le d$ のとき \begin{gather} \iint_{D}f \left(x,y\right)dxdy=\int_{a}^{b} \left\{\int_{c}^{d}f \left(x,y\right)dy\right\}dx=\int_{c}^{d} \left\{\int_{a}^{b}f \left(x,y\right)dx\right\}dy \end{gather}

右辺の \begin{gather} \int_{a}^{b} \left\{\int_{c}^{d}f \left(x,y\right)dy\right\}dx \quad \int_{c}^{d} \left\{\int_{a}^{b}f \left(x,y\right)dx\right\}dy \end{gather} はそれぞれ \begin{gather} \int_{a}^{b}dx\int_{c}^{d}f \left(x,y\right)dy \quad \int_{a}^{b}\int_{c}^{d}f \left(x,y\right)dxdy\\ \int_{c}^{d}dy\int_{a}^{b}f \left(x,y\right)dx \quad \int_{c}^{d}\int_{a}^{b}f \left(x,y\right)dxdy \end{gather} とも書く。 特に、変数分離形 $z=f \left(x\right) \cdot g \left(y\right)$ のときは \begin{gather} \iint_{D}f \left(x,y\right)dxdy= \left[\int_{a}^{b}f \left(x\right)dx\right] \left[\int_{c}^{d}g \left(y\right)dy\right] \end{gather}

【定理】
一般の領域における累次積分
Iterated Integral over General Domains

① $D:a \le x \le b,p \left(x\right) \le y \le q \left(x\right)$ のとき \begin{gather} \iint_{D}f \left(x,y\right)dxdy=\int_{a}^{b} \left\{\int_{p \left(x\right)}^{q \left(x\right)}f \left(x,y\right)dy\right\}dx \end{gather} ② $D:c \le y \le d,r \left(y\right) \le x \le s \left(y\right)$ のとき \begin{gather} \iint_{D}f \left(x,y\right)dxdy=\int_{c}^{d} \left\{\int_{r \left(x\right)}^{s \left(x\right)}f \left(x,y\right)dx\right\}dy \end{gather}

関数 $z=f \left(x,y\right)$ が $D$ 上で定義された連続関数で、$D$ 上で $0 \le f \left(x,y\right)$ であるものとする。このとき、曲面 $z=f \left(x,y\right)$ が領域 $D$ との間につくる立体の体積 $V$ は \begin{gather} V=\iint_{D}f \left(x,y\right)dxdy \end{gather} と表される。

積分順序の変更

> 関数 $f \left(x,y\right)$ の定義されている有界閉領域 $D$ が2通りの方法で表されている場合を考える。 ① $D: \left\{\begin{matrix}a \le x \le b\\p \left(x\right) \le y \le q \left(x\right)\\\end{matrix}\right.$
② $D: \left\{\begin{matrix}c \le y \le d\\r \left(y\right) \le x \le s \left(y\right)\\\end{matrix}\right.$
このとき、二重積分は次のように計算できる。

【定理】
積分順序の変更
Changing Order of Integration

\begin{gather} \iint_{D}f \left(x,y\right)dxdy=\int_{a}^{b}dx\int_{p \left(x\right)}^{q \left(x\right)}f \left(x,y\right)dy=\int_{c}^{d}dy\int_{r \left(y\right)}^{s \left(y\right)}f \left(x,y\right)dx \end{gather}

参考文献

  • 馬場 敬之 著. 微分積分キャンパス・ゼミ. 改訂6, マセマ出版社, 2019, p.200-205

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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