曲線の凹凸

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【2022年12月3週】 【C000】数学 【C040】微分

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本稿では、曲線の凹凸を紹介しています。

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上に凸・下に凸

いま、$I$ を1つの区間とし、関数 $f$ が $I$ で定義されているとする。$a,b$ を区間 $I$ に属する任意の2つの異なる数とする。区間 $ \left[a,b\right]$ (または $ \left[b,a\right]$)において、グラフ上の2点 \begin{gather} P \left\{a,f \left(a\right)\right\} \quad Q \left\{b,f \left(b\right)\right\} \end{gather} を直線で結ぶ。 そのとき、区間 $ \left[a,b\right]$ (または $ \left[b,a\right]$)の内部で直線 $\mathrm{PQ}$ のほうが関数 $y=f \left(x\right)$ のグラフより上方にあるならば、曲線 $y=f \left(x\right)$ は区間 $I$ において下に凸 convex downward であるという。

2点 \begin{gather} P \left\{a,f \left(a\right)\right\} \quad Q \left\{b,f \left(b\right)\right\} \end{gather} を結ぶ直線の方程式は \begin{gather} y=f \left(a\right)-\frac{f \left(b\right)-f \left(a\right)}{b-a} \left(x-a\right) \end{gather} で与えられるので、 区間 $ \left[a,b\right]$ (または $ \left[b,a\right]$)の内部で直線のほうが曲線 $y=f \left(x\right)$ より上方にあることは、$a \lt x \lt b$(または$b \lt x \lt a$)を満たす任意の $x$ に対して、不等式 \begin{gather} y \lt f \left(a\right)-\frac{f \left(b\right)-f \left(a\right)}{b-a} \left(x-a\right)\tag{1} \end{gather} が成り立つことである。

上と反対に、$I$ に属する任意の異なる2数 $a,b$ とその間にある任意の数 $x$ に対して、不等式 \begin{gather} y \gt f \left(a\right)-\frac{f \left(b\right)-f \left(a\right)}{b-a} \left(x-a\right)\tag{2} \end{gather} が成り立つとき、 曲線 $y=f \left(x\right)$ は区間 $I$ において上に凸 convex upward であるという。

下に凸な曲線は上に凹であるともいわれ、上に凸な曲線は下に凹であるともいわれる。

曲線 $y=f \left(x\right)$ が下に凸あるいは上に凸であることを、関数 $f$ がその区間において下に凸あるいは上に凸であるという。

下に凸な関数は単に凸関数 convex function と呼ばれ、上に凸な関数は凹関数 concave function と呼ばれる。$f$ が凸関数ならば $-f$ は凹関数であり、$f$ が凹関数ならば $-f$ は凸関数である。

凸関数の定義のいいかえ

いま、 \begin{gather} t=\frac{x-a}{b-a} \end{gather} とおいて、凸関数の定義式 $(1)$ を書き直す。 $x$ が区間 $ \left(a,b\right)$ を動くとき、$t$ は \begin{gather} 0 \lt t \lt 1 \end{gather} の範囲を動く。 \begin{gather} t \left(b-a\right)=x-a\\ x= \left(1-t\right)a+tb \end{gather} よって式 $(1)$ の左辺は、 \begin{gather} f \left\{ \left(1-t\right)a+tb\right\} \end{gather} いっぽう、右辺は、 \begin{align} f \left(a\right)-\frac{x-a}{b-a} \left\{f \left(b\right)-f \left(a\right)\right\}&=f \left(a\right)-t \left\{f \left(b\right)-f \left(a\right)\right\}\\ &= \left(1-t\right)f \left(a\right)+tf \left(b\right) \end{align} よって、式 $(1)$ は、 \begin{gather} f \left\{ \left(1-t\right)a+tb\right\} \lt \left(1-t\right)f \left(a\right)+tf \left(b\right) \end{gather} となる。 これを整理すると次のようになる。

関数 $f$ が区間 $I$ において凸(くわしくは下に凸)である、あるいは凸関数であるとは、$I$ に属する任意の異なる2数 $a,b$ および \begin{gather} 0 \lt t \lt 1 \quad s+t=1 \end{gather} を満たす任意の数 $s,t$ に対して \begin{gather} f \left(sa+tb\right) \lt sf \left(a\right)+tf \left(b\right) \end{gather} が成り立つことである。

導関数の増減と凹凸

関数 $f$ が区間 $I$ において導関数 $f^"$ をもつとき、次の定理が成り立つ。

【定理】
導関数の増減と凹凸
Increase and Decrease of First Derivative and Curve Unevenness

導関数 $f$ が $I$ において(強い意味で)増加ならば、$f$ は $I$ において凸である、$f^"$ が $I$ において(強い意味で)減少ならば、$f$ は $I$ において凹である。

第2次導関数の符号と凹凸

関数 $f$ が区間 $I$ において第2次導関数 $f^{\prime\prime}$ をもつとするとき、次の定理が成り立つ。

【定理】
第2次導関数の符号と凹凸
Sign of Second Derivative and Curve Unevenness

区間 $I$ で常に \begin{gather} f^{\prime\prime} \left(x\right) \gt 0 \end{gather} ならば、$f$ は $I$ において凸である。 区間 $I$ で常に \begin{gather} f^{\prime\prime} \left(x\right) \lt 0 \end{gather} ならば、$f$ は $I$ において凹である。

   

第2次導関数と極大・極小

【定理】
第2次導関数と極大・極小
Local Extrema and Second Derivative Test

関数 $f^\prime$ が連続な第2次導関数 $f^{\prime\prime}$ をもつとき $f^\prime \left(a\right)=0 \quad f^{\prime\prime} \left(a\right) \gt 0$ ならば $f \left(a\right)$ は極小値 $f^\prime \left(a\right)=0 \quad f^{\prime\prime} \left(a\right) \lt 0$ ならば $f \left(a\right)$ は極大値

参考文献

  • 松坂 和夫 著. 数学読本 5. 新装版, 岩波書店, 2019, p.928-940
  • 上に凸,下に凸な関数と二階微分. 高校数学の美しい物語. 2021-03-07. https://manabitimes.jp/math/927.
  • 変曲点の意味といろいろな例. 高校数学の美しい物語. 2021-03-07. https://manabitimes.jp/math/1214.

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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