多変数関数の極値

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【2022年12月3週】 【C000】数学 【C060】偏微分

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本稿では、多変数関数の極値を紹介しています。

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偏微分作用素

h,k を定数として、偏微分作用素を (hx+ky)f(x,y)=hfx+kfy によって定義する。

いま、 z=f(x,y)x=a+hty=b+kt z=f(x,y) が必要な回数だけ連線な偏導関数をもてば、合成関数の微分法より、 dzdt=zxdxdt+zydydt=(hx+ky)z d2zdt2=h(2zx2dxdt+2zyxdydt)+k(2zxydxdt+dydt)=h22zx2+2hk2zxy+k2zy2=(hx+ky)2z 一般に dnzdtn=(hx+ky)nz

二変数関数のテイラーの定理

【定理】
二変数関数のテイラーの定理
Taylor's Theorem for Bivariate Functions

f(x,y) が点 a,b の近傍で Cn+1 級のとき f(a+h,b+k)=i=0n1i!(hx+ky)if(a,b)+1(n+1)!(hx+ky)n+1f(a+θh,b+θk) を満たす 0<θ<1 が存在する。

一般に、全微分可能な n 変数関数 z=f(x1,x2,,xn) において各変数 xit の関数として微分可能ならば dzdt=i=1nzxidxidt

極大・極小

f(x,y) が点 a,b の近傍で、(a,b) 以外のすべての (x,y) に対して f(x,y)<f(a,b) のとき、fは点 (a,b)極大であるという。

同様に、 f(x,y)>f(a,b) のとき、fは点 (a,b)極小であるという。

極大・極小であるときの値 f(a,b) それぞれを極大値・極小値といい、これらを総称して極値という。

一般の極値判定法

極値をとる必要条件

【定理】
極値をとる必要条件
Necessary Conditions for an Extremum

偏散分可能な関数 f(x,y) が点 (a,b) で極値をとるならば (a,b) は連立方程式 fx(x,y)=0fy(x,y)=0 の解である。

極値をとる十分条件

【定理】
極値をとる十分条件
Sufficient Conditions for an Extremum

f(x,y)C2 級で fx(a,b)=fy(a,b)=0 とし、 D=|fxx(a,b)fxy(a,b)fxy(a,b)fyy(a,b)|={fxy(a,b)}2fxx(a,b)fyy(a,b) とおく。

このとき、
0<D,fxx(a,b)<0ならばf(x,y) は点 (a,b)極大 0<D,0<fxx(a,b)ならばf(x,y) は点 (a,b)極小 D<0ならばf(x,y) は点 (a,b)極値を取らない

ヘッセ行列

一般に、多変数 x1,x2,,xn をもつ関数 f(x1,x2,,xn) の二階偏導関数全体が作る n 次正方行列 H=[2fx122fx1x22fx1xn2fx2x12fx222fx2xn2fxnx12fxnx22fxn2] ヘッセ行列 Hessian matrix という。

多変数関数の条件付き極値

f(x,y) が曲線 g(x,y)=0 上を動くとき、f(x,y) の最大・最小を考える。関数が最大値・最小値をとるような点では必ず極値をとることから、このような問題においては、次のラグランジュの未定乗数法を用いて連立方程式の問題に帰着できる。

ラグランジュの未定乗数法

【定理】
ラグランジュの未定乗数法
Method of Lagrange Multiplier

関数 f(x,y)g(x,y) は、C1 gx(a,b)0orgy(a,b)0 とする。 g(x,y)=0 という条件の下で f(x,y) が点 (a,b) で極値をとるならば fx(a,b)+λgx(a,b)=0fy(a,b)+λgy(a,b)=0 を満たす数 λ が存在する。

多変数関数の条件付き極値

ラグランジュの乗数法は3変数以上の場合にも次のように拡張できる。すなわち G(x)=[gx1(a1,a2,,an)gxn(a1,a2,,an)]0 とする。 このとき、 g(x1,x2,,xn)=0 という条件の下で f(x1,x2,,xn) が点 (a1,a2,,an) で極値をとるならば fx1(a1,a2,,an)+λgx1(a1,a2,,an)=0fx2(a1,a2,,an)+λgx2(a1,a2,,an)=0fxn(a1,a2,,an)+λgxn(a1,a2,,an)=0 を満たす数 λ が存在する。

参考文献

  • 馬場 敬之 著. 微分積分キャンパス・ゼミ. 改訂6, マセマ出版社, 2019, p.184-193

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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