本稿は、ジョン・ラチン(2020)『医薬データのための統計解析』の「問題9.8」の自作解答例です。カプラン・マイヤー法に関する問題です。
なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。
- スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。
- 曝露(発症)状況を表す右下の添え字は、「0」である場合(
など)や「2」である場合( など)がありますが、どちらも「非曝露群(コントロール群)」を表しています。 - 漸近的な性質を用いる際は、①中心極限定理が成り立つ、②漸近分散を推定する際に、母数をその一致推定量で置き換えることができるということが成り立つと仮定しています。
- デルタ法を用いる際、剰余項(2次の項)が漸近的に無視できる(
に確率収束する)と仮定しています。 - 上述の参考書では、標準正規分布の上側
点を と表記していますが、本サイトでは、 としています。そのため、参考書に載っている式の形式と異なる部分があります。 - 著作権の関係上、問題文は、掲載しておりません。上述の参考書をお持ちの方は、お手元にご用意してご覧ください。
- この解答例は、筆者が自作したものであり、公式なものではありません。あくまでも参考としてご覧いただければ幸いです。
目次[非表示]
問題9.8.1:任意のイベント時間におけるイベント確率と生存関数の関係
被験者が時点
問題9.8.2:カプラン・マイヤー法の尤度関数
このとき尤度関数は、
問題9.8.3:生命表のためのカプラン・マイヤー推定量
修正尤度関数は、
問題9.8.4:任意のイベント確率どうしの関係
問題9.8.5:推定対数生存関数の分散
ここで、任意の時点
問題9.8.6:Greenwoodの公式
ここで、任意のイベント時点
問題9.8.7:補対数対数生存関数の分散
ここで、任意のイベント時点
問題9.8.8:生存関数の信頼区間
標準正規分布を用いた信頼区間の公式より、
問題9.8.9:生存関数のロジットの分散
ここで、任意のイベント時点
問題9.8.10:Petersonの推定
累積ハザード関数と生存関数の関係
問題9.8.11:カプラン・マイヤー推定量とネルソン・アーレン推定量の関係
参考文献
- ジョン・ラチン 著, 宮岡 悦良 監訳, 遠藤 輝, 黒沢 健, 下川 朝有, 寒水 孝司 訳. 医薬データのための統計解析. 共立出版, 2020, p.564-566
- ジョン・ラチン 著, 宮岡 悦良 監訳, 遠藤 輝, 黒沢 健, 下川 朝有, 寒水 孝司 訳. 医薬データのための統計解析. 共立出版, 2020, p.464-475
- Kaplan, E.L. & Meier, P.. Nonparametric estimation from incomplete observations. Journal of the American Statistical Association. 1958;53(282):457-481, doi: https://doi.org/10.2307/2281868
- Peterson, A.V.. Expressing the Kaplan-Meier Estimator as a Function of Empirical Subsurvival Functions. Journal of the American Statistical Association. 1977;72(360):854-858, doi: https://doi.org/10.2307/2286474
- Aalen, O.. Nonparametric Inference for a Family of Counting Processes. The Annals of Statistics. 1978;6(4):701-726, doi: https://www.jstor.org/stable/2958850
- Greenwood, M.. The natural duration of cancer. Reports on Public Health and Medical Subjects. 1926;33:1-26, doi: https://doi.org/10.1136/bmj.2.3320.266
- Gill, R.D.. Censoring and Stochastic Integrals. Amsterdam, Mathematisch Centrum, 1980, 178p.
- Nelson, W.. Theory and Applications of Hazard Plotting for Censored Failure Data. Technometrics. 1972;14(4):945-966, doi: https://doi.org/10.2307/1267144
0 件のコメント:
コメントを投稿