ジョン・ラチン(2020)『医薬データのための統計解析』 問題9.3 解答例

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【2022年12月2週】 【A000】生物統計学 【A100】生存時間分析 【A101】生存関数の推定

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本稿は、ジョン・ラチン(2020)『医薬データのための統計解析』の「問題9.3」の自作解答例です。生存関数のパラメトリックモデル③:加速死亡時間モデルに関する問題です。

なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。
  • 曝露(発症)状況を表す右下の添え字は、「0」である場合(n0,π0 など)や「2」である場合(n2,π2 など)がありますが、どちらも「非曝露群(コントロール群)」を表しています。
  • 漸近的な性質を用いる際は、①中心極限定理が成り立つ、②漸近分散を推定する際に、母数をその一致推定量で置き換えることができるということが成り立つと仮定しています。
  • デルタ法を用いる際、剰余項(2次の項)が漸近的に無視できる(0に確率収束する)と仮定しています。
  • 上述の参考書では、標準正規分布の上側 100α% 点を Z1α と表記していますが、本サイトでは、Zα としています。そのため、参考書に載っている式の形式と異なる部分があります。
  • 著作権の関係上、問題文は、掲載しておりません。上述の参考書をお持ちの方は、お手元にご用意してご覧ください。
  • この解答例は、筆者が自作したものであり、公式なものではありません。あくまでも参考としてご覧いただければ幸いです。

問題9.3.1:ハザード関数

累積ハザード関数とハザード関数の関係 λ(t)=ddtΛ(t) から、合成関数の微分法より、 λ(t|x)=ddtΛ0{exp(α~+xTβ~σ)t}=λ0{exp(α~+xTβ~σ)t}ddt{exp(α~+xTβ~σ)t}=exp(α~+xTβ~σ)λ0{exp(α~+xTβ~σ)t} イベント発生の確率密度関数、ハザード関数、累積生存関数の関係より、 f(t|x)=λ(t|x)S(t|x)=exp(α~+xTβ~σ)λ0{exp(α~+xTβ~σ)t}S0{exp(α~+xTβ~σ)t}

問題9.3.2:条件付き分布

累積ハザード関数の式に t=exp(yσ) を代入すると、 Λ(y|x)=Λ0{exp(α~+xTβ~σ)exp(yσ)}=Λ0[exp{y(α~+xTβ~)σ}] 累積ハザード関数とハザード関数の関係 λ(t)=ddtΛ(t) から、合成関数の微分法より、 λ(y|x)=ddyΛ0[exp{y(α~+xTβ~)σ}]=λ0[exp{y(α~+xTβ~)σ}]ddy[exp{y(α~+xTβ~)σ}]ddy{y(α~+xTβ~)σ}=[exp{y(α~+xTβ~)σ}]1σλ0[exp{y(α~+xTβ~)σ}] イベント発生の確率密度関数、ハザード関数、累積生存関数の関係より、 f(y|x)=λ(y|x)S(y|x)=[exp{y(α~+xTβ~)σ}]1σλ0[exp{y(α~+xTβ~)σ}]S0[exp{y(α~+xTβ~)σ}] ここで、 ε=y(α~+xTβ~)σ とおくと、 f(ε)=eελ0(ε)S0(ε)

問題9.3.3:生存関数

生存関数の定義より、 S(t|xi)=P(t<ti)=P(logt<logti)=P[log{exp(yσ)}<log{exp(yiσ)}]=P(yσ<yiσ)=P(yσα~+xTβ~σ<yiσα~+xTβ~σ)=P[y(α~+xTβ~)σ<yi(α~+xTβ~)σ]=P(ε<εi)

問題9.3.4:ワイブル加速死亡時間モデルの生存関数

標準ワイブルモデルのハザード関数の式 λ(t)=γtγ1 に加速度因子 exp{(α~+xTβ~)γ} をかけると、 λ(t|x)=exp{(α~+xTβ~)γ}γtγ1 累積ハザード関数 Λ(t)=0tλ(u)du は、 Λ(t)=exp{(α~+xTβ~)γ}0tγuγ1du=exp{(α~+xTβ~)γ}[uγ]0t=exp{(α~+xTβ~)γ}tγ=exp{(α~+xTβ~)γ}exp(γlogt)=exp[{logt(α~+xTβ~)}γ] 累積ハザード関数と累積生存関数の関係 S(t)=exp{Λ(t)} より、 S(t|x)=exp[exp[{logt(α~+xTβ~)}γ]]=exp[exp{logt(α~+xTβ~)}γ] γ=1σ を代入すると、 S(t|x)=exp[exp{logt(α~+xTβ~)σ}]

問題9.3.5:イベント密度関数

イベント発生の確率密度関数、ハザード関数、累積生存関数の関係より、 f(t|x)=λ(t|x)S(t|x)=exp{(α~+xTβ~)γ}γtγ1exp[exp{logt(α~+xTβ~)σ}]=1σexp{(α~+xTβ~)γ}exp{(γ1)logt}exp[exp{logt(α~+xTβ~)σ}]=1σexp[(α~+xTβ~)γ+(γ1)logtexp{logt(α~+xTβ~)σ}]=1σexp[logt(α~+xTβ~)σexp{logt(α~+xTβ~)σ}]exp(logt) 対数変換の公式 g(y)=f(ey)ey より、y=logt の確率密度関数は、 f(y|x)=1σexp[y(α~+xTβ~)σexp{logt(α~+xTβ~)σ}]exp(y)exp(y)=1σexp[y(α~+xTβ~)σexp{logt(α~+xTβ~)σ}]

問題9.3.6:残差の密度関数

線形変換の公式 Y=aX+bg(y)=f(yba)1|a| より、 f(ε)=f(ε)1|1σ|=1σexp[εexp(ε)]1|1σ|=exp[εexp(ε)]

問題9.3.7:指数残差の密度関数

指数変換の公式 Y=eXg(y)=f(logy)1y より、 f(w)=exp[logwexp(logw)]1w=exp(logw)exp(w)1w=wew1w=ew

問題9.3.8:生存関数

指数分布の分布関数は、 F(w)=1ew 生存関数は、 S(w)=1F(w)=ewS(ε)=exp[exp(ε)]S(y|x)=exp[exp{y(α~+xTβ~)σ}]S(t|x)=exp[exp{logt(α~+xTβ~)σ}]

参考文献

  • ジョン・ラチン 著, 宮岡 悦良 監訳, 遠藤 輝, 黒沢 健, 下川 朝有, 寒水 孝司 訳. 医薬データのための統計解析. 共立出版, 2020, p.558-560

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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