ジョン・ラチン(2020)『医薬データのための統計解析』 問題9.4 解答例

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【2022年12月3週】 【A000】生物統計学 【A100】生存時間分析 【A101】生存関数の推定

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本稿は、ジョン・ラチン(2020)『医薬データのための統計解析』の「問題9.4」の自作解答例です。生存関数のパラメトリックモデル④:対数ロジスティック・モデルに関する問題です。

なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。
  • 曝露(発症)状況を表す右下の添え字は、「0」である場合(n0,π0 など)や「2」である場合(n2,π2 など)がありますが、どちらも「非曝露群(コントロール群)」を表しています。
  • 漸近的な性質を用いる際は、①中心極限定理が成り立つ、②漸近分散を推定する際に、母数をその一致推定量で置き換えることができるということが成り立つと仮定しています。
  • デルタ法を用いる際、剰余項(2次の項)が漸近的に無視できる(0に確率収束する)と仮定しています。
  • 上述の参考書では、標準正規分布の上側 100α% 点を Z1α と表記していますが、本サイトでは、Zα としています。そのため、参考書に載っている式の形式と異なる部分があります。
  • 著作権の関係上、問題文は、掲載しておりません。上述の参考書をお持ちの方は、お手元にご用意してご覧ください。
  • この解答例は、筆者が自作したものであり、公式なものではありません。あくまでも参考としてご覧いただければ幸いです。

問題9.4.1:生存関数①

累積ハザード関数 Λ(t)=0tλ(u)du は、 Λ(t)=0tμγuγ11+μuγdu=[log(1+μuγ)]0t=log(1+μtγ) 累積ハザード関数と生存関数の関係 S(t)=exp{Λ(t)} より、 S(t)=exp{log(1+μtγ)}=11+μtγ イベント累積分布関数の定義 F(t)=1S(t) より、 F(t)=111+μtγ=μtγ1+μtγ イベント発生の確率密度関数、ハザード関数、生存関数の関係より、 f(t)=λ(t)S(t)=μγtγ11+μtγ11+μtγ=μγtγ1(1+μtγ)2

問題9.4.2:死亡・生存オッズ比

オッズの定義より、各群の時点 t におけるイベント発生オッズは、π=Fi(t),i=1,2 として、 Od1=F1(t)1F1(t)=μ1tγ1+μ1tγ(1+μ1tγ)=μ1tγOd2=F2(t)1F2(t)=μ2tγ1+μ2tγ(1+μ2tγ)=μ2tγ したがって、オッズ比の定義より、イベント発生オッズ比は、 ORD=μ1tγμ2tγ=μ1μ2 同様に、生存オッズ比は、 Od1=S1(t)1S1(t)=1+μ1tγμ1tγ11+μ1tγ=1μ1tγOd2=S2(t)1S2(t)=1+μ2tγμ2tγ11+μ2tγ=1μ2tγ ORS=1μ1tγ1μ2tγ=μ2μ1

問題9.4.3:生存関数②

ハザード関数、イベント密度関数、生存関数の式に、μ=exp(α+xTβ) を代入すると、 λ(t|x)=exp(α+xTβ)γtγ11+exp(α+xTβ)tγf(t|x)=exp(α+xTβ)γtγ1{1+exp(α+xTβ)tγ}2S(t|x)=11+exp(α+xTβ)tγ

問題9.4.4:偏回帰係数とオッズ比の関係

オッズ比の式に、μ=exp(α+xTβ) を代入すると、 ORD=eαex1β1e(xi+1)βiexkβkeαex1β1exiβiexkβk=eβiORS=eαex1β1exiβiexkβkeαex1β1e(xi+1)βiexkβk=eβi

問題9.4.5:対数時間のイベント密度関数・生存関数

対数変換の公式 Y=logXg(y)=f(ey)ey より、 f(y)=μγey(γ1)(1+μeyγ)2ey=γμeyγ(1+μeyγ)2 同様に、ハザード関数は、 λ(y)=μγey(γ1)1+μeyγey=γμeyγ1+μeyγ イベント密度関数、ハザード関数、生存関数の関係より、 S(y)=f(y)λ(y)=γμeyγ(1+μeyγ)21+μeyγγμeyγ=11+μeyγ

問題9.4.6:条件付きイベント密度関数

イベント発生の確率密度関数の式に、μ=exp(α+xTβ) を代入すると、 f(t|x)=exp(α~+xTβ~σ)γtγ1{1+exp(α~+xTβ~σ)tγ}2=1σexp(α~+xTβ~σ)exp{(1σ1)logt}[1+exp(α~+xTβ~σ)exp{1σlogt}]2=1σexp{logt(α~+xTβ~)σ}[1+exp{logt(α~+xTβ~)σ}]2exp(logt) 対数変換の公式 Y=logXg(y)=f(ey)ey より、 f(y|x)=1σexp{y(α~+xTβ~)σ}[1+exp{y(α~+xTβ~)σ}]2exp(y)exp(y)=1σexp{y(α~+xTβ~)σ}[1+exp{y(α~+xTβ~)σ}]2 同様に、ハザード関数は、 λ(y|x)=1σexp{y(α~+xTβ~)σ}1+exp{y(α~+xTβ~)σ}exp(y)exp(y)=1σexp{y(α~+xTβ~)σ}1+exp{y(α~+xTβ~)σ}

問題9.4.7:条件付き生存関数

イベント密度関数、ハザード関数、生存関数の関係より、 S(y|x)=f(y|x)λ(y|x)=1σexp{y(α~+xTβ~)σ}[1+exp{y(α~+xTβ~)σ}]2σ1+exp{y(α~+xTβ~)σ}exp{y(α~+xTβ~)σ}=11+exp{y(α~+xTβ~)σ} *このことから、比例死亡オッズモデルないしは比例生存オッズモデルのパラメータは、加速死亡時間モデルから得ることができる。

問題9.4.8:残差の確率密度関数

線形変換の公式 Y=aX+bg(y)=f(yba)1a より、ε の確率密度関数は、 f(ε)=1σexp(ε)[1+exp(ε)]2σ=eε(1+eε)2 *このことから、対数線形モデルの誤差はロジスティック分布に従い、ハザード関数は対数ロジスティック密度に一致する。

参考文献

  • ジョン・ラチン 著, 宮岡 悦良 監訳, 遠藤 輝, 黒沢 健, 下川 朝有, 寒水 孝司 訳. 医薬データのための統計解析. 共立出版, 2020, p.560-562

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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