ジョン・ラチン(2020)『医薬データのための統計解析』 問題8.7 解答例

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【2022年12月1週】 【A000】生物統計学 【A093】ポアソン回帰分析

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本稿は、ジョン・ラチン(2020)『医薬データのための統計解析』の「問題8.7」の一部に対する自作解答例です。ポアソン回帰分析に必要なサンプルサイズと検出力に関する問題です。

なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。
  • 曝露(発症)状況を表す右下の添え字は、「0」である場合(n0,π0 など)や「2」である場合(n2,π2 など)がありますが、どちらも「非曝露群(コントロール群)」を表しています。
  • 漸近的な性質を用いる際は、①中心極限定理が成り立つ、②漸近分散を推定する際に、母数をその一致推定量で置き換えることができるということが成り立つと仮定しています。
  • 著作権の関係上、問題文は、掲載しておりません。上述の参考書をお持ちの方は、お手元にご用意してご覧ください。
  • この解答例は、筆者が自作したものであり、公式なものではありません。あくまでも参考としてご覧いただければ幸いです。

問題8.7.0:効果量・有意水準・検出力の関係式(ポアソンモデル)

2重同次ポアソンモデルの仮定より、 E(dij)=V(dij)=λitij 期待値の性質より、 E(di)=E(j=1nidij)=E(l=1niλitij)=λiE(l=1nitij)=λiti ポアソン分布の正規近似により、漸近的に、 diN(λiti,λiti) パラメータ λi の最尤推定量 λ^i=diti について、期待値と分散の性質より E(λ^i)=E(diti)=λititi=λiV(λ^i)=V(diti)=λititi2=λiti したがって、漸近的に、 λ^1N(λ1,λ1t1)λ^2N(λ2,λ2t2) 最尤推定量の差を δ^=λ^1λ^2 とすると、正規分布の再生性より、 δ^1N(λ1λ2,λ1t1+λ2t2) 帰無仮説 H0:λ1=λ2=λ のもとでは、 δ^0N[0,λ(t1+t2t1t2)] 臨床的有意差・有意水準・検出力の関係式より、 |δ1δ0|=Zασ0Z1βσ1|λ1λ2|=Zαλ(t1+t2t1t2)Z1βλ1t1+λ2t2 したがって、2つのグループ間の率の差に対する Z 検定の検出力は、曝露の合計患者年数の関数である。
また、E(di)=λiti より、 σ02=λt1+λt2=λ2λt1+λ2λt2=λ2E(d1)+λ2E(d2)=λ2{E(d1)+E(d2)E(d1)E(d2)} σ12=λ1t1+λ2t2=λ12λ1t1+λ22λ2t2=λ12E(d1)+λ22E(d2) したがって、 |λ1λ2|=Zαλ2{E(d1)+E(d2)E(d1)E(d2)}Z1βλ12E(d1)+λ22E(d2) すなわち、2つのグループ間の率の差に対する Z 検定の検出力は、各グループの期待事象数の関数でもある。

参考文献

  • ジョン・ラチン 著, 宮岡 悦良 監訳, 遠藤 輝, 黒沢 健, 下川 朝有, 寒水 孝司 訳. 医薬データのための統計解析. 共立出版, 2020, p.455-456
  • ジョン・ラチン 著, 宮岡 悦良 監訳, 遠藤 輝, 黒沢 健, 下川 朝有, 寒水 孝司 訳. 医薬データのための統計解析. 共立出版, 2020, p.446-448

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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