内積

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【2022年12月3週】 【C000】数学 【C080】線形代数

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ベクトルの内積

内積

Rn のベクトル a,b に対し、実数 (a,b) が定まって、次の4条件が成り立つとき、(a,b)ab内積 inner product という。

【定義】
内積の条件
Definition of Inner Product

(a,b)=(b,a)(a+b,c)=(a,c)+(a,b)(ka,b)=k(a,b)kR0(a,a)and(a,a)=0a=0

内積の定義されたベクトル空間 Rn内積空間という。

ベクトルの大きさ

内積空間においては条件④より、(a,a) はつねに負でない実数である。 ||a||=(a,a) をベクトル a大きさ(または長さノルム norm)という。

標準内積

いま、Rn のベクトル a=(a1a2an)b=(b1b2bn) に対して (a,b)=aTb=i=1naibi Rn標準内積という。 標準内積においては ||a||=a12+a22++an2 である。

ベクトルの大きさの性質

【定理】
ベクトルの大きさの性質
Properties of the Magnitude of a Vector

0||a||and||a||=0a=0||a||=|k|||a||kR ③シュワルツの不等式 |(a,b)|||a||||b|| ④三角不等式 ||a+b||||a||+||b||

なす角・直交

内積空間 Rn において、a,b がともに零ベクトルでないとき、シュワルツの不等式から 1(a,b)||a||||b||1 が成り立つ。 よって (a,b)||a||||b||=cosθ0θπ を満たす θ がただ1つ有在する。 この θ をベクトル ab のなす角という。

a,b がともに零ベクトルでなくて (a,b)=0 ならば、上式より cosθ=0θ=π2 a,b のどちらかが零ベクトルの場合には、内積の条件からつねに (a,b)=0 となる。

a,b が零ベクトルであるとないとにかかわらず、(a,b)=0 のとき、ab は互いに直交する(垂直である)ということにし、 ab と書く。

正規化

零でないベクトル a をその大きさで割って、大きさ1のベクトル 1||a||a にすることを正規化する normalize という。

正規直交系

内積空間 Rn のベクトルの組 a1,a2,,ar がすべて大きさ1で(すなわち、正規化されていて)かつどの2つも互いに直交するとき、いいかえると (ai,aj)=0ij が成り立つとき {a1,a2,,ar} 正規直交系 orthonormal system であるという。

正規直交系の1次独立性

【定理】
正規直交系の1次独立性
Linear Independence of Orthogonal Vectors

正規直交系をなすベクトルの組は1次独立である。

直交補空間

Rn の部分空間 W が与えられたとき、別の部分空間 W をうまく見つけて、WW の直和を Rn 全体にすることを考える(このような WW補空間 complementary space という)。

直交補空間

W を内積空間 Rn の部分空間とし、aRn のベクトルとする。aW に属するすべてのベクトルに直交するとき、aW に直交するといい、 aW と書く。

ベクトルと部分空間との直交条件

【定理】
ベクトルと部分空間との直交条件

W を内積空間 Rnr 次元部分空間とする。Rn のベクトル bW と直交するための必要十分条件は、bW の基底 {a1,a2,,ar} の各ベクトルと直交することである。

W に直交するベクトル x 全体の集合 {xRn|xW} Rn の部分空間となる。 これを W と表す。 WW直交補空間 orthogonal complement という。

正射影

【定理】
正射影
Orthogonal Projection

内積空間 Rn{o} でない部分空間 W に対して Rn=WW が成り立つ。 したがって、任意の aRna=b+cbW,cW の形に一意的に表せる。 このとき、baW への正射影 orthogonal projection という。

直交行列と内積

直交行列

実正方行列 AAAT=ATA=E を満たすとき、A直交行列 orthogonal matrix という。

直交行列と正規直交基底

【定理】
直交行列と正規直交基底
Orthogonal Matrix and Orthonormal Basis

正方行列 A=(aij)=(a1a2an) について、次は同値である。A は直交行列
A の列ベクトル {a1,a2,,an}Rn の正規直交基底をなす。

直交行列の定める線形変換

【定理】
直交行列の定める線形変換と内積
Orthogonal Transformation

A を直交行列とし、fA の定める線形変換 f(x)=Ax とすれば、 fRn の標準内積を変えない、すなわち、Rn のどんなベクトル x,y に対しても (f(x),f(y))=(x,y)

証明

証明

(f(x),f(y))=(Ax,Ay)=(Ax)TAy=xTATAy=xTy=(x,y)

ベクトルの大きさとなす角は内積から定まるから、内積を変えないならば、大きさとなす角も変えない。よって、直交行列の定める線形変換は、大きさもなす角も変えない変換、すなわち合同変換である。

参考文献

  • 村上 正康, 佐藤 恒雄, 野澤 宗平, 稲葉 尚志 共著. 教養の線形代数. 培風館, 2016, p.117-127
  • 馬場 敬之 著. 線形代数キャンパス・ゼミ. 改訂8, マセマ出版社, 2020, p.186-193

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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