本稿では、変数変換による重積分と性質を紹介しています。
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ヤコビアン
例えば、領域
における
関数
の重積分
を求める場合、
と変数変換する。
式 より、
がそれぞれ の二変数関数となるので、このときの全微分は、
ここで、
さらに
とおくと、
式 は
すなわち、
とおける。
座標平面上での面積要素 が、式 によって 座標平面上に写されたものを、この平面上での面積要素 とおく。
が によりそれぞれ、
に写されるものとすると、
よって、面積 の領域が 平面上に写される領域は、 と とでできる平行四辺形の領域になる。したがって、この領域の面積 を 平面上の面積要素 とおくので、
以上より、
この絶対値の中身は、形式的に、行列
とおくと、
行列式
で表すことができる。
これをヤコビアン Jacobian、または、ヤコビ行列式、関数行列式と呼び、アルファベットの
で表す。
これは、1変数関数の置換積分法に当たるものである。
一般には、 個の多変数関数 が変数 で偏微分可能なときの一階偏導関数全体が作る 次正方行列
をヤコビ行列といい、その行列式の絶対値をヤコビアンと呼ぶ。
また、ヤコビ行列は
と表すこともある。
変数変換による重積分
【定理】
変数変換による重積分
Change of Variables in Multiple Integrals
平面の有界閉領域 と 平面の有界閉領域 とが変数変換
により1対1で対応し、
とする。
このとき、 が で連統ならば、
極座標による変換
【定理】
極座標変換による重積分
Double Integrals in Polar Coordinates
平面の有界閉領域 内の点 の極座標を とすると、 内の点は不等式
で示される。
このとき、極座標に直す変換
を行えば、
ガウス積分の公式
【公式】
ガウス積分の公式
Gaussian Integral
証明
証明
まず、
とおく。
を極座標に変換すると
ここで、新たな 座標系での領域
ただし、 は正の定数
を作り、
とすることにより、式 の重積分を行うことができる。極座標変換による重積分の公式より、
ここで、式 について
よって、式 より、
参考文献
- 馬場 敬之 著. 微分積分キャンパス・ゼミ. 改訂6, マセマ出版社, 2019, p.212-225
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