本稿では、生存時間分布のパラメトリックモデルのひとつであるワイブル分布モデルについて重要事項をまとめています。このモデルは、ハザードが時間経過と共に変化することを仮定したモデルで、パラメトリックな比例ハザードモデルです。
なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。
- スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。
- 曝露(発症)状況を表す右下の添え字は、「0」である場合(
など)や「2」である場合( など)がありますが、どちらも「非曝露群(コントロール群)」を表しています。 - 漸近的な性質を用いる際は、①中心極限定理が成り立つ、②漸近分散を推定する際に、母数をその一致推定量で置き換えることができるということが成り立つと仮定しています。
- デルタ法を用いる際、剰余項(2次の項)が漸近的に無視できる(
に確率収束する)と仮定しています。
目次[非表示]
生存時間分布のワイブル分布モデル
ハザード関数が、率パラメータ
生存関数と確率密度関数は、
証明:ワイブルモデルの生存関数とイベント密度関数
累積ハザード関数
【定理】率・形状パラメータの最尤推定①:率パラメータが定数のとき
【定理】
率・形状パラメータの最尤推定①:率パラメータが定数のとき
MLE of Scale and Shape Parameter
パラメータベクトルを
期待情報行列の逆行列によって求めたパラメータの推定量の漸近分散と共分散をそれぞれ次のようにおくとき、
証明:尤度関数とスコア関数①
パラメータの尤度関数の公式
証明:期待情報行列①
期待情報行列の成分
証明:推定対数生存関数の分散
期待情報行列の逆行列によって求めたパラメータの推定量の漸近分散と共分散をそれぞれ
【定理】率・形状パラメータの最尤推定②:率パラメータが共変量ベクトルの関数のとき
【定理】
率・形状パラメータの最尤推定②:率パラメータが共変量ベクトルの関数のとき
MLE of Scale and Shape parameter: When Scale Parameter Depends on Covariates
率パラメータが共変量ベクトル
証明:スコア関数②
対数尤度関数の式に
証明:期待情報行列②
期待情報行列の成分
証明:偏回帰係数とハザード比の関係
ハザード関数の定義式より、
【定理】ワイブルモデルの生存関数②:率パラメータが共変量ベクトルの関数のとき
【定理】
ワイブルモデルの生存関数②:率パラメータが共変量ベクトルの関数のとき
Suvival Function of Weibull Models: When Scale Parameter Depends on Covariates
共変量ベクトル
証明:生存関数
ワイブルモデルの生存関数の定義式より、共変量ベクトル
証明:補対数対数生存関数
この最尤推定量は、
参考文献
- ジョン・ラチン 著, 宮岡 悦良 監訳, 遠藤 輝, 黒沢 健, 下川 朝有, 寒水 孝司 訳. 医薬データのための統計解析. 共立出版, 2020, p.556-558
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