本稿では、ボンフェローニの不等式を証明しています。この定理は、統計学にはそこまで頻繁には登場しませんが、多重比較法における基本的な有意水準の調整法であるボンフェローニ法の基礎となるため、重要な定理です。
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【定理】ボンフェローニの不等式
【定理】
ボンフェローニの不等式
Bonferroni’s Inequality
事象 $A_1,A_2, \cdots ,A_n$ の起こる確率について、 \begin{align} P \left(\bigcap_{i=1}^{n}A_i\right) \geq 1-\sum_{i=1}^{n}P \left(A_i^c\right) \end{align} が成り立つ。
証明
ド・モルガンの法則 $\bigcap_{i=1}^{n}A_i= \left(\bigcup_{i=1}^{n}A_i^C\right)^C$ より、 \begin{align} P \left(\bigcap_{i=1}^{n}A_i\right)=P \left\{ \left(\bigcup_{i=1}^{n}A_i^C\right)^C\right\} \end{align} 確率の基本性質 $P \left(A^C\right)=1-P \left(A\right)$ より、$A=\bigcup_{i=1}^{n}A_i^C$ と考えると \begin{align} P \left\{ \left(\bigcup_{i=1}^{n}A_i^C\right)^C\right\}=1-P \left(\bigcup_{i=1}^{n}A_i^C\right) \end{align} ブールの不等式 $P \left(\bigcup_{i=1}^{n}A_i\right) \le \sum_{i=1}^{n}P \left(A_i\right)$ より、 \begin{gather} P \left(\bigcup_{i=1}^{n}A_i^C\right) \le \sum_{i=1}^{n}P \left(A_i^C\right)\\ -P \left(\bigcup_{i=1}^{n}A_i^C\right) \geq -\sum_{i=1}^{n}P \left(A_i^C\right)\\ 1-P \left(\bigcup_{i=1}^{n}A_i^C\right) \geq 1-\sum_{i=1}^{n}P \left(A_i^C\right) \end{gather} したがって、 \begin{align} P \left(\bigcap_{i=1}^{n}A_i\right) \geq 1-\sum_{i=1}^{n}P \left(A_i^c\right) \end{align} $\blacksquare$
参考文献
- 野田 一雄, 宮岡 悦良 著. 入門・演習数理統計. 共立出版, 1990, p.29 章末問題 1.B.4
- 黒木 学 著. 数理統計学:統計的推論の基礎. 共立出版, 2020, p.36. 問題2.2
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