本稿では、効果量の指標の推定量が正規分布に従う場合、信頼区間の幅を指定した値にする際に用いられるサンプルサイズ設計の公式を導出しています。
なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。
- スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。
- 曝露(発症)状況を表す右下の添え字は、「0」である場合($n_0,\pi_0$ など)や「2」である場合($n_2,\pi_2$ など)がありますが、どちらも「非曝露群(コントロール群)」を表しています。
- 漸近的な性質を用いる際は、①中心極限定理が成り立つ、②漸近分散を推定する際に、母数をその一致推定量で置き換えることができるということが成り立つと仮定しています。
【公式】信頼区間の幅に対するサンプルサイズ設計の公式
【公式】
信頼区間の幅に対するサンプルサイズ設計の公式
Sample Size Determination for Confidence Interval
任意の研究について、各群のサンプルサイズを \begin{gather} n_1=n_0=N \end{gather} とし、 効果量の指標の推定量が(漸近的な場合も含めて)正規分布 \begin{align} \hat{\delta} \sim \mathrm{N} \left(\mu,\frac{\phi^2}{N}\right) \end{align} に従うとき、 $100 \left(1-\alpha\right)\\%$ 信頼区間の幅が $E$ となるために必要なサンプルサイズは、 \begin{align} N= \left(\frac{2Z_{0.5\alpha} \cdot \phi}{E}\right)^2 \end{align}
導出
効果量の指標の標本値が正規分布 \begin{align} \hat{\delta} \sim \mathrm{N} \left(\mu,\frac{\phi^2}{N}\right) \end{align} に従うとき、 上下信頼限界は、 \begin{gather} \delta_L=\hat{\delta}-Z_{0.5\alpha} \cdot \frac{\phi}{\sqrt N}\\ \delta_U=\hat{\delta}+Z_{0.5\alpha} \cdot \frac{\phi}{\sqrt N} \end{gather} 信頼区間の幅は、 \begin{align} E&=\delta_U-\delta_L\\ &= \left(\hat{\delta}+Z_{0.5\alpha} \cdot \frac{\phi}{\sqrt N}\right)- \left(\hat{\delta}-Z_{0.5\alpha} \cdot \frac{\phi}{\sqrt N}\right)\\ &=2Z_{0.5\alpha} \cdot \frac{\phi}{\sqrt N} \end{align} これを $N$ について解くと、 \begin{gather} \sqrt N=\frac{2Z_{0.5\alpha} \cdot \sigma}{E}\\ N= \left(\frac{2Z_{0.5\alpha} \cdot \sigma}{E}\right)^2 \end{gather} $\blacksquare$
参考文献
- 丹後 俊郎, 松井 茂之 編集. 医学統計学ハンドブック. 朝倉書店, 2018, p.371-372
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