統計検定 1級 2022年 医薬生物学 問1 生存時間分析:比例ハザードモデル

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【2022年11月3週】 【A000】生物統計学 【D000】統計検定 過去問

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本稿には、2022年に実施された統計検定1級『医薬生物学』 問1の自作解答案を掲載しています。なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • 著作権の関係上、問題文は、掲載することができません。申し訳ありませんが、閲覧者のみなさまでご用意いただければ幸いです。
  • この答案は、あくまでも筆者が自作したものであり、公式なものではありません。正式な答案については、公式問題集をご参照ください。
  • 計算ミスや誤字・脱字などがありましたら、コメントなどでご指摘いただければ大変助かります。
  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。

〔1〕比例ハザード性

標本1のハザード関数は、 \begin{gather} \lambda \left(t;0\right)=\lambda_0 \left(t\right) \cdot \mathrm{exp} \left(\beta \cdot 0\right)=\lambda_0 \left(t\right) \end{gather} 標本2のハザード関数は、 \begin{gather} \lambda \left(t;1\right)=\lambda_0 \left(t\right) \cdot \mathrm{exp} \left(\beta \cdot 1\right)=\lambda_0 \left(t\right) \cdot \mathrm{exp} \left(\beta\right) \end{gather} 標本1に対する標本2のハザード比は、 \begin{gather} \mathrm{HR}=\frac{\lambda \left(t;1\right)}{\lambda \left(t;0\right)}=\frac{\lambda_0 \left(t\right) \cdot \mathrm{exp} \left(\beta\right)}{\lambda_0 \left(t\right)}=\mathrm{exp} \left(\beta\right) \end{gather} ここで、$\mathrm{exp} \left(\beta\right)$ は定数なので、時間によらずハザード比は常に一定、すなわち比例ハザード性が成り立つ。 $\blacksquare$

〔2〕ベースライン生存関数

累積ハザード関数の定義式より、 \begin{align} \Lambda \left(t;x\right)&=\int_{0}^{t}{\lambda_0 \left(u\right) \cdot \mathrm{exp} \left(\beta x\right)du}\\ &=\mathrm{exp} \left(\beta x\right)\int_{0}^{t}{\lambda_0 \left(u\right)du} \end{align} また、生存関数と累積ハザード関数の関係式より、 \begin{gather} S \left(t;x\right)=\mathrm{exp} \left\{-\Lambda \left(t;x\right)\right\} \end{gather} これと式 $(2)$ より、 \begin{align} \left\{S_0 \left(t\right)\right\}^{\mathrm{exp} \left(\beta x\right)}&=\mathrm{exp} \left\{-\mathrm{exp} \left(\beta x\right)\int_{0}^{t}{\lambda_0 \left(u\right)du}\right\}\\ &= \left[\mathrm{exp} \left\{-\int_{0}^{t}{\lambda_0 \left(u\right)du}\right\}\right]^{\mathrm{exp} \left(\beta x\right)} \end{align} したがって、 \begin{gather} S_0 \left(t\right)=\mathrm{exp} \left\{-\int_{0}^{t}{\lambda_0 \left(u\right)du}\right\} \end{gather} $\blacksquare$

〔3〕二重対数プロット

式 $(2)$ を用いて二重対数を求めると、 \begin{align} \log{ \left(-\log{S \left(t;x\right)}\right)}&=\log{ \left[-\log{ \left\{S_0 \left(t\right)\right\}^{\mathrm{exp} \left(\beta x\right)}}\right]}\\ &=\log{ \left[-\mathrm{exp} \left(\beta x\right) \cdot \log{S_0 \left(t\right)}\right]}\\ &=\beta x+\log{ \left\{-\log{S_0 \left(t\right)}\right\}} \end{align} 標本1の二重対数生存関数は、 \begin{gather} \log{ \left(-\log{S \left(t;0\right)}\right)}=\log{ \left\{-\log{S_0 \left(t\right)}\right\}} \end{gather} 標本2の二重対数生存関数は、 \begin{gather} \log{ \left(-\log{S \left(t;1\right)}\right)}=\beta+\log{ \left\{-\log{S_0 \left(t\right)}\right\}} \end{gather} したがって、これらの差は、 \begin{align} \log{ \left(-\log{S \left(t;1\right)}\right)}-\log{ \left(-\log{S \left(t;0\right)}\right)}&=\beta+\log{ \left\{-\log{S_0 \left(t\right)}\right\}}-\log{ \left\{-\log{S_0 \left(t\right)}\right\}}\\ &=\beta \end{align} よって、経過時間によらず、層間の差は常に $\beta$、すなわちプロットは層間で平行になる。 $\blacksquare$

〔4〕ハザード比の信頼区間

〔1〕の結果より、ハザード比の推定値は、 \begin{align} \mathrm{\widehat{HR}}&=\mathrm{exp} \left(\hat{\beta}\right)\\ &=\mathrm{exp} \left(0.06\right) \end{align} 付表5より、 \begin{align} \mathrm{\widehat{HR}}=1.0618 \end{align} 回帰係数の95%信頼区間は、 \begin{align} \beta&=\hat{\beta}\pm\mathrm{S.E.} \left(\hat{\beta}\right) \cdot Z_{0.025}\\ &=0.06\pm0.18 \cdot 1.96\\ &=-0.29 \sim 0.41 \end{align} したがって、ハザード比の95%信頼区間は、付表5より、 \begin{align} \mathrm{HR}&=\mathrm{exp} \left(-0.29\right) \sim \mathrm{exp} \left(0.41\right)\\ &=\frac{1}{1.3364} \sim 1.5068\\ &=0.75 \sim 1.51 \end{align} $\blacksquare$

〔5〕治療効果の評価

ハザード比の95%信頼区間が1をまたいでいるので、有意水準5%では有意ではない、すなわち、治療効果があるとは言えない。 $\blacksquare$

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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