本稿では、マッチング研究において用いられるマクネマー検定の検定統計量を条件付き二項分布にもとづく考え方と四項分布にもとづく考え方の2種類の方法で導出しています。
なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。
- スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。
- 曝露(発症)状況を表す右下の添え字は、「0」である場合(
など)や「2」である場合( など)がありますが、どちらも「非曝露群(コントロール群)」を表しています。 - 漸近的な性質を用いる際は、①中心極限定理が成り立つ、②漸近分散を推定する際に、母数をその一致推定量で置き換えることができるということが成り立つと仮定しています。
【定理】マクネマー検定
【定理】
マクネマー検定
McNemar Test
マッチングありのコホート研究において、対称性の帰無仮説
導出①:条件付き二項分布を用いる方法
この考え方においては、①抽出したものが不一致な応答であり、②応答の総数
抽出したものが不一致な応答であるという条件のもとで、それが「発症あり・発症なし
二項分布の期待値と分散の公式より、
対称性の帰無仮説
導出②:四項分布を用いる方法
この考え方では、分割表に四項分布モデルを仮定し、標本確率ベクトル
帰無仮説
標本比率の差の分散の一致推定量は、
参考文献
- ジョン・ラチン 著, 宮岡 悦良 監訳, 遠藤 輝, 黒沢 健, 下川 朝有, 寒水 孝司 訳. 医薬データのための統計解析. 共立出版, 2020, p.225-227
- McNemar, Q. Note on the sampling error of the difference between correlated proportions or percentages. Psychometrika. 1947, 12(2), p.153-157, doi: 10.1007/BF02295996
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