ジョン・ラチン(2020)『医薬データのための統計解析』 問題5.8 解答例

公開日:

【2022年11月2週】 【A000】生物統計学 【A061】マッチング研究

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本稿は、ジョン・ラチン(2020)『医薬データのための統計解析』の「問題5.8」の自作解答例です。マッチング・コホート研究に対するマクネマー検定に関する問題です。

なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。
  • 曝露(発症)状況を表す右下の添え字は、「0」である場合(n0,π0 など)や「2」である場合(n2,π2 など)がありますが、どちらも「非曝露群(コントロール群)」を表しています。
  • 漸近的な性質を用いる際は、①中心極限定理が成り立つ、②漸近分散を推定する際に、母数をその一致推定量で置き換えることができるということが成り立つと仮定しています。
  • 著作権の関係上、問題文は、掲載しておりません。上述の参考書をお持ちの方は、お手元にご用意してご覧ください。
  • この解答例は、筆者が自作したものであり、公式なものではありません。あくまでも参考としてご覧いただければ幸いです。

問題5.8.1:マクネマー検定の実施

マッチングペアに関する関連性の検定を行う場合、以下の帰無仮説と対立仮説となる。 H0:π12=π21H1:π12π21 不一致応答の総数は、 M=18+62=80 マクネマー検定統計量は、 ZM=186280=4.919p<0.001

問題5.8.2:条件付きオッズ比の推定と信頼区間

条件付きオッズ比の推定公式 OR^C=fg より、 OR^C=1862=0.290 logOR^C=θ とすると、条件付き対数オッズ比の分散公式 V(θ^)=Mfg より、 V(θ^)=801862=0.072S.E.(θ^)=0.268 θ に対する95%信頼区間は、 θ^L=log0.2901.960.268=1.762θ^U=log0.290+1.960.268=0.712 OR に対する95%信頼区間は、 ORCL=e1.7620.172ORCU=e0.7120.491

問題5.8.3:母集団平均化リスク比の推定と信頼区間

母集団平均化リスク比の推定公式 RR^A=e+fe+g より、 RR^A=135+18135+62=0.777 logRR^A=θ とすると、条件付き対数オッズ比の分散公式 V(θ^)=M(e+g)(e+f) より、 V(θ^)=80153197=0.003S.E.(θ^)=0.052 θ に対する95%信頼区間は、 θ^L=log0.7771.960.052=0.354θ^U=log0.777+1.960.052=0.152 RRA に対する95%信頼区間は、 RRAL=e0.3540.702RRAU=e0.1520.859

参考文献

  • ジョン・ラチン 著, 宮岡 悦良 監訳, 遠藤 輝, 黒沢 健, 下川 朝有, 寒水 孝司 訳. 医薬データのための統計解析. 共立出版, 2020, p.260-261
  • ジョン・ラチン 著, 宮岡 悦良 監訳, 遠藤 輝, 黒沢 健, 下川 朝有, 寒水 孝司 訳. 医薬データのための統計解析. 共立出版, 2020, p.227-234

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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