本稿では、希少疾患の仮定の下で、発症リスク比が発症オッズ比で近似できることを証明しています。
なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。
- スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。
- 曝露(発症)状況を表す右下の添え字は、「0」である場合($n_0,\pi_0$ など)や「2」である場合($n_2,\pi_2$ など)がありますが、どちらも「非曝露群(コントロール群)」を表しています。
【定理】発症オッズ比による発症リスク比の近似
【定理】
発症オッズ比による発症リスク比の近似
Odds Ratio Approximate the Risk Ratio under Rare Event Assumption
マッチングなしのコホート研究において、希少疾患の仮定 \begin{gather} \pi_1\rightarrow0 \quad \pi_0\rightarrow0 \end{gather} の条件下において、 発症リスク比は発症オッズ比によって近似できる、すなわち、 \begin{align} \mathrm{RR}\cong\mathrm{OR} \end{align} が成り立つ。
証明
発症オッズ比の定義式より、 \begin{align} \mathrm{OR}=\frac{\pi_1}{1-\pi_1} \cdot \frac{1-\pi_0}{\pi_0} \end{align} 希少疾患の仮定の下では、 \begin{gather} \pi_1\rightarrow0\Rightarrow1-\pi_1=1\\ \pi_0\rightarrow0\Rightarrow1-\pi_0=1 \end{gather} したがって、 \begin{align} \mathrm{OR}\rightarrow\frac{\pi_1}{1} \cdot \frac{1}{\pi_0}=\frac{\pi_1}{\pi_0}=\mathrm{RR} \end{align} $\blacksquare$
参考文献
- ジョン・ラチン 著, 宮岡 悦良 監訳, 遠藤 輝, 黒沢 健, 下川 朝有, 寒水 孝司 訳. 医薬データのための統計解析. 共立出版, 2020, p.20-23
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