ジョン・ラチン(2020)『医薬データのための統計解析』 問題3.6 解答例

公開日:

【2022年10月4週】 【A000】生物統計学 【A074】サンプルサイズの設計

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本稿は、ジョン・ラチン(2020)『医薬データのための統計解析』の「問題3.6」の自作解答例です。相対リスクを用いた非劣性・同等性試験に対するサンプルサイズと検出力に関する問題です。

なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。
  • 曝露(発症)状況を表す右下の添え字は、「0」である場合(n0,π0 など)や「2」である場合(n2,π2 など)がありますが、どちらも「非曝露群(コントロール群)」を表しています。
  • 上述の参考書では、標準正規分布の上側 100α% 点を Z1α と表記していますが、本サイトでは、Zα としています。そのため、参考書に載っている式の形式と異なる部分があります。
  • 著作権の関係上、問題文は、掲載しておりません。上述の参考書をお持ちの方は、お手元にご用意してご覧ください。
  • この解答例は、筆者が自作したものであり、公式なものではありません。あくまでも参考としてご覧いただければ幸いです。

問題3.6.1:同等性マージン・有意水準・検出力の関係

与条件を整理すると、 θ=logRR=logπ1π2θ^=logRR^=logp1p2 同等性マージン θE を用いると、 θ^±Z10.5ασ0(θE,θE) のときに同等性が示せる。 同等性試験のサンプルサイズを設計する際の検証したい仮説は、 H0:θ=0H0:π1=π2=π 検証したい仮説の下では、標本対数リスク比は、漸近的に θ^N[0,1ππ(1n1+1n2)] 総数 N のサンプルを集めるときの各群の割合が ξ1,ξ2 のとき、n1=Nξ1,n2=Nξ2 なので、 θ^N(0,σ02)σ02=1ππξ1ξ21N=ϕ02N θ^ を標準化した値は、 θ^σ0=ZN(0,1) 検証したい仮説の下での 100(1α)% 上側信頼限界と下側信頼限界は、 θ^L=θ^Z10.5ασ0θ^U=θ^+Z10.5ασ0 検証したい仮説のもとで同等性が示される確率は、 P{(θEθ^Z10.5ασ0)(θ^+Z10.5ασ0θE)}=1βP(θE+Z10.5ασ0θ^θEZ10.5ασ0)=1βP(θEσ0+Z10.5αθ^σ0θEσ0Z10.5α)=1βP(Z10.5βZZ10.5β)=1β したがって、 θEσ0Z10.5α=Z10.5βθE=(Z10.5α+Z10.5β)σ0θE=(Z10.5α+Z10.5β)ϕ0N これを総サンプルサイズ N について解くと、 N=(Z10.5α+Z10.5β)ϕ0ΔEN=[(Z10.5α+Z10.5β)ϕ0ΔE]2

問題3.6.2:同等性試験におけるサンプルサイズ設計の例題

与条件が以下のとき、 π=0.6θE=log1.1ξ1=ξ2=0.5α=0.051β=0.90 公式に代入すると、 N=(1.960+1.645)2(log1.1)20.50.510.60.6=3814.7

問題3.6.3:非劣性マージン・有意水準・検出力の関係

非劣性マージン ΔU を用いると、 θ^+Z1ασ0ΔU のときに非劣性が示せる。 同等性のときと同様の流れで考えていくと、検証したい仮説のもとで非劣性が示される確率は、 P(θ^+Z1ασ0ΔU)=1βP(θ^ΔUZ1ασ0)=1βP(θ^σ0ΔUσ0Z1α)=1βP(ZZ1β)=1β したがって、 ΔUσ0Z1α=Z1βΔU=(Z1α+Z1β)σ0ΔU=(Z1α+Z1β)ϕ0N これを総サンプルサイズ N について解くと、 N=(Z1α+Z1β)ϕ0ΔUN=[(Z1α+Z1β)ϕ0ΔU]2

問題3.6.4:非劣性試験におけるサンプルサイズ設計の例題

同等性試験と同様の条件のとき、公式に代入すると、 N=(1.645+1.282)2(log1.1)20.50.510.60.6=2514.0

参考文献

  • ジョン・ラチン 著, 宮岡 悦良 監訳, 遠藤 輝, 黒沢 健, 下川 朝有, 寒水 孝司 訳. 医薬データのための統計解析. 共立出版, 2020, p.124-125
  • ジョン・ラチン 著, 宮岡 悦良 監訳, 遠藤 輝, 黒沢 健, 下川 朝有, 寒水 孝司 訳. 医薬データのための統計解析. 共立出版, 2020, p.100-103

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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