診断検査の性能評価

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【2022年10月1週】 【A000】生物統計学 【A050】研究デザイン 【A080】診断医学研究

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本稿では、診断検査の性能評価の研究デザインについて、その分割表の形式、統計モデル、診断検査の性能に関する指標の定義をまとめています。

なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。

  • スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。
  • 曝露(発症)状況を表す右下の添え字は、「0」である場合(n0,π0 など)や「2」である場合(n2,π2 など)がありますが、どちらも「非曝露群(コントロール群)」を表しています。

分割表の形式

有病者と非有病者の観察対象人数をそれぞれ、 n1n0N=n1+n0 陽性者と陰性者の人数をそれぞれ、 m1m0N=m1+m0 有病者群と非有病者群の陽性者数をそれぞれ、 ab 有病者群と非有病者群の陰性者数をそれぞれ、 cd とする。

表1 検査結果と疾病の保有状況(観測値)
陽性
(+)
陰性
()
合計
疾病あり
(D)
a c n1
疾病なし
(D¯)
b d n0
合計 m1 m0 N

統計モデル

積二項モデル(感度・特異度を考える場合)

考え方

感度・特異度を調べる場合、まず診断のゴールド・スタンダートを適用し、参加者を発症群と非発症群に分け、その後、問題としている検査を適用する。このとき、発症群の行き先は、「疾病あり・陽性」か「疾病あり・陰性」のどちらか、非発症群の行き先は、「疾病なし・陽性」か「疾病なし・陰性」のどちらかしかないので、それぞれが互いに独立な二項分布に従うと考えられる。

発症群と非発症群の陽性人数 a,b が互いに独立に、 試行回数がそれぞれ n1n0 母比率(陽性確率)がそれぞれ π1=P(D|E)π0=P(D|E¯) である 二項分布 aB(n1,π1)bB(n0,π0) に従うとする。

表2 検査結果と疾病の保有状況(積二項モデル)
陽性
(+)
陰性
()
合計
疾病あり
(D)
π1 1π1 1
疾病なし
(D¯)
π0 1π0 1

積二項尤度

L(π)=n1Caπ1a(1π1)n1an0Cbπ0b(1π0)n0b

四項分布モデル(陽性的中度・陰性的中度を考える場合)

考え方

陽性的中度・陰性的中度を調べる場合、参加者全員に問題としている検査を適用し、その後、診断のゴールド・スタンダートを適用して発症状況を調べる。このとき、検査を適用された時点では、それぞれの参加者の行き先は、「疾病あり・陽性」、「疾病あり・陰性」、「疾病なし・陽性」、「疾病なし・陰性」の4通りすべてが可能性としてあり得る。したがって、四項分布に従うと考えられる。

各セルの観測値 n=(abcd) が四項分布

πMN(N,π)π=(π11π12π21π22) に従うとする。

表3 検査結果と疾病の保有状況(四項分布)
陽性
(+)
陰性
()
合計
疾病あり
(D)
π11 π12 πD
疾病なし
(D¯)
π21 π22 πD¯
合計 π+ π 1

四項尤度

L(π)=N!a!b!c!d!π11aπ12bπ21cπ22d

診断検査の性能に関する指標

感度

Sen=π11πD=1FNSen^=an1=1FN^

特異度

Spe=π22πD¯=1FPSpe^=dn0=1FP^

陽性的中度

PPV=π11π+PPV^=am1

陰性的中度

NPV=π22πNPV^=dm0

偽陽性率

FP=π21πD¯=1SpeFP^=bn0=1Spe^

偽陰性率

FN=π12πD=1SenFN^=cn1=1Sen^

陽性尤度比

PLR=π11πDπ21πD¯=Sen1SpePLR^=an1bn0=Sen^1Spe^

陰性尤度比

NLR=π12πDπ22πD¯=Spe1SenNLR^=cn1dn0=Spe^1Sen^

有病率

P=πDP^=n1N

正診率

A=π11+π22A^=a+dN

参考文献

  • スティーブン・ハリー, スティーブン・カミングス ほか 著, 木原 雅子, 木原 正博 訳. 医学的研究のデザイン:研究の質を高める疫学的アプローチ. 第4版, メディカル・サイエンス・インターナショナル, 2014, p.205
  • 丹後 俊郎, 松井 茂之 編集. 医学統計学ハンドブック. 朝倉書店, 2018, p.657

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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