本稿では、希少疾患の仮定の下で、発症リスク比が曝露オッズ比で近似できることを証明しています。この関係は、ケース・コントロール研究の妥当性を保証するものとして非常に重要な基本事項です。
なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。
- スマートフォンやタブレット端末でご覧の際、数式が見切れている場合は、横にスクロールすることができます。
- 曝露(発症)状況を表す右下の添え字は、「0」である場合(
など)や「2」である場合( など)がありますが、どちらも「非曝露群(コントロール群)」を表しています。
発症リスク比と曝露リスク比の関係
ケース・コントロール研究における、後ろ向き曝露リスク比は定義より、
【定理】曝露オッズ比による発症リスク比の近似
【定理】
曝露オッズ比による発症リスク比の近似
Retrospective Odds Ratio Approximate the Risk Ratio under Rare Event Assumption
マッチングなしのケース・コントロール研究において、全体の有病割合
証明
全体の有病割合
曝露あり |
曝露なし | 合計 | |
---|---|---|---|
ケース群 |
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|
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コントロール群 |
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合計 |
|
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|
このデータがマッチングなしのコホート研究で得られたものであると仮定すると、曝露群と非曝露群の発症確率はそれぞれ
多くの場合、全体の有病割合が事前には分からず、通常ケース・コントロール研究からは直接推定することができないため、このアプローチはほとんど実用的ではないが、希少疾患の仮定(
参考文献
- ジョン・ラチン 著, 宮岡 悦良 監訳, 遠藤 輝, 黒沢 健, 下川 朝有, 寒水 孝司 訳. 医薬データのための統計解析. 共立出版, 2020, p.218-219
- Cornfield, J.A.. A method of estimating comparative rates from clinical data; applications to cancer of the lung, breast, and cervix. Journal of the National Cancer Institute. 1951, 11(6), p.1269-1275, PMID: 14861651
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