本稿では、指数型分布族の定義を紹介し、ベルヌーイ分布、二項分布、ポアソン分布、幾何分布、多項分布、負の二項分布、正規分布、指数分布、ガンマ分布、ベータ分布、カイ2乗分布が指数型分布族であることを証明しています。
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指数型分布族
(i)パラメータがひとつの場合
1つのパラメータ をもつ分布の確率(密度)関数が
または
ただし、
は、 上の実関数、 は、 上の実関数
のかたちで表すことができるとき、
その分布は、
1パラメータの指数型分布族 exponential family
という。
(ii)パラメータが複数の場合
また、 個のパラメータ をもつ分布の確率(密度)関数が
または
のかたちで表すことができるとき、
その分布は、
パラメータの指数型分布族
という。
また、
(1) がパラメータに依存しない
(2) は、各 の連続関数
(3)確率密度関数の場合、 と導関数 は0でない の連続関数
という条件を満足させるものを
正則な指数型分布族
という。
証明:ベルヌーイ分布
証明
ベルヌーイ分布 の確率関数は、
確率関数をネイピアの数を底とする指数関数のかたちで表すと、
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は1パラメータの指数型分布族に属すると言える。
証明:二項分布
証明
二項分布 の確率関数は、
確率関数を、ネイピアの数を底とする指数関数のかたちで表すと、
(i) が既知で、 が未知のとき
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は1パラメータの指数型分布族に属する。
(ii) が未知で、 が既知のとき
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は指数型分布族には属さない。
(iii) と がともに未知のとき
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は指数型分布族には属さない。
証明:ポアソン分布
証明
ポアソン分布 の確率関数は、
確率関数を、ネイピアの数を底とする指数関数のかたちで表すと、
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は1パラメータの指数型分布族に属する。
証明:幾何分布
証明
幾何分布 の確率関数は、
確率関数を、ネイピアの数を底とする指数関数のかたちで表すと、
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は1パラメータの指数型分布族に属する。
証明:多項分布
証明
多項分布 の同時確率関数は、
同時確率関数を、ネイピアの数を底とする指数関数のかたちで表すと、
(i) が既知で、 が未知のとき
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は指数型分布族には属さない。
(ii) が未知で、 が既知のとき
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は指数型分布族には属さない。
(iii) と がともに未知のとき
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は パラメータの指数型分布族に属する。
証明:負の二項分布
証明
負の二項分布 の確率関数は、
確率関数を、ネイピアの数を底とする指数関数のかたちで表すと、
(i) が既知で、 が未知のとき
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は1パラメータの指数型分布族に属する。
(ii) が未知で、 が既知のとき
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
したがって、この分布は指数型分布族には属さない。
(iii) と がともに未知のとき
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は指数型分布族には属さない。
証明:正規分布
証明
正規分布 の確率密度関数は、
確率密度関数を、ネイピアの数を底とする指数関数のかたちで表すと、
(i) が既知で、 が未知のとき
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は1パラメータの指数型分布族に属する。
(ii) が未知で、 が既知のとき
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は1パラメータの指数型分布族に属する。
(iii) と がともに未知のとき
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は2パラメータの指数型分布族に属する。
証明:指数分布
証明
指数分布 の確率密度関数は、
確率密度関数を、ネイピアの数を底とする指数関数のかたちで表すと、
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は1パラメータの指数型分布族に属する。
証明:ガンマ分布
証明
ガンマ分布 の確率密度関数は、
確率密度関数を、ネイピアの数を底とする指数関数のかたちで表すと、
(i) が既知で、 が未知のとき
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は1パラメータの指数型分布族に属する。
(ii) が未知で、 が既知のとき
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は1パラメータの指数型分布族に属する。
(iii) と がともに未知のとき
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は2パラメータの指数型分布族に属する。
証明:ベータ分布
証明
ベータ分布 の確率密度関数は、
確率密度関数を、ネイピアの数を底とする指数関数のかたちで表すと、
(i) が既知で、 が未知のとき
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は1パラメータの指数型分布族に属する。
(ii) が未知で、 が既知のとき
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は1パラメータの指数型分布族に属する。
(iii) と がともに未知のとき
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は2パラメータの指数型分布族に属する。
証明:カイ2乗分布
証明
分布 の確率密度関数は、
確率密度関数を、ネイピアの数を底とする指数関数のかたちで表すと、
とすると、指数型分布族の定義式において、以下のように考えると、
この分布は1パラメータの指数型分布族に属する。
【定理】指数型分布族の十分統計量
【定理】
指数型分布族の十分統計量
Sufficient Statistic of Exponential Family
確率変数 が任意の パラメータの指数型分布族に従い、その分布からの大きさ の無作為標本を
とすると、
同時確率(密度)関数は、
となり、指数型分布族に属する。
また、フィッシャー・ネイマンの因子分解定理より、
は、 に対する十分統計量になる。
参考文献
- 野田 一雄, 宮岡 悦良 著. 入門・演習数理統計. 共立出版, 1990, p.204-207
- 久保川 達也 著, 新井 仁之, 小林 俊行, 斎藤 毅, 吉田 朋広 編. 現代数理統計学の基礎. 共立出版, 2017, p.119
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