カイ2乗分布の定義と概要(確率密度関数の導出付き)

公開日:

【2023年4月1週】 【B000】数理統計学 【B040】連続型の確率分布

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本稿では、カイ2乗分布の定義と概要についてまとめています。確率密度関数であることの証明、確率密度関数の導出、期待値・分散、最頻値、モーメント母関数、再生性の紹介が含まれます。

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カイ2乗分布

定義・意味

確率変数 Z標準正規分布 ZN(0,1) に従うとき、 互いに独立な n 個の無作為標本 Z1,Z2,,Zn の2乗和 χ2=Z12+Z22++Zn2 が従う 連続型確率分布を自由度 nχ2分布 chi-squared distribution という。

確率密度関数

確率密度関数 f(x) は、 f(x)={12n2Γ(n2)xn21ex20x0othern={1,2,} で与えられる。

略記法

また、χ2分布は、 χ2(n) と略記されることがある。

確率密度関数であることの証明

証明

(i)すべての x に関して、f(x)0 0<Γ(n2),0<2n20<12n2Γ(n2)0<x0<xn210<ea0<ex2 したがって、 f(x)=12n2Γ(n2)xn21ex20 (ii)すべての確率の和が1 0f(x)dx=012n2Γ(n2)xn21ex2dx=12n2Γ(n2)0xn21ex2dx ここで、以下のように変数変換すると、 t=x2x=2tdxdt=2dx=2dtx:0t:0 となるので、 置換積分法により、 0f(x)dx=12n2Γ(n2)0(2t)n21et2dt=12n2Γ(n2)2n20tn21etdt=1Γ(n2)0tn21etdt ガンマ関数の定義式 Γ(α)=0xα1exdx より、α=n2 とすると、 0f(x)dx=Γ(n2)Γ(n2)=1 よって、確率密度関数の定義を満たしているため、確率密度関数である。

【定理】カイ2乗分布の確率密度関数の導出

【定理】
カイ2乗分布の確率密度関数の導出
Derivation of Chi-squared Distribution

確率変数 X が標準正規分布 XN(0,1) に従うとき、 この確率変数の2乗値 Y=X2 は、 自由度1の χ2分布 χ2(1) に従う。

導出法:平方変換の公式を用いる方法

導出

標準正規分布の確率密度関数は、 f(x)=12πex22<x< 確率変数 Y=X2 の取り得る値の範囲は、 <X<0Y< 平方変換の公式 g(y)=12y{f(y)+f(y)} より、 g(y)=12y(12πey2+12πey2)=22πey212y=12πey21y これを変形すると、 g(y)=1212πy12ey2 ガンマ関数の性質 Γ(12)=π より、 g(y)=1212Γ(12)y12ey2 これは、χ2分布の確率密度関数 f(x)=12n2Γ(n2)xn21ex2 において、n=1 を代入したものである。 したがって、Y は、自由度1の χ2分布 χ2(1) に従う。

重要事項のまとめ

略記法

χ2(n)

パラメータ

n={1,2,}

確率密度関数

f(x)={12n2Γ(n2)xn21ex20x0other

期待値

E(X)=n

分散

V(X)=2n

最頻値

Mo(X)=n2

モーメント母関数

MX(θ)=(112θ)n2θ<12

再生性

χ2分布には、再生性がある。

参考文献

  • 小寺 平治 著. 数理統計:明解演習. 共立出版, 1986, p.59
  • 野田 一雄, 宮岡 悦良 著. 入門・演習数理統計. 共立出版, 1990, p.144-146
  • 稲垣 宣生 著. 数理統計学. 裳華房, 2003, p.89-90

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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