本稿では、大標本における母平均の信頼区間を導出しています。
なお、閲覧にあたっては、以下の点にご注意ください。
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- 漸近的な性質を用いる際は、①中心極限定理が成り立つ、②漸近分散を推定する際に、母数をその一致推定量で置き換えることができるということが成り立つと仮定しています。
- $Z_\alpha$ は標準正規分布の上側 $100\alpha\%$ 点を表しています。
データの形式
確率変数 $X$ が平均 $\mu$、分散 $\sigma^2$ である任意の確率分布 \begin{align} \mathrm{P} \left(\mu,\sigma^2\right) \end{align} に従い、 この分布からの大きさ $n$ の無作為標本を \begin{align} \boldsymbol{X}= \left\{X_1,X_2, \cdots X_n\right\} \end{align} 標本平均と標本不偏分散を \begin{gather} \bar{X}=\frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}X_i\\ s^2=\frac{1}{n-1}\sum_{i=1}^{n} \left(X_i-\bar{X}\right) \end{gather} とし、 サンプルサイズが十分に大きく、中心極限定理が成り立ち、かつ、母分散が標本不偏分散で近似できる \begin{gather} \sigma^2\cong s^2 \end{gather} とする。
【定理】大標本における母平均の信頼区間
【定理】
大標本における母平均の信頼区間
Confidence Intervals for The Population Mean of Any Distribution with Large-Sample
大標本における母平均の $100 \left(1-\alpha\right)\%$ 信頼区間は、 \begin{align} \bar{X}-\frac{s}{\sqrt n} \cdot Z_{0.5\alpha} \le \mu \le \bar{X}+\frac{s}{\sqrt n} \cdot Z_{0.5\alpha} \end{align} で与えられる。
導出
中心極限定理により、標本平均 $\bar{X}$ について、 \begin{align} \bar{X} \sim N \left(\mu,\frac{\sigma^2}{n}\right) \end{align} 母分散が標本不偏分散で近似できる $\sigma^2\cong s^2$ とき、 \begin{align} \bar{X} \sim N \left(\mu,\frac{s^2}{n}\right) \end{align} 標本平均 $\bar{X}$ を標準化した値を \begin{align} Z=\frac{\sqrt n \left(\bar{X}-\mu\right)}{\sigma} \end{align} とすると、 標準化変換の性質より、 \begin{align} Z \sim N \left(0,1\right) \end{align} 標準正規分布の対称性から、 \begin{align} P \left(-Z_{0.5\alpha} \le Z \le Z_{0.5\alpha}\right)=1-\alpha \end{align} したがって、母平均の $100 \left(1-\alpha\right)\%$ 信頼区間は、 \begin{gather} -Z_{0.5\alpha} \le \frac{\sqrt n \left(\bar{X}-\mu\right)}{s} \le Z_{0.5\alpha}\\ \bar{X}-\frac{s}{\sqrt n} \cdot Z_{0.5\alpha} \le \mu \le \bar{X}+\frac{s}{\sqrt n} \cdot Z_{0.5\alpha} \end{gather} $\blacksquare$
参考文献
- 野田 一雄, 宮岡 悦良 著. 入門・演習数理統計. 共立出版, 1990, p.243
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