ベータ分布の期待値・分散と最頻値の導出

公開日:

【2023年4月1週】 【B000】数理統計学 【B040】連続型の確率分布

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本稿では、定義に沿った方法で、ベータ分布の期待値と分散を導出しています。ベータ関数の定義や性質に関する知識を必要とします。また、ベータ分布の最頻値を導出しています。

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【公式】ベータ分布の期待値と分散

【公式】
ベータ分布の期待値と分散
Expected Value and Variance of Beta Distribution

ベータ分布 Be(α,β) の期待値 E(X) と分散 V(X) は、 E(X)=αα+βV(X)=αβ(α+β)2(α+β+1) で与えられる。

導出法:定義に沿った方法

導出

(i)期待値
期待値の定義式 E(X)=xf(x)dx より、 E(X)=0x0dx+01xf(x)dx+1x0dx=01xf(x)dx=01xxα1(1x)β1B(α,β)dx=1B(α,β)01xα(1x)β1dx=1B(α,β)01x(a+1)1(1x)β1dx ベータ関数の定義式 B(α+1,β)=01x(a+1)1(1x)β1dx より、 E(X)=B(α+1,β)B(α,β) ベータ関数の性質より、 B(α+1,β)=αα+βB(α,β)B(α+1,β)B(α,β)=αα+β したがって、 E(X)=αα+β

(ii)分散
2乗の期待値の定義式 E(X2)=x2f(x)dx より、 E(X2)=0x20dx+01x2f(x)dx+1x20dx=01x2f(x)dx=01x2xα1(1x)β1B(α,β)dx=1B(α,β)01xα+1(1x)β1dx=1B(α,β)01x(α+2)1(1x)β1dx ベータ関数の定義式 B(α+2,β)=01x(a+2)1(1x)β1dx より、 E(X2)=B(α+2,β)B(α,β) ベータ関数の性質より、 B(α+2,β)=α(α+1)(α+β)(α+β+1)B(α,β)B(α+2,β)B(α,β)=α(α+1)(α+β)(α+β+1) したがって、 E(X2)=α(α+1)(α+β)(α+β+1) 分散の公式 V(X)=E(X2){E(X)}2 より、 V(X)=α(α+1)(α+β)(α+β+1)α2(α+β)2=α(α+1)(α+β)α2(α+β+1)(α+β)2(α+β+1)=α3+α2β+α2+αβα3α2βα2(α+β)2(α+β+1)=αβ(α+β)2(α+β+1)

【公式】ベータ分布の最頻値

【公式】
ベータ分布の最頻値
Mode of Beta Distribution

ベータ分布 Be(α,β) の最頻値は、 Mo(X)=α1α+β21<α1<β で与えられる。

導出

導出

ベータ分布の確率密度関数は、 f(x)=1B(α,β)xα1(1x)β1 1階微分を求めると、積の微分公式より、 f(x)=1B(α,β){(1x)β1ddx(xα1)xα1ddx(1x)β1}=1B(α,β){(α1)xα2(1x)β1+xα1(β1)(1x)β2ddx(1x)}=1B(α,β){(α1)xα2(1x)β1xα1(β1)(1x)β2}=1B(α,β)xα2(1x)β2{(α1)(1x)(β1)x}=1B(α,β)xα2(1x)β2{(α1)(α+β2)x} 極値 f(x)=0 を求めると、 x=0x=1x=α1α+β2 増減表は、 x0α1α+β21f(x)0+00f(x)0f(α1α+β2)0 したがって、1<α,1<β のとき、0<x<1 の範囲で、 x=α1α+β2 極大、かつ最大である。

参考文献

  • 野田 一雄, 宮岡 悦良 著. 入門・演習数理統計. 共立出版, 1990, p.142-143
  • 野田 一雄, 宮岡 悦良 著. 入門・演習数理統計. 共立出版, 1990, p.143 練習問題 ex.3.8.1
  • 稲垣 宣生 著. 数理統計学. 裳華房, 2003, p.45
  • 黒木 学 著. 数理統計学:統計的推論の基礎. 共立出版, 2020, p.114-115

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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