二変量正規分布のモーメント母関数の導出

公開日:

【2023年4月2週】 【B000】数理統計学 【B050】多次元確率分布

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本稿では、定義に沿った方法で二変量正規分布のモーメント母関数を導出しています。

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【公式】二変量正規分布のモーメント母関数

【公式】
二変量正規分布のモーメント母関数
Moment-Generating Function of Bivariate Normal Distribution

二変量正規分布 MN(μ,Σ) のモーメント母関数 MX,Y(θ) は、 MX,Y(θ)=exp(μTθ+12θTΣθ)=exp{θ1μX+θ2μY+12(θ12σX2+2ρθ1θ2σXσY+θ22σY2)} で与えられる。

導出

導出

モーメント母関数の定義式 MX,Y(θ)=eθxf(x,y)dxdy より、 MX,Y(θ)=eθ1x+θ2y12πσXσY1ρ2exp{12(1ρ2)Q(x,y)}dxdy=12πσXσY1ρ2exp{θ1x+θ2y12(1ρ2)Q(x,y)}dxdy ここで、以下のように変数変換すると、 {u=xμXσXv=yμYσY{x=uσX+μXy=vσY+μYx:y:u:v:|J|=σXσY また、指数部分を完全平方にすると、 θ1x+θ2y12(1ρ2)Q(x,y)=θ1μX+θ2μY12(1ρ2)R(u,v)R(u,v)={uρv(1ρ2)θ1σX}2+(1ρ2)(vρθ1σXθ2σY)2(1ρ2)(θ12σX2+2ρθ1θ2σXσY+θ22σY2) したがって、置換積分法により、 MX,Y(θ)=12πσXσY1ρ2exp{θ1μX+θ2μY12(1ρ2)R(u,v)}σXσYdudv=exp{θ1μX+θ2μY}12π1ρ2exp{12(1ρ2)R(u,v)}dudv ここで、以下のように変数変換すると、 {w=uρv(1ρ2)θ1σX1ρ2z=vρθ1σXθ2σY{u=1ρ2w+ρv+(1ρ2)θ1σXv=z+ρθ1σX+θ2σYu:v:w:z: 変数変換のヤコビアンは、 |J|=|uwvwuzvz|=|1ρ2001|=1ρ2 したがって、置換積分法により、 MX,Y(θ)=exp{θ1μX+θ2μY+12(θ12σX2+2ρθ1θ2σXσY+θ22σY2)}12π1ρ2exp(w22z22)1ρ2dwdz=exp{θ1μX+θ2μY+12(θ12σX2+2ρθ1θ2σXσY+θ22σY2)}12πexp(w22z22)dwdz=exp{θ1μX+θ2μY+12(θ12σX2+2ρθ1θ2σXσY+θ22σY2)}12πexp(w22)dw12πexp(z22)dz=exp{θ1μX+θ2μY+12(θ12σX2+2ρθ1θ2σXσY+θ22σY2)}

参考文献

  • 野田 一雄, 宮岡 悦良 著. 入門・演習数理統計. 共立出版, 1990, p.156-157
  • 黒木 学 著. 数理統計学:統計的推論の基礎. 共立出版, 2020, p.104

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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