レーマン・シェフェの定理の証明

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【2023年4月3週】 【B000】数理統計学 【B070】統計的推定

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本稿では、レーマン・シェフェの定理を証明しています。

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【定理】レーマン・シェフェの定理

【定理】
レーマン・シェフェの定理
Lehmann-Scheffe Theorem

$S \left(\boldsymbol{X}\right)$ をパラメータ $\theta$ の完備十分統計量、$T=T \left(\boldsymbol{X}\right)$ を $\theta$ の不偏推定量とするとき、完備十分統計量 $S \left(\boldsymbol{X}\right)$ によって条件づけた不偏推定量 $T \left(\boldsymbol{X}\right)$ の期待値 \begin{align} T^\ast \left(S\right)=E \left\{\ T \left(\boldsymbol{X}\right)\ \middle|\ S \left(\boldsymbol{X}\right)\ \right\} \end{align} はただ1つに定まり、一様最小分散不偏推定量となる。

証明

証明

ラオ・ブラックウェルの定理より、$T^\ast \left(S\right)$ は $\theta$ の不偏推定量であり、他の任意の不偏推定量 $T$ よりも小さい分散をもつ。

ここで、$U=U \left(\boldsymbol{X}\right)$ を他の $\theta$ の不偏推定量とし、 \begin{align} T^{\ast\ast} \left(S\right)=E \left\{\ U \left(\boldsymbol{X}\right)\ \middle|\ S \left(\boldsymbol{X}\right)\ \right\} \end{align} とすると、 $T^{\ast\ast} \left(S\right)$ もまた $\theta$ の不偏推定量であり、$U$ よりも小さい分散をもつが、 \begin{align} E \left[T^\ast \left(S\right)-T^{\ast\ast} \left(S\right)\right]=E \left[T^\ast \left(S\right)\right]-E \left[T^{\ast\ast} \left(S\right)\right]=\theta-\theta=0 \end{align} ここで、$S$ は完備十分統計量 $P \left[T^\ast \left(S\right)-T^{\ast\ast} \left(S\right)=0\right]=1$ なので、完備十分統計量の関数となっている不偏推定量はただ1つであり、その分散は不偏推定量の中で最小である。 $\blacksquare$

参考文献

  • 野田 一雄, 宮岡 悦良 著. 入門・演習数理統計. 共立出版, 1990, p.215-216
  • Lehmann, E.L. & Scheffé, H.. Completeness, Similar Regions, and Unbiased Estimation: Part I. Sankhyā: The Indian Journal of Statistics. 1950, 10(4), p.305-340, https://www.jstor.org/stable/25048038
  • Lehmann, E.L. & Scheffé, H.. Completeness, Similar Regions, and Unbiased Estimation: Part II. Sankhyā: The Indian Journal of Statistics. 1955, 15(3), p.219-236.

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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