本稿では、レーマン・シェフェの定理を証明しています。
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【定理】レーマン・シェフェの定理
【定理】
レーマン・シェフェの定理
Lehmann-Scheffe Theorem
$S \left(\boldsymbol{X}\right)$ をパラメータ $\theta$ の完備十分統計量、$T=T \left(\boldsymbol{X}\right)$ を $\theta$ の不偏推定量とするとき、完備十分統計量 $S \left(\boldsymbol{X}\right)$ によって条件づけた不偏推定量 $T \left(\boldsymbol{X}\right)$ の期待値 \begin{align} T^\ast \left(S\right)=E \left\{\ T \left(\boldsymbol{X}\right)\ \middle|\ S \left(\boldsymbol{X}\right)\ \right\} \end{align} はただ1つに定まり、一様最小分散不偏推定量となる。
証明
ラオ・ブラックウェルの定理より、$T^\ast \left(S\right)$ は $\theta$ の不偏推定量であり、他の任意の不偏推定量 $T$ よりも小さい分散をもつ。
ここで、$U=U \left(\boldsymbol{X}\right)$ を他の $\theta$ の不偏推定量とし、 \begin{align} T^{\ast\ast} \left(S\right)=E \left\{\ U \left(\boldsymbol{X}\right)\ \middle|\ S \left(\boldsymbol{X}\right)\ \right\} \end{align} とすると、 $T^{\ast\ast} \left(S\right)$ もまた $\theta$ の不偏推定量であり、$U$ よりも小さい分散をもつが、 \begin{align} E \left[T^\ast \left(S\right)-T^{\ast\ast} \left(S\right)\right]=E \left[T^\ast \left(S\right)\right]-E \left[T^{\ast\ast} \left(S\right)\right]=\theta-\theta=0 \end{align} ここで、$S$ は完備十分統計量 $P \left[T^\ast \left(S\right)-T^{\ast\ast} \left(S\right)=0\right]=1$ なので、完備十分統計量の関数となっている不偏推定量はただ1つであり、その分散は不偏推定量の中で最小である。 $\blacksquare$
参考文献
- 野田 一雄, 宮岡 悦良 著. 入門・演習数理統計. 共立出版, 1990, p.215-216
- Lehmann, E.L. & Scheffé, H.. Completeness, Similar Regions, and Unbiased Estimation: Part I. Sankhyā: The Indian Journal of Statistics. 1950, 10(4), p.305-340, https://www.jstor.org/stable/25048038
- Lehmann, E.L. & Scheffé, H.. Completeness, Similar Regions, and Unbiased Estimation: Part II. Sankhyā: The Indian Journal of Statistics. 1955, 15(3), p.219-236.
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