正規分布の母平均の差の信頼区間の導出

公開日:

【2023年4月4週】 【B000】数理統計学 【B070】統計的推定

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本稿では、正規分布の母平均の差の信頼区間を導出しています。

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  • Zα,tα(n) はそれぞれ標準正規分布と自由度 nt分布の上側 100α% 点を表しています。

データの形式

確率変数 X,Y が正規分布 N(μX,σX2)N(μY,σY2) に従い、 この分布からの大きさ n,m の無作為標本を X={X1,X2,Xn}Y={Y1,Y2,Ym} それぞれの標本平均と標本不偏分散を X¯=1ni=1nXiY¯=1mi=1nYisX2=1n1i=1n(XiX¯)sY2=1m1i=1m(YiY¯) 標本統合不偏分散を s2=(n1)sX2+(m1)sY2n+m2 とする。 母分散の値が未知の場合は、等しく σX2=σY2=σ2 であることを仮定する。

【定理】正規分布の母平均の差の信頼区間

【定理】
正規分布の母平均の差の信頼区間
Confidence Intervals for Population Mean Difference of Normal Distributions

正規分布の母平均の差の 100(1α)% 信頼区間は、
(I)母分散が既知の場合 (X¯Y¯)ϕZ0.5αμXμY(X¯Y¯)+ϕZ0.5αϕ2=σX2n+σY2m (II)母分散が未知の場合 (X¯Y¯)φt0.5α(n+m2)μXμY(X¯Y¯)+φt0.5α(n+m2)s2=(n1)sX2+(m1)sY2n+m2φ2=s2n+s2m で与えられる。

導出

導出

(I)母分散が既知の場合
正規分布の標本平均は、 X¯N(μX,σX2n)Y¯N(μY,σY2m) 標本平均の差を d¯=X¯Y¯ とすると、正規分布の再生性により、 d¯N(μXμY,σX2n+σY2m) 母平均の差を d=μXμY、標本平均の差 d¯ を標準化した値を Z=d¯dϕϕ2=σX2n+σY2m とすると、 標準化変換の性質より、 ZN(0,1) 標準正規分布の対称性から、 P(Z0.5αZZ0.5α)=1α したがって、母平均の 100(1α)% 信頼区間は、 Z0.5αd¯dϕZ0.5α(X¯Y¯)ϕZ0.5αμXμY(X¯Y¯)+ϕZ0.5α

(II)母分散が未知の場合
正規分布の再生性などにより、 X¯N(μX,σ2n)Y¯N(μY,σ2m) 標本平均の差を d¯=X¯Y¯ とすると、正規分布の再生性により、 d¯N(μXμY,σ2n+σ2m) 共通の母分散を標本統合不偏分散で推定すると、 s2=(n1)sX2+(m1)sY2n+m2 母平均の差を d=μXμY、標本平均の差 d¯ を統合分散で標準化した値を t=d¯dφφ2=s2n+s2m とすると、 tt(m+n2) t分布の対称性から、 P{t0.5α(n1)tt0.5α(n1)}=1α したがって、母平均の 100(1α)% 信頼区間は、 t0.5α(m+n2)(X¯Y¯)(μXμY)φt0.5α(m+n2)(X¯Y¯)φt0.5α(m+n2)μXμY(X¯Y¯)+φt0.5α(n1)

参考文献

  • 小寺 平治 著. 数理統計:明解演習. 共立出版, 1986, p.129-130
  • 野田 一雄, 宮岡 悦良 著. 入門・演習数理統計. 共立出版, 1990, p.240-241, p.245 練習問題 ex.6.5.3

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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