ミンコフスキーの不等式の証明

公開日:

【2023年4月2週】 【B000】数理統計学 【B060】標本分布

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本稿では、ミンコフスキーの不等式を証明しています。

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【定理】ミンコフスキーの不等式

【定理】
ミンコフスキーの不等式
Minkowski’s Inequality

2つの確率変数 X,Y について、任意の正の実数 p1p を満たすとき、 {E[|X+Y|p]}1p{E[|X|p]}1p+{E[|Y|p]}1p が成り立つ。

証明

証明

(i)p=1 のとき
|X+Y||X|+|Y| なので、両辺の期待値を取ると、 E[|X+Y|]E[|X|]+E[|Y|] となり、与式は成り立つ。

(ii)1<p のとき
期待値の定義式 E[g(x,y)]=g(x,y)f(x,y)dxdy より、 E[|X+Y|p]=|X+Y|pf(x,y)dxdy=|X+Y||X+Y|p1f(x,y)dxdy |X+Y||X|+|Y| より、 E[|X+Y|p](|X|+|Y|)|X+Y|p1f(x,y)dxdy|X||X+Y|p1f(x,y)dxdy+|Y||X+Y|p1f(x,y)dxdy 期待値の定義式 E[g(x,y)]=g(x,y)f(x,y)dxdy より、 (1)E[|X+Y|p]E[|X||X+Y|p1]+E[|Y||X+Y|p1] ヘルダーの不等式 E[|XY|]{E[|X|p]}1p{E[|Y|q]}1q より、 E[|X||X+Y|p1]+E[|Y||X+Y|p1]{E[|X|p]}1p{E[|X+Y|q(p1)]}1q+{E[|Y|p]}1p{E[|X+Y|q(p1)]}1q[{E[|X|p]}1p+{E[|Y|p]}1p]{E[|X+Y|q(p1)]}1q(1) より、 E[|X+Y|p][{E[|X|p]}1p+{E[|Y|p]}1p]{E[|X+Y|q(p1)]}1q ここで、1<p より、 pp1=q1p+1q=1 を満たす実数 q が存在し、 q(p1)=p 1q=11p が成り立つので、 E[|X+Y|p][{E[|X|p]}1p+{E[|Y|p]}1p]{E[|X+Y|p]}11p[{E[|X|p]}1p+{E[|Y|p]}1p]{E[|X+Y|p]}{E[|X+Y|p]}1p したがって、両辺を {E[|X+Y|p]}{E[|X+Y|p]}1p で割ると、 {E[|X+Y|p]}1p{E[|X|p]}1p+{E[|Y|p]}1p

参考文献

  • 野田 一雄, 宮岡 悦良 著. 入門・演習数理統計. 共立出版, 1990, p.98-99 章末問題 2.B.4

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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