本稿では、母分散が等しい正規分布に対し、統合分散が共通の母分散の不偏推定量であることを証明しています。
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データの形式
確率変数 $X,Y$ が互いに独立に、母分散が等しい正規分布 \begin{align} \mathrm{N} \left(\mu_X,\sigma^2\right) \quad \mathrm{N} \left(\mu_Y,\sigma^2\right) \end{align} に従い、 この分布からの大きさ $n,m$ の無作為標本を \begin{align} \boldsymbol{X}= \left\{X_1,X_2, \cdots X_n\right\} \quad \boldsymbol{Y}= \left\{Y_1,Y_2, \cdots Y_m\right\} \end{align} それぞれの標本平均と標本不偏分散を \begin{gather} \bar{X}=\frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}X_i \quad \bar{Y}=\frac{1}{m}\sum_{i=1}^{n}Y_i\\ s_X^2=\frac{1}{n-1}\sum_{i=1}^{n} \left(X_i-\bar{X}\right) \quad s_Y^2=\frac{1}{m-1}\sum_{i=1}^{m} \left(Y_i-\bar{Y}\right) \end{gather} とする。
【定理】共通の母分散の不偏推定量
【定理】
共通の母分散の不偏推定量
Unbiased Estimator of Common Population Variance
共通の母分散の不偏推定量は、 \begin{gather} s^2=\frac{ \left(n-1\right)s_1^2+ \left(m-1\right)s_2^2}{n+m-2} \end{gather} で与えられる。
証明
期待値の性質より、 \begin{gather} E \left(s^2\right)=\frac{ \left(n-1\right)E \left(s_1^2\right)+ \left(m-1\right)E \left(s_2^2\right)}{n+m-2} \end{gather} 不偏推定量の定義 $E \left(s_1^2\right)=E \left(s_2^2\right)=\sigma^2$ より、 \begin{gather} E \left(s^2\right)=\frac{ \left(n-1\right)\sigma^2+ \left(m-1\right)\sigma^2}{n+m-2}=\sigma^2 \end{gather} $\blacksquare$
参考文献
- 小寺 平治 著. 数理統計:明解演習. 共立出版, 1986, p.119
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