多項分布の定義と概要

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【2023年4月1週】 【B000】数理統計学 【B050】多次元確率分布

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本稿では、多項分布の定義と概要についてまとめています。確率関数であることの証明、期待値・分散、共分散、期待値ベクトルと分散・共分散行列の紹介が含まれます。

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多項分布

定義・意味

$k$ 個の事象 \begin{align} \boldsymbol{A}= \left\{A_1,A_2,A_3, \cdots ,A_k\right\} \end{align} のいずれかが それぞれ確率 \begin{align} \boldsymbol{p}= \left\{p_1,p_2,p_3, \cdots ,p_k\right\} \end{align} で起こる試行を $n$ 回繰り返したときに、 $\boldsymbol{A}= \left\{A_1,A_2,A_3, \cdots ,A_k\right\}$ が起こる回数 \begin{align} \boldsymbol{X}= \left\{X_1,X_2,X_3, \cdots ,X_k\right\} \end{align} が従う離散型同時確率分布を多項分布 multinomial distribution という。

同時確率関数

同時確率関数 $f \left(\boldsymbol{x}\right)$ は、 \begin{gather} f \left(\boldsymbol{x}\right)= \left\{\begin{matrix}\displaystyle\frac{n!}{x_1! \cdots x_k!}p_1^{x_1} \cdots p_k^{x_k}&x_i=0,1, \cdots ,n\\0&\mathrm{\mathrm{other}}\\\end{matrix}\right.\\ x_1+x_2+ \cdots +x_k=n\\ p_1+p_2+ \cdots +p_k=1 \end{gather} で与えられる。

略記法

また、多項分布は、 \begin{align} \mathrm{MN} \left(n,\boldsymbol{p}\right) \end{align} と略記されることがある。

確率関数であることの証明

証明

(i)すべての $x$ に関して、$f \left(x\right) \geq 0$ \begin{gather} 0 \le p_i\Rightarrow0 \le p_1^{x_i}\\ 0 \lt n\Rightarrow0 \lt n!\\ 0 \le x_i\Rightarrow0 \le \frac{1}{x_i!} \end{gather} したがって、 \begin{align} f \left(\boldsymbol{x}\right)=\ \frac{n!}{x_1! \cdots x_k!}p_1^{x_1} \cdots p_k^{x_k} \geq 0 \end{align} (ii)すべての確率の和が1
多項定理 \begin{align} \left(x_1+x_2+ \cdots +x_k\right)^n=\sum_{n_1+n_2+ \cdots +n_k=n}{\frac{n!}{n_1!n_2! \cdots n_k!}x_1^{n_1}x_2^{n_2} \cdots x_k^{n_k}} \end{align} より、 \begin{align} \sum f \left(x\right)&=\sum_{p_1+p_2+ \cdots +p_k=1}{\frac{n!}{x_1! \cdots x_k!}p_1^{x_1} \cdots p_k^{x_k}}\\ &= \left(p_1+p_2+ \cdots +p_k\right)^n\\ &=1 \end{align} よって、確率関数の定義を満たしているため、確率関数である。 $\blacksquare$

重要事項のまとめ

略記法

\begin{align} \mathrm{MN} \left(n,\boldsymbol{p}\right) \end{align}

パラメータ

\begin{gather} n= \left\{1,2, \cdots \right\}\\ \boldsymbol{p}= \left\{0 \le p_1,p_2,p_3, \cdots ,p_k \le 1:\sum_{i=1}^{k}p_i=1\right\} \end{gather}

同時確率関数

\begin{gather} f \left(\boldsymbol{x}\right)= \left\{\begin{matrix}\displaystyle\frac{n!}{x_1! \cdots x_k!}p_1^{x_1} \cdots p_k^{x_k}&x_i=0,1, \cdots ,n\\0&\mathrm{\mathrm{other}}\\\end{matrix}\right.\\ x_1+x_2+ \cdots +x_k=n\\ p_1+p_2+ \cdots +p_k=1 \end{gather}

期待値

\begin{align} E \left(X_i\right)=np_i \end{align}

分散

\begin{align} V \left(X_i\right)=np_i \left(1-p_i\right) \end{align}

共分散

\begin{align} \mathrm{Cov} \left(X_i,X_j\right)=-np_ip_j \end{align}

期待値ベクトルと分散・共分散行列

\begin{gather} E \left(\boldsymbol{X}\right)=n \left\{\begin{matrix}p_1\\p_2\\\vdots\\p_k\\\end{matrix}\right\}\\ \boldsymbol{\Sigma}=n \left\{\begin{matrix}p_1 \left(1-p_1\right)&-p_1p_2& \cdots &-p_1p_k\\-p_2p_1&p_2 \left(1-p_2\right)& \cdots &-p_2p_k\\\vdots&\vdots&\ddots&\vdots\\-p_kp_1&-p_kp_2& \cdots &p_k \left(1-p_k\right)\\\end{matrix}\right\} \end{gather}

参考文献

  • 野田 一雄, 宮岡 悦良 著. 入門・演習数理統計. 共立出版, 1990, p.123-125
  • 竹村 彰通 著. 現代数理統計学. 創文社, 1991, p.55-57
  • 久保川 達也 著, 新井 仁之, 小林 俊行, 斎藤 毅, 吉田 朋広 編. 現代数理統計学の基礎. 共立出版, 2017, p.76-77
  • 黒木 学 著. 数理統計学:統計的推論の基礎. 共立出版, 2020, p.93-96

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大学時代に読書の面白さに気づいて以来、読書や勉強を通じて、興味をもったことや新しいことを学ぶことが生きる原動力。そんな人間が、その時々に学んだことを備忘録兼人生の軌跡として記録しているブログです。

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